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【完結】おじさんガチ恋物語〜私の初恋は会社の上司。この恋、社会的にアウトですか?〜  作者: 音無響一


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第28話 告白?

「わぁ、綺麗⋯⋯⋯⋯」



封鎖できない虹の橋を車で走る。


見てたなあの映画。


ドラマから見ていたが面白かった。


俺が1番好きなのは危ない2人が刑事をしているドラマだったなぁ。


最近映画化して話題になっていたが、2人ともかっこよかった。


歳を取ってもあのくらいかっこよくなりたいもんだ。


夢花はこの時間の虹の橋は初めてなのだろうか。


夜景よりもキラキラした目で外を眺めている。


このまま赤のレンガの倉庫が有名な港町まで走るのもいいだろう。






「すごい綺麗ですね大地さん!連れてきてくれてありがとうございます!」



大地さんに見惚れっぱなしだった。


そんな私に大地さんが声をかけてくれる。


窓の外を見るように促された。


テレビとか動画では見たことあった。


自分の目で直接見るとこんなにも綺麗だなんて知らなかった。



「俺が若い頃はたまにドライブで来ていたんだ。夢花にも見てもおうと思ってな」



そうなんだ。


でもそれってデートコースだったりするのかな⋯


だめだめ、なんてこと考えるの。


大地さんがいつ誰と何をしてたっていいじゃない。


少し嫉妬心を感じちゃうけど、何とかそれを抑え込む。






「このままもう少し夜景が綺麗なところを走ってみようか」



俺は行き先を告げて法定速度ギリギリで走る。


後ろの車には迷惑だろうが、そこは許してほしい。



「大地さん、すごい綺麗!あっちもこっちもキラキラしてます!」



夢花の嬉しそうな声がする。


横目でチラチラ見ている。


少しだけど夢花の目もキラキラと輝いているように見える。


車を停めてその顔を眺めていたくなるな。


信号⋯⋯⋯⋯ないんだよなぁ。


事故らないように注意しながらしか見ることが出来ない。


スマホの動画にでも残そうか悩むな⋯






すごい綺麗だった。


夜の風景。


大地さんと二人で見る夜景。


手は握ったまま。


こんな綺麗な風景を、手を繋いで見れるなんて幸せなんだろうな。


ありがとう大地さん。


この時間が終わるなんて考えたくないな。






夢花の握る手の力が増した。


何かあったのだろうか。


ただの偶然か、それとも嫌なことでもあったのだろうか。



「大地さん、帰るのが⋯⋯勿体なくなっちゃいますね⋯」



普段の元気な夢花の言い方ではなかった。


切ないような、悲しいような、そんな話し方だった。






「勿体ないかな⋯勿体ないと言うより⋯⋯」



勿体ないじゃないなら、何?


大地さんはこの時間が終わるのは気にならないの?


⋯⋯⋯そうなのかな。


やっぱり私のことなんて小娘位にしか思ってないのかな。



「勿体ないと言うより、帰したくないな」


「えっ?」



大地さんの言葉に思わず言葉が詰まる。


夜景より大地さんの横顔から目を離せない。


真剣な顔をしていた。


本当に?


本当に帰したくないって思ってくれてるんですか?






夢花に見られているのが分かる。


なんてことを言ってしまったんだろう。


でもそれが俺の本心だった。


隠さなきゃいけない俺の本心⋯⋯


どこでタガが外れてしまったんだ?


理性が働かない。


本能が夢花を求めている。



「ははは、そんなこと言われても困るよな」



茶化すことで誤魔化そうとした。


こんなところで理性が顔を出す。


もう遅いだろうに。






「嬉しい⋯です。私も⋯⋯⋯⋯⋯」



それが大地さんの本心なら、私も本心で話しちゃいます。



「私も、帰りたくないです」



大地さんの横顔をジッと見つめながら言った。


ずっと一緒に居たい。


でもそんなの無理だって分かってる。


それでも少しでも長く一緒にいさせてください。






「ありがとう」



夢花が握る手の力を強めた。


俺もしっかり握り返す。


さらに強くキツく結ばれていたい。


離したくない。


このまま本当に帰したくない。



「何時まで、大丈夫なんだ?」



理性が仕事をしている。


さすがに帰さないのはダメだ。


夢花のお母さんも心配してしまうだろう。






「お母さんが今日は帰ってくるの遅いので、何時でも⋯大丈夫です」



長く一緒にいれるだけでいいの。


ずっとは無理だって分かってる。


私が一人暮らしなら、朝まで一緒にいてくれましたか?


日曜日も一緒にいてくれましたか?


毎朝一緒に出勤してくれますか?


大地さんの帰りを毎日待っていてもいいですか?


