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【完結】おじさんガチ恋物語〜私の初恋は会社の上司。この恋、社会的にアウトですか?〜  作者: 音無響一


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第27話 続?ドライブデート

なんだが元気がないな。


お昼ご飯を食べたあとから車内の夢花は元気がない。


どうしたんだろうか。


少し、また少しと夢花との時間が終わりを告げようとしている。


俺も少し寂しくなって来てしまう。


どうにかしてこの時間を引き伸ばしたい。


そう思うからか、いつもよりスピードが出ない。







あとどのくらいでこの時間が終わるんだろう。


信号がある度に赤に変わって欲しいと願う。


1秒でも長くこうしていたいから。


もっと大地さんを見ていたい。


もっと大地さんと話していたい。


もっと大地さんと時間を共有したい。


話したいのになぜだか言葉が出てこない。


大地さんの癖なのかな、運転中は右手で運転して、左手は座席間にある肘掛に腕を置いている。


そこにある大地さんの腕。


指先まで見てしまう。


普段男の人の指先なんて意識して見たことはない。


学生時代は共学だったけど、同世代の男の子とはなんでか馬が合わなかった。


だから恋もしたことないし、関わることが少なかった。


男の人の手ってゴツゴツしてるイメージだけど、大地さんって指先も綺麗。


すらっと細く長い指先。


その指先に触れてみたかった。







ふぅ、何か話さないとなんだが、何もおもいつかないな。


こういう時に限って信号に止まらないんだ。


もう少しドライブしないか?


そんな提案してもいいのだろうか。


それともまた俺は夢花から言うのを待っているのか?


もういいだろ、ずるい大人になるのはやめないか?


自問自答しながらアクセルを踏みハンドルを操作する。


あの信号を超えたら、そこから先はもう信号がない。


その信号が赤に変わった。


止まると同時に夢花を見る。







やっと信号に止まってくれたのに、ここを越えたらもう家だよ。


私は無意識に大地さんを見ていた。


目が合う、合ってしまった。



「あ⋯⋯⋯」



思わず声が漏れる。



「夢花、なんというか⋯」


「はい⋯⋯⋯」



大地さんが何か言おうとしている。


言いづらいことなのかな。







まさか同時に振り向くなんてな。


夢花の綺麗な瞳が俺を射抜くようだった。


言葉が詰まる。


もう少し一緒に居てくれ、その言葉が出なかった。



「大地⋯⋯さん?」



もうさんざん夢花は頑張ったんだ。


ずるさを捨てるんだ。



「ああ、あのな⋯⋯⋯」



ああ⋯なんでこんな時に信号が変わるのか。


後ろに車はいないが、ためらいながらブレーキから足を離し、ゆっくりとアクセルを踏む。


このまま進んだら終わってしまうのに⋯


ゆっくりと加速する車。


止まる会話。


動く時間。


言い出せない言葉。


こんなに俺は意気地無しだったのか。







なんて言いたかったんだろう。


もしかしてこの先の提案?


そんなの都合良すぎるかな。


でも言って欲しい。


私から誘ってもいいなら言いたいけど⋯


今日も無理を言って運転を教えてくれているのに、これ以上なんて言えないよ。


もう⋯着いちゃう。







俺は駐車場に入る前に車を横に寄せた。


ハザードを焚き、車を停める。



「⋯⋯⋯大地⋯さん?」


「いや、あのな⋯⋯⋯」



言うんだ、俺の口から。


俺からハッキリ言うんだ。






なんで車を停めたの?


もうすぐそこはウチの駐車場なのに。


大地さんもまだ一緒に居たいって思ってくれてるの?



