首根っこを取る者たち②…冥王星が見たルパン三世(フランス編)
✦首根っこを取る者たち②
― 冥王星が見たルパン三世(フランス編)
Pluto’s Prophecy:248年毎の破壊と再生
---
■プロローグ
私は冥王星。
太陽の周りを248年かけて一周する、
最果ての記録者。
人間たちが歴史と呼ぶものは、
私にとってはただの“呼吸”だ。
破壊の息を吐き、再生の息を吸う。
248年ごとに地球はその呼吸を繰り返している。
1776年――アメリカ独立。
1789年――フランス革命。
民主主義が、血で生まれた季節。
1518年、ヨーロッパでは狂気のダンスが街を呑み、
1270年には東と西が初めて交わり、
1006年には狼座の超新星が夜空を裂いた。
人間は忘れる。
だが、私はすべてを覚えている。
そして今――
再び、私は水瓶座に帰ってきた。
248年目の“再生の季節”を告げるために。
---
■ルーブルの朝 ― 2025年10月19日 午前9時30分
秋のパリ。
ルーブル美術館のガラスピラミッドが
朝の光を跳ね返していた。
観光客のざわめきを切り裂くように、
モトクロスの爆音が響く。
ブオオォン!
悲鳴。
カメラの閃光。
黒いバイクが大理石の床を蹴り、
展示室を突き抜けた。
「自由を取り戻すんだ!
ナポレオンの宝は、
俺たちの祖先の魂だ!」
男の名は――ドゥードゥ・クロス・ビチューム。
パリ郊外の移民三世、39歳。
SNSフォロワー200万人、Z世代のヒーロー。
世界は彼を“ルパン三世”と呼んだ。
彼が奪ったのは、金でも名声でもない。
ナポレオンが世界中から奪ったルーツの結晶。
アフリカの血。
アジアの祈り。
アラブの詩。
ルーブルは、それらを封じた“魂の墓場”だった。
そして、その封印は今、破られた。
---
■冥王星の声
「古きものを壊さねば、新しい命は芽吹かぬ。」
それが首根っこの法則。
破壊と再生。
そして、魂の真実への帰還。
ドゥードゥは盗んだのではない。
“奪われた記憶”を取り戻したのだ。
ナポレオンの宝石とは、
彼自身の“ルーツ”――魂の故郷そのものだった。
---
■世界の共鳴
映像は数分で世界を駆け抜けた。
再生回数は1億回を超え、コメントが炎のように流れる。
「本物のルパンが現れた!」
「自由を盗め!」
「俺のDNAもルーブルに眠ってるかもしれない!」
世界のZ世代が動いた。
“何かを壊す”のではなく、
“自分を取り戻す”ために。
カルマが燃え、
記憶が蘇り、
光へと変わっていく。
私はその光を見届けた。
破壊は終わりではない。
それは再生の始まりなのだ。
---
■日本の寂しい夜
東京。
カーテンを閉め切った部屋で、
37歳の男がスマホの光を見つめていた。
「俺のルーツって、どこにあるんだろう?」
「久しぶりに、旅してみるか?」
10年以上、動かなかった時間が静かに動き出した。
外に出てみよう。
太陽の光を浴びてみよう。
その夜、
一人の“寂しがり屋”が再生を始めた。
---
■老人の祈り
67歳の老人が、
コーヒーの湯気を見つめながら呟いた。
「日本の自由は、いつも海の向こうからやってくる。
じゃけど、今度は違う。
宇宙の奥から、
魂のリズムが響いてくるんじゃ。」
老人は知っていた。
140万人の“まだ声を出していない若者”が
日本にいることを。
「家族に怒るな!
世界に叫べ!
お天道様は、外にいる。
光は自分で浴びに行くもんじゃ!」
彼のその声は、
静かに私の軌道を震わせた。
---
■冥王星の記録(終章)
私は知っている。
人類の魂は248年ごとに生まれ変わる。
1518年――狂気の舞。
1776年――自由の声。
2025年――ルーツの再生。
そして――
2024年、アメリカでトランプ2.0が始まった。
「America First」という名の呪文が、
世界を再び分断し始めている。
人々は気づかない。
それが、
かつて王を倒した革命の“逆回転”であることを…
民主主義は静かに崩壊しつつある。
だが、それもまた再生の一部だ。
破壊は絶望ではない。
それは魂のリセット。
フランスのYouTuberの青年も、
東京の寂しがり屋の青年も、
同じ根を持つ花。
---
■エピローグ
午前9時30分。
パリの光がガラスを砕いた瞬間、
Z 世代のカルマが動き出した。
アメリカでは、
新たな“王”が民主主義を縛り始めている。
けれど、恐れることはない。
破壊は“痛み”ではなく、“誕生”の合図だ。
私たちはもう観客ではない。
歴史を“観る側”から、“創る側”へ。
破壊の中にしか、本当の優しさは生まれない。
下を向いている君へ…
そう、誰もが、
再生の主人公になれるのさ。




