表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】おじさんガチ恋物語〜私の初恋は会社の上司。この恋、社会的にアウトですか?〜  作者: 音無響一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/52

第23話 お土産の行方

温泉ツアーは全て終了し、みんな楽しめたようで来年もやることが決定した。


次回から少し値段が高くなるようだが、あのクオリティの旅館ならみんな納得だろう。


俺も来年が楽しみだ。


楽しみなんだが、来年も女将さんからアプローチされるのだろうか。


夢花とアリサとは日をずらした方がいいんじゃなかろうか。


いや、そんなことしたら2人に何を言われるかわからない。


バスを降りて帰る時に2人からの質問攻めは大変だったもんなぁ。


本当に胃が痛いんだ。


俺は悪いことをしたか?


新入社員を誑かしたのは悪いことなんだろうが、誑かした記憶がないから困る。


だが何かがないと夢花だって俺のことを好きにはならないだろう。


やはり俺が悪いのか?


はぁ、胃が痛い⋯⋯⋯⋯








「井上さん、このあと少し付き合ってくれないかしら」



私はバスを降りてから坂下先輩に誘われ、家に帰る前にカフェに寄ることに。



「課長の⋯大地さんのことなんだけど」



オシャレな雰囲気ではなくレトロな雰囲気な昔ながらの喫茶店に入る。


こういうとこに入るのは初めてだった。


コーヒーを注文して坂下先輩が話し始めた。



「あなたと私はライバルだわ」



ハッキリそう言われるとなんだか怖い。


でも負けないって誓ったから頑張るんだもん。



「だけどこれ以上、大地さんに近づく虫は少ない方がいいわ」



虫って⋯そんな言い方⋯怖いです坂下先輩。


でもそうだよね、これ以上来たら私たちの知らないところで何かが起こって⋯⋯


そんなのやだ。



「あの女将は旅館に行かない限り会うことはないから大丈夫なはずよ」



坂下先輩の話を頷きながら聞いている。



「玉木さんが今後どう出るかは謎だけど、近づかせないようにしないとだわ」



そうよね、玉木さんも怪しいもん。


坂下先輩も気づいていたのね。



「井上さんは私にしっかりとライバル宣言してくれたわ。だから同士として協力し合いたいと思ったの」


「は、はい⋯」


「あの女将みたいにコソコソされるよりよっぽどいいわ。私もあなたには負ける気はないけど、お互い頑張りましょうね」



宣戦布告なの?


共同宣言?


なんだか分からないけど、私も燃えてきた!



「ただの可愛い後輩かと思ってたけど、まさかライバルになるなんてね」


「私もなんでこうなったか分からないんですけど、大地さんのことも坂下先輩のことも尊敬してます!」


「ふふ、ありがとう。私のことはアリサって呼んでいいわよ。仲間になったんだもの」


「ほ、ほんとですか!じゃあ私のことも夢花って呼んで欲しいです!」



ライバルなのに坂下先輩⋯アリサさんと仲良くなれた気がする。



「分かったわ、これからもよろしくね夢花ちゃん」


「はい!よろしくお願いしますアリサさん!」



手を差し出してくれたのでしっかりと握り返す。


体育会系っぽい営業課ならではだよね。


手を離しコーヒーを飲む。


アリサさんは砂糖もミルクも使うのね。


私はそのまま頂く。


決意したせいかとても美味しく感じる。


多分勘違いだろうけど⋯



「私が気になってるのは女将でも玉木さんでもないの」


「え?それはどういうことですか?」



カップを置いたらアリサさんが不穏な事を言った。



「お土産よ」


「え?お土産?」


「夢花ちゃんは覚えてない?みんなでお土産を大地さんに買ってもらった時のことよ」


「あ、その時のことは覚えてます!」



アリサさんには内緒だけど、大地さんとお揃いのキーホルダーにしちゃったんだもん。


秘密でもいいよね?



「あの時に大地さんは言ったわ、お土産をあげる人がいるって。前に聞いたけど家族はもう居ないって言ってたわ。だから親族以外となると⋯⋯⋯」


「怪しいですね」



私たちは誰だかわからない相手を想像しながらウンウン唸っていた。


それがとても無意味な事だと知るのはそれからすぐだった。









アリサと夢花は一緒に行動してたから、帰りが俺と一緒になることはなかった。


一緒に帰って夢花の家に寄りたかったんだが⋯


まだ夕方にならないし、夜にでも伺うか。


こういうのは早く渡した方がいいからなぁ。


7時くらいなら迷惑にならないだろ。


俺は一度家に帰り、荷物を整理してから夜になるのを待っていた。








今日は夜にお母さんがいるって言うし、早く帰らないとな。


お土産も渡したいからね。


大地さんとのお揃いのキーホルダーは誰にも自慢できないし、お母さんにだけ教えちゃおうかな。


それくらいいいよね?


子供っぽいってバカにされちゃうかなぁ。


でも可愛いんだもん。


私はレッサーパンダのキーホルダーを指でつまみながらぶら下げ、それを見ている。


絶対変な人と思われているんだろうな。


だって口角が上がりっぱなしだもん。


学生の頃にみんなが好きな男の子とか彼氏とお揃いのもの持って喜んでるのがやっと理解できたよ。


ふふ、こんな気持ちなんだね。


この子にお名前付けちゃおうかなぁ。


タイチくんにしちゃおっと!


我ながらナイスネーミングじゃない?


