表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】おじさんガチ恋物語〜私の初恋は会社の上司。この恋、社会的にアウトですか?〜  作者: 音無響一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/52

第33話 決意

入院生活3日目だ。


まだ点滴生活が続いている。


今日の検査で異常がなければ流動食に切り替わるらしい。


朝から看護師さんは慌ただしいな。


医療の現場は大変だと聞くが、本当にそうなんだな。


社長が気を利かせてくれたのか一人部屋なんだが⋯⋯⋯


それはそれで寂しさがある。


スマホの使用許可は出ている事だし、何かやってみるか。


床頭台に置いてあるスマホを手に取る。


2日も放置していたせいか、通知の数がとんでもないことになってるな。


ほとんどが必要ないものなんだろうが。


必要ない通知を消し、スマホのロックを解除する。


メッセージのチェックをしてると新たな通知がバイブと共に来る。


夢花からだった。


スマホを握る力が強くなる。


あれから見ないようにしていた夢花とのチャット欄。


ドライブの日までは心待ちにしていた夢花とのチャット。


恐る恐る開いてみる。



『おはようございます!

今日もお仕事終わらせたら面会にいきますね。

必要なものがあったらなんでも言ってください。

それでは行ってきます!』



相変わらず元気な文面だ。


それだけで嬉しくなる。


入院生活で必要なものか。


何かあるだろうか。


髭⋯剃ってないな。


風呂も入院してから入ってないし、清潔感がないな。


こんなとこを夢花に見られるのはキツくないか?


どうしたものか。



『おはよう。入院生活で困ったことは特にないから大丈夫だ。仕事は無理せずやるんだぞ。面会も無理しなくていいからな』



本当は来て欲しい。


だが今の俺を見られるは、おじさんの俺でも恥ずかしく感じてしまうな。


仕方ないんだろうがなんとかしたいなぁ。







あ、大地さんからメッセージだ。


ドキドキしながら久しぶりのメッセージをした。


返信がなかったらどうしよう、迷惑だったらどうしよう、そんなことを思いながらメッセージしてしまった。


大地さんは返信が早い。


それがいつも嬉しかった。


大地さんからの返信を見た。


大地さんらしい気遣ってくれる文章。


大丈夫です、絶対行きます、無理なんてしません、会いに行きます。



『大地さんにご心配をおかけしないようにしっかりこなしてきます!入院生活頑張ってください!』



くれぐれも看護師さんにデレデレしないでくださいね!って言いたくなる。


無事だったのは良かったけど、あんなに鼻の下を伸ばしてるのはショックだった。


大地さんってキリッとした女性が好きなのかな。


私も髪型変えてみようかな。


服装も大人っぽくして、髪もきちっとまとめたら大地さんにあんな風に見てもらえる?


⋯⋯⋯⋯試すのはアリかも。


今日帰ったら研究してみようかな。








点滴が終わったら検査って言ってたな。


そろそろ終わりそうだ。



「川崎さん、入りますね」



ノックの後に看護師さんが入ってきた。


昨日の吉田さんだ。


今日もいるらしい。


下の名前は……美穂さんか。


何を確認してるんだ。


こんなとこまた夢花に見られたら怒られてしまう。


でも目で追ってしまうな⋯


くそっ、目に毒だ。



「それじゃあこのあと検査になります。念の為に車椅子で行きましょう。今用意してきますね」



車椅子か。


乗ったことないな。


いい結果になってくれるといいが⋯







午前中から大変だったけど、なんとか大丈夫。


午後もやること沢山だけど頑張らないと。


アリサさんと玉木さんも面会に行くのかな。



「私は今日は遅くなるから、面会に行くなら一人で行って来ていいわよ」



午後の準備をしていたら、アリサさんからそう言われた。


玉木さんもなんだが忙しそう。


私もやることやって、今日も定時に帰らないと!