「この後は⋯⋯⋯」


「はい」



私は大地さんの言葉を静かに待つ。


お願い大地さん、もう少しだけ一緒に⋯







何をまごついているんだ俺は。


しっかりしろ。



「夢花、まだ⋯⋯⋯ドライブの続き、しないか?」


言った。


断られるかもしれない。


だが俺は言えたんだ。


顔を見ては言えなかった。


ハンドルを握ったまま、前を向いて伝えた。


すぐに返事が来ない。


チラリと夢花を見る。


俯いていた。


これは⋯⋯⋯断られるのだろうか。






嬉しい。


大地さんから誘ってれた。


本当に嬉しい。


涙が出そう。


ダメよ、今泣いたら台無しになっちゃう。


泣きそうなのに我慢するために下を向いてしまった。


早く返事しないとなのに、涙が溢れそうになる。


頑張るのよ夢花。


私は精一杯の笑顔を浮かべ返事をした。






「はい、私もまだ大地さんと一緒に居たいです」



夢花は笑っていた。


涙を目尻に浮かべながら。


そんなに喜んでくれたのか。


それなのに俺はさっさと誘いせず、こんなに待たせて⋯


ごめんな夢花。


一緒に居たいなんて言ってくれて嬉しいよ。



「ありがとう、それじゃあまた適当に走ろうか」


「はいっ!」



喜びが込み上げてきた。


ある種の達成感すら感じている。


だが気を抜いたらいけない。


事故なんて以ての外だ。


しっかりと確認し、俺は車を走らせた。


アクセルを踏む右足も軽快だ。



「それじゃあどこに行こうか」


「大地さんとならどこでも大丈夫ですっ!」



動き出す時間。


弾む会話に心も弾む。


俺と夢花の時間がまだまだ続く。






まだ幸せな時間が続くんだ。


小さく息を吐く。


零れそうだった涙も止まった。


運転している大地さんをまだ見ていいんだ。


チラッとじゃなくて、大胆に横を向いた。


やっぱりかっこいい。


同年代じゃときめかなかったのは年上が好きだからなの?


でも学校の先生にだってこんな感情は浮かばなかった。


芸能人はかっこいいとか思った事はあるけど、それ以外では初めて。


肘掛に置いている大地さんの腕。


触れてもいいですか?


旅館でしたみたいに大地さんに触れていたい。





夢花に見られている。


ここまでジッと見られると恥ずかしい。


こんなおじさんを見ても楽しくないだろうに。


どこへ行こうか。


当てもなく車を走らせている。


時刻は16時を回った。


そろそろ日も落ちるだろう。


このまま夜景を見に行くのもいいかもしれない。


高速から見える夜景が綺麗だった。


若い頃にたまにドライブしていたのを思い出す。



「え⋯⋯⋯」



行き先を考えながら走らせていると、肘掛に置いた手に温かさを感じた。


チラリとそこを見る。


夢花が俺の置いていた手の上に自分の手を重ねてきた。


優しく握ってくる夢花の指。


驚いてしまったが、何とか運転を継続させる。


事故はダメだ。






無意識だった。


大地さんの横顔と指を交互に見ていたら自然と握っていた。


少し声を出した大地さん。


でも何も言わなかった。


その声で自分がしていたことに気が付いた。


恥ずかしかった。


でも離したくなかった。


そのまま優しく握った。


何も言わず運転を続ける大地さん。


このままで⋯⋯⋯⋯いいですか?






嬉しかった。


また夢花の温もりを感じていることが。


夢花の細く滑らかな指が動く。


指先で俺の手を触っている。


また会話がなくなってしまった。


どこへ向かうかも告げていないが、しばらくこの幸せな時間を噛み締めていたかった。






大地さんの手って本当に大きい。


この手で握られたらどうなるんだろう。


触られたらどうなるんだろう。


なんだろう、不思議な気分。


どこに向かっているのかなんて気にならなかった。


大地さんとこうしているだけで良かったから。


どのくらい走ったんだろう。


ずっと運転してもらってて申し訳ない。


でも大地さんは文句なんて言わない。


信号に止まる度に目が合う。


私はずっと大地さんを見てるから。


その度に微笑んでくれる。


優しい笑顔。


大地さんの優しい笑顔が大好きです。






もどかしかった。


手を握りたい。


信号に止まる度に夢花を見る。


満面の笑みを浮かべている。


少し恥ずかしそうにしながら。


愛おしかった。


もうダメだ。






うそ⋯⋯⋯⋯


心臓が飛び出るかと思った。


走行中に大地さんが私の手を握ってきた。


しかもこれって、恋人繋ぎってやつだよ。


嬉しいけど嬉しいけど嬉しいけど!


嬉しいけどドキドキが止まんない。


いきなりそんなことするのはダメです。






やってしまった。


運転してるから夢花の反応は分からない。


何も言ってこないのは、いいってことなのだろうか。


手のひらから夢花の温もりを感じたかった。


恋人繋ぎはやりすぎだっただろうか。


もう離したくないと思ったらこうしていた。


指と指を絡めることで捕まえていたかった。






手を繋ぐってこんな感じなんだ⋯⋯


想像以上に大地さんの手が大きい。


全部包まれてるみたい。


腕を組んだことはあった。


アリサさんがしていたから対抗するつもりで私もした。


密着度は腕を組む方が高いんだろうけど、私は手を繋ぐ方が好きかも。


ふと気付く、今から高速に乗ることに。


どこに行くんだろう。


もう日も暮れかけている。


遠くに行くのかな。


明日は日曜での予定もない。


朝まで大地さんと一緒にいさせてください。


そんなことを思いながら大地さんを見ていた。




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