お名前もお母さんに教えないと。








そろそろ家を出るか。


歩いて20分もしないで着くからな。


18時30分頃に家を出た。


まだまだ空は明るかった。


夏が近づいている、そんな雰囲気だ。


風に運ばれる匂いが今の季節を感じさせる。


右手にお土産を持ちながら夢花の家へと向かった。


家に帰る人達もいる。


俺の向かう方向は駅の方になるからすれ違う人が多い。


みんな家に帰るんだろう。


家族の待つ家に。


ふと、この前の夢花の家でのことを思い出す。


美味しかったな⋯⋯⋯


あれから何度とまた行きたいと思っていた。


図々しいだろうから用事もないのに行くことなんて出来ない。


今日もまた⋯そんな淡い期待も込み上げてきてしまう。


さすがにそれはダメだ。


お土産を渡したら帰ろう。








帰ってきたけどお母さんまだなんだ。


とりあえず荷物の整理とかしないとね。


もうこんな時間だ。


夕飯どうしようかなぁ。


お母さんもそろそろ帰ってくると思うし、帰ってきたら相談しよっと。



ピンポーンとインターホンが鳴ったので「はーいはいはい」と返事しながら部屋の中から対応する。


カメラ付きなので誰が来たかわかる。



「だ、大地さん?なんで?」


「帰ってたな、夢花のお母さんは在宅か?」


「え、なんでお母さんに用事か?え?どうして?」



突然のこと過ぎてパニックになってしまう。


なんで大地さんがいるの?なんでなんでなんでなんで?


お母さんに用事ってなんで?


この前大地さんが来てくれた時のことがフラッシュバックしてしまう。


お母さんと大地さんが結婚するとか言ってたことを。


まさか本当に?


お母さんと私の知らないところで深い関係に?


嘘でしょ、信じたくないよお母さん。



「あら、課長さん、こんなところでどうされました?」


「おや、これはお母さん、会いたかったです」



え、会いたい⋯やっぱり大地さんはお母さんと?


嘘だって言って!



「私に会いたいだなんてどうされたんですか?こんなところじゃなんですし、どうぞお上がりください」


「いや、お土産を渡しに来ただけなんですよ」


「いいからいいから、夢花も喜ぶからどうぞ」


「⋯⋯⋯では少しだけ」



え?来るの?なんで?嬉しいけどなんで?


どうしようどうしようどうしよう。


何も考えてないのに!







ちょうどいいタイミングで会えたのはいいんだが、また家に上がることになるとは思わなかったな。


やっぱり素直に嬉しいな。


夢花のお母さんの心遣いというかあったかさというか。


染み入るな。



「温泉旅行へ行ってらしたんですよね?」


「はは、そうなんです。だからお母さんにもお土産をお渡ししたくて」


「あらあらお気になさらなくていいのに。どうぞ、お上がりください。夢花、課長さんがいらしてくれたわよ!何してるの!」


「わ、わかってるよ!」


「ほら、スリッパお出ししなさい。気が利く子にならないと彼氏の1人もできないんだからね?」


「もーーーー、本当にうるさいよお母さん!」



このやり取りも自然と俺を笑顔にさせるんだ。


家族の日常、当たり前にある光景。


もう二度と戻ることは無いあの日常。


それを掴みたかった。


だけど掴めなかった光景。


やっぱりこの家は良い、安らぎの空間なんだろう。


気を抜くと涙が零れ落ちそうになる。







「はい、課長!どうぞ上がってください」



お母さんに言われるがままスリッパを出す。


ほんとお母さんは一言余計なんだよ~


彼氏なんて出来なくったって⋯⋯


大地さんが彼氏なら大歓迎だけどさ。


まだ混乱してるけど、とにかく大地さんに会えて嬉しい。


さっきまでバスで話してたけど、それでも嬉しい。


でも本当になんで来たんだろう?







スリッパを吐くとリビングまであんないされる。


夢花にまでお母さんにお土産をあげることを秘密にする必要なんてなかったかもしれない。


渡してもらうことだって出来たはずなのに。


心のどこかで今の状況になることを望んでいたんだろう。



「今お茶を入れてきますね、夢花は課長さんの相手してなさい」


「わかったって!」


「何怒ってんのかねこの子は」


「いいから用意してきてよ!」


「はいはい、反抗期なの?ちょっと遅いんじゃない?」


「もぉー!」



お母さんがお茶の準備のために動いている。


一連の光景を見て、また俺は微笑んでいた。







「大地さん、うるさくて本当にごめんなさい」



大地さんの顔を見ると、とても優しそうに微笑んでいた。


優しい顔なのに、どこか悲しそうに見える。


その顔がとても印象的だった。



「うるさくなんかないさ。夢花とお母さんの会話を聞いているだけでほっこりとした気分になるからな」



そうなの?


よく分からないけど、変だと思われてないならいいよね。



「それより、なんで今日はいらしたんですか?」


「夢花には秘密にしてたんだが、よく良く考えれば秘密にすることなかったなって思ってな」



課長は手に持っていたお土産をテーブルに置いた。



「それは温泉旅行で買ったお土産ですよね?」


「俺がお土産を買うと言ったろ?その相手が夢花のお母さんだったんだ」


「え?なんで⋯お母さん?」



やっぱり大地とお母さんってそういう関係なの?


そんな、やだよ、嘘だと言って⋯⋯⋯









面白いと一欠片でも思って頂けたなら、お手数ですがブクマと星評価をよろしくお願いいたします。


特に星評価をもらえると最高に喜びます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