先生の触診や問診、血液検査などをしてきた。


胃カメラは必要なさそうとの事で大事になってなくて良かったな。


車椅子に乗り看護師さんに押してもらう。


通りがかりにラウンジで折り紙をしている子供がいるのを見掛ける。



「気になりますか?」


「懐かしいなと思いまして」



あの子は何を折っているんだろうな。


何やら苦戦しているようだが。



「川崎さんは折り紙お得意なんですか?」


「得意と言うほどではないですよ、ただ小さい頃にハマってた時期はありますね」


「ちょっと見に行きます?気分転換も必要ですから」


「いや、そこまでしなくても⋯」



強引に車椅子をそちらに操作する看護師の吉田さん。


まぁ暇だしいいか。



「こんにちは咲ちゃん。今日は何を折ってるの?」


「こんにちは吉田さん!今日はお花を作ってみようとしたんだけど、なかなか上手くいかないの⋯」


「このお兄さんが上手らしいから聞いてみるといいよ」



お、お兄さん⋯どう見てこの子のお父さんより年上のような気がするぞ?



「こんにちは。咲ちゃんって言うんだね。おじさんは川崎って言う名前だよ。よろしくな。咲ちゃんはなんのお花を折っているんだい?」


「おじさんこんにちは!折り紙得意なの?教えて教えて!今はバラに挑戦してるの!動画を見ても上手く折れなくて⋯⋯⋯」



この子は小学校の高学年か?


バラを折ろうと思うなんて凄いじゃないか。


簡単なツイストローズではなくて、とある人が考案した、その人の名前が付いている折りバラだ。


これは動画でも難しいんじゃないか?



「どの辺でつっかえてるんだい?」


「ここが何回やっても上手くいかないの⋯」



どのバラも難しいんだが、このバラはその中でも1番簡単なやつだな。



「ここをこうしてみるといい」



俺はゆっくりとその子に分かるよう、記憶を頼りに折っていく。



「わ、すごい、動画と同じ形になってきたよ!おじさんすごい!」


「本当にすごいですね、私もびっくりです」


「おじさんもっと教えて!」


「ああ、構わないよ。吉田さん、部屋へは自分で戻れるので吉田さんはお仕事に戻られても大丈夫ですよ」


「それじゃあそうさせてもらいますね。咲ちゃん、あんまり迷惑かけちゃだめよ?」


「はーい!おじさんこの次も教えてっ!」



久しぶりにやったが、意外と覚えてるもんだな。


俺はそれ以外にも何種類かバラを一緒に折っていく。



「おじさんすごい!なんでこんなにできるの!」


「あはは、沢山やればできるようになるぞ。咲ちゃんもできるまで頑張ることだな」


「分かった!また明日も教えてくれる?咲はそろそろ戻らないとだから」


「また明日この時間にここにいるのかい?」


「うんっ!またあしたね!ありがとおじさん!バイバイ!」


「また明日な、さようなら」



パタパタと走って戻る咲ちゃん。


元気いっぱいだな。


なんだか夢花を思い出してしまう。


折り紙か。


沢山もらえたな。


明日なにか作ってきて、なんて言われてしまった。


くす玉でも作ってみようか。


バラを気に入っていたし、久しぶりにリースでも作ってみるか?







