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不老不死

作者: 温泉郷
掲載日:2011/05/20

 ある国で、王が病のために床に臥せていた。医術師の見立てでは、あと三日生きていられるかどうかだという。

 王は今にも消え入りそうな声で、傍らにいる大臣にささやいた。

「余も長く生きた。他の者たちからすればもう充分生きたと言われるだろう。だが、こうなってくればくるほど、死にたくない。もっと生きていたいと思うものなのだ……。頼む大臣よ、不老不死の薬を見つけだし、余に飲ませてくれ」

 大臣はこくりと頷くと、急いで国中にその旨を伝えた。

 そして三日目に、一人の冒険者が不老不死の薬を持ち帰った。

 大臣は喜び、すぐに王のところへと向かうと、床に両膝をつけた。

「王よ、これが不老不死の薬です。さあ、お飲みください……!」

 王は何とかまぶたを持ち上げると、「早く」と唇を動かした。もう手足を動かすことも不可能だった。

 大臣は慌てて王の口を開けると、不老不死の薬を流し込んだ。


 王は不老不死となった。いつまでもいつまでも、決して死ぬことなくそのまま生き続けたと云う。


「こんなはずでは……」

 王はもはや誰にも聞こえぬ程の声で、小さく呟いた。



 昔々のお話。

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