大地さんの為にご飯作って毎日待っていたいです。


もう告白だねこんなの。


言っていいのかな。


言ったらどうなるのかな。


言ったら付き合えるのかな。


言ったら振られちゃうのかな。


もうこの時間が一生来ないのかな。






「そう⋯か。じゃあ夕飯食べてから帰ろうか」



朝まで一緒になんて許されない。


夕飯を食べて帰るくらいなら許されるよな。


それまではもう少しこうしていよう。


高速を降りる。


どこまで走ればいいのか。


そろそろ家の方に向かわないと遅くなるだろう。


この辺で夕飯を食べようか。






「お腹は空いてるか?」



どうしよう、全然空いてない。


それに夕飯を食べたら帰らないとなんだもん。


夕飯を食べなかったらまだまだこの手を離さなくていいんですよね?



「まだ空いてないんです。だから、まだドライブしてたいです⋯」



いいよね、本当のことだもん。


まだ一緒にこうしてたいんだもん。


大地さんの手を離さなくていい、ですよね?






「俺もそんなに空いてないんだ」



夢花と繋いでいる左手に、夢花を想うこの気持ちで、空腹感になんて意識が向かなかった。


親指で夢花の手をなぞる。


ピクリと反応するのが握った手から伝わってくる。


それが可愛らしかった。


何度と何度も俺は親指を動かす。


くすぐったいのだろう。


夢花の手の感触が気持ちいい。


もっと触りたくなってしまう。


運転に集中出来なくなりそうだ。






声が出そうだった。


くすぐったい。


それなのに大地さんは親指を動かすのをやめてくれない。


声を我慢する度に身体がビクリと反応してしまう。


大地さんはいつもと違う笑い方をしていた。


優しく⋯じゃない、イタズラしているって笑顔。


やめくれない。


ずっと撫でられている。


大地さんは前を向いているから、私がいくら目で訴えても見てくれない。


やめて欲しいのにやめて欲しくない。


だから目でしか訴えてなかった。






少しやりすぎたか。


親指を動かすのを止めた。



「くすぐったいか?」


「大地さんのいじわる⋯」



仕返しのつもりか?


今度は夢花が親指を動かしてくる。


鈍感になった大人はこんな事じゃくすぐったいなんて思わないんだぞ?


⋯⋯⋯言ってて悲しくなるな。


柔らかく滑らかな夢花の指先。


ただ気持ち良かった。


この手で触られたらどうなるのか。


そんな邪な考えが頭を過ぎる。






くすぐったくないの?


大地さんは余裕の顔だ。


悔しい⋯私はこんなにくすぐったいのに。


どうやって動かしたらいいの?


こう?こうかな?


全然わかんないよ。


こんなところもお子様なんだ。


いやになっちゃう。


なんだかニヤニヤしてるし大地さん。


悔しいなぁ。



「⋯⋯くすぐったくないんですか?」


「大人はこのくらい平気なんだ」



私だってもう大人だもん⋯


ずるいよ大地さん。






高速を降りる。


そろそろ引き返さないと、本当に夜中になってしまうからだ。


下道でゆっくり帰ればちょうどいいかもしれない。



「これ以上進むと遅くなるから、この辺で引き返そう」


「⋯⋯⋯⋯はい」



終わりを告げるようなものだからな。


返事が暗い。


気持ちは俺も一緒だ。


夢花と付き合えたら⋯


そんな思いが俺の頭を過ぎる。


告白してもいいのだろうか。


もうこの気持ちに抗えない。


付き合ってどうする?


付き合ったらどうなる?


付き合ったら⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯






どうしたんだろう。


高速を降りてから大地さんの顔が少し険しくなっている。


帰ろうとしてるから?


それとも私が触ったから?


どうしたらいいんだろう。


なにか話さないとなのかな。






自分たちの住む県へと帰ってきた。


ポツリポツリと会話はあったが、気まづい雰囲気が流れていた。


俺のせいか⋯


考えすぎてたかもしれない。


夢花と恋人になりたい。


でもやっぱりだめだ。


すんでのところで理性が勝ってしまった。


この手は俺が握り続けていいものじゃない。


俺より相応しい人がいるはずだ。


こんな幸せな時間を一時でも貰えたことに感謝するんだ。



「そろそろ帰ろうか」



その言葉が精一杯だった。


ゆっくりと夢花の手を離す。


両手でハンドルを握りながら夢花の家まで帰った。


夕飯は食べていない。


これ以上一緒にいたら理性が本当に働かなくなりそうだったから。


夢花はどんな顔をしていただろうか。


駐車場に車を停め、降りる。


夢花が車を駐車場へと格納する。


そこで俺と夢花のドライブは終わった。


何度もお礼を言われた。


その時の夢花の顔は、悲しそうな笑顔をしていた。


抱きしめそうになった。


でもダメなんだ。


これ以上はダメなんだ。


必死に理性を働かせる。


掴んだその手は俺のものじゃないんだ。


自ら離した夢花の手。


もう二度と掴むことはないだろう。


これでいい。


これで良かったんだ。


さようなら俺の恋。



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