よし、今日も定時に終わった。


急いで行かないと。


早く行けば少しでも長く大地さんと一緒にいられるんだもん。


玉木さんにも声を掛けてみたけど、玉木さんは行かないみたい。


スマホのメッセージを確認する。


大地さんからメッセージはないんだ。


ちょっと悲しいけど今から会えるもん。


お疲れ様でしたと職場のみんなに伝え、急いで会社を出る。


会社から急げば30分だ。


今から行けば19時前には着ける。


面会時間は9時だから2時間は一緒に居れるもん。


急がなきゃ。







やっと夕飯の許可が出たのはいいが⋯


透明に近いとろみのついた重湯。


スプーンですくうと、ほとんど抵抗なく揺れて波打つ。


隣にあるのは、見た目はプリンに似ているが、甘さはない豆腐のような茶碗蒸し風の何か。


そして、ぬるめの具なし味噌汁。


一口、恐る恐る重湯をすする。


米の風味が、かすかに舌の上に広がる。


流動食ってこんなにマズ⋯⋯⋯


言ってはダメだ。


今の俺にはこのくらいがちょうどいいんだ。


はぁ⋯⋯⋯⋯⋯⋯


ゆっくりと食べ進める。


なんの苦行だろうか、そう考えてしまう。


だが自分の胃の為だ。


回復させるためには大事なことなんだ。


自分に言い聞かせ、なんとか完食する。







着いた。


今行きます大地さん。


見舞い品とか何にも思いつかないし、胃潰瘍だから食べ物はダメだよね。


体調が回復したら、嫌でも私が3食用意しますから。


ここが大地さんの病室だよね。


息を整えノックをする。



「はい、どうぞ」



すぐに返事があった。



「大地さん、今日もお見舞いにきました!」


「夢花、来てくれたのか、ありがとう」



テーブルの上に食器がある。


もう食事が再開したんだ。



「お疲れ様、そこに座るといい」



大地さんが座ることを促してくれた。


失礼しますといい着席した。



「お食事もう始まったんですね」


「そうなんだ、検査で何ともなかったからな。流動食って言うらしいが、まぁなんというか、食べた気にはなれなかったよ」



やっぱり美味しくないんだ。


私が早く美味しいの作ってあげたいよ。



「退院したらまたうちに来てください!胃に優しい美味しい料理作って待ってます」


「あはは、ありがとう、楽しみにしておくよ」



それはいいってことですか?


また前みたいに話してもいいんですか?


ハッキリ教えてください。


でも、もういいんです。


大地さんがどう思おうが。


押しかけちゃいますからね。


大地さんが振り向いてくれるまで、私頑張るって決めたんです!







やっぱり楽しいな。


夢花がいるだけで心が和む。


ただこんな姿を見せたくはなかった。


髭剃り買ってきてくれなんて女の子には頼めないしなぁ。


気が付いたら俺は顎を撫でていた。



「川崎さん、お食事はお済みですか?」



ノックと共に看護師さんが入ってくる。


先程挨拶してくれた野村さんだ。


まぁこの子も美人なんだが、見てはいけない。


俺は返事をし、食器を片付けてくれる野村さんにお礼を言う。


チラリと夢花をみる。


なんでそんな冷たい目をしているんだ。


文句は、こんな美人を多く雇っているここの人事に文句を言って欲しいんだが⋯


また消灯前に来ると言い、野村さんは部屋を出ていった。


ふう、怖いんだ本当に。


何にもしてないのになぁ。



「あ、これどうしたんですか?」


「これは昼頃にな⋯⋯⋯」



俺は昼頃にあったことを話す。







「小学生の女の子の咲ちゃんですか⋯」



小学生の女の子に嫉妬するなんてバカみたい。


でも大地さんってなんでこんなに女の子に好かれるの?


すごい楽しそうに話してるし⋯


それにまた明日も一緒に折り紙するのね。



「これが一緒に作ったバラなんだ」


「これ、本当に折り紙⋯なんですか?しかも大地さんが折ったんですか?」



折り紙?本当に?こんなに綺麗に折れるものなの?


大地さん、器用すぎません?



「このバラは難しいんだけどな、咲ちゃんはとっても器用で頑張り屋さんでなぁ。一緒にやってる俺も楽しかったよ」



私は大地さんに会いたい一心でお仕事頑張ってたのに⋯


大地さんは小学生だとしても女の子と遊んで、看護師さんに鼻の下伸ばしてたんですか?


でも本当によく出来てる。


こんなこともできるんですね。



「とっても可愛いです。私も欲しくなっちゃいます」


「こんな折り紙でいいのか?暇だしたくさん作っておくな。あ、でも折り紙が咲ちゃんに貰った分しかないからなぁ」


「あ、じゃあ私が買ってきます!」


「そうか?時間があったらでいいからな?」


「任せてください!」



私も大地さんと折り紙してみたいかも。


お願いしたら教えてくれるかな?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