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【完結】おじさんガチ恋物語〜私の初恋は会社の上司。この恋、社会的にアウトですか?〜  作者: 音無響一


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第22話 ライバル宣言

「え?課長と⋯井上さん?」



誰かに会う可能性はあった。


だが俺はそれを失念していた。


誰に見つかってもまずいが、まさかアリサに見られるとは⋯



「坂下先輩!」



気付いた夢花は急いで俺から離れた。



「課長、これはどういうことですか?」


「い、いやこれは、あれだ、酔ってたんだ俺が、それを支ええてくれてな、助けてもらってただけだ!」



これは完全に怪しまれている。


目が怖い⋯⋯⋯



「大地さん」


「は、はい」


「井上さん」


「はいっ!」


「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」



なんで黙っているんだろうか。


沈黙が怖すぎる。


ああ、胃の痛みが再発して⋯⋯⋯







腕を組んで私と大地さんをジーッと見てくる。


視線が怖い。


坂下先輩も大地さんに好意を寄せてるんだもん。


私みたいな小娘が大地さんと腕組んでるなんて許せないよね⋯


女将さんと仲良さそうにしてるだけであんなに怒りを顕にするくらいだもん。







俺と夢花は何を言われるの戦々恐々としている。


まだかまだかとアリサの言葉を待つ。



「酔っていた⋯ですか」


「ああ、そうなんだ、たから!」


「そんなにあの女将とのお酒が美味しかったんですねぇ」


「い、いや、それは⋯」


「それは?」



なんで俺はこんなに詰められているのだろうか。


アリサは俺のなんなんだ?


しかしこの状況でそんなこと言おうもんなら火に油だろう。


鎮火だ、鎮火をしなければ。



「まぁいいでしょう。今度ゆっ⋯⋯⋯くりと聞かせて頂きますね?」


「は、はい⋯⋯⋯」



返事するしかないだろう。


力技なんて持ち合わせていない。


ここは従うことで鎮火させるんだ。







「井上さん?あなたもね」


「はいっ!」



こんなの返事するしかないよぉ。


怖いです坂下先輩。


大地さんも力なく返事してた。



「それじゃあ温泉に行きましょうか。そこでゆっくり聞かせてもらうわね」


「はいっ!」



何聞かれるのー!


怖い怖い怖い!






アリサが歩き出したので、その後ろを夢花が肩を落としてとぼとぼとついて行く。


俺はドナドナされているような夢花を眺め立ち尽くしていた。


女湯の暖簾をくぐったのを見届けたところで我に返った。



「俺も行くか⋯」



そう呟いて男湯の暖簾をくぐった。







浴衣を脱いで大浴場へと入る。


坂下先輩と隣同士で座り、身体を洗い流す。


こんな時間だし人は少ない。


大浴も貸し切り状態だ。


少し間を空けて並んで湯に浸かった。


終始坂下先輩は無言だ。


この沈黙が怖い。


何を聞かれるのだろう。


なんて答えるのが正解なんだろう。



「井上さんも⋯⋯⋯なの?」



ぐるぐると回っていた思考が止まる。


坂下先輩のその短い言葉で。


その言葉だけでわかってしまう。



「はい⋯⋯⋯」



私も短く返事をした。


返事を聞いた坂下先輩は深くため息を吐いた。



「ふぅ⋯⋯⋯⋯そっか。あなたもなのね」



ため息をついたあとにいきなり立ち上がった。



「あーーーーもう!さっさと私と付き合ってくれればいいのに!だからこんなに色んな子に好かれて!もうやんなっちゃう!」



丸見えです坂下先輩。


でも綺麗な身体だ。



「坂下先輩は何年も前から課長のことを?」



また湯船に浸かった坂下先輩に話しかける。



「そうよ!入社してすぐあの人が優しくてかっこよくて素敵で⋯⋯⋯⋯はぁ。何言ってるのかしら」


「わかります!優しくて素敵ですよね!」



そうなんです、優しくてカッコよくて⋯


でも恥ずかしくてカッコイイなんて言えない。



「あなたも同じなのね。ほんと罪な人よ大地さんって⋯⋯⋯」


「はい⋯⋯⋯いつの間にか私も大地さんのこと好きになってました」


「あなたも名前で呼んでるのね。ほんとあの人は⋯⋯⋯」


「玉木さんも怪しいと思いませんか?」


「⋯⋯⋯⋯井上さんもそう思う?」


「はい⋯⋯⋯⋯」



2人してため息を吐く。



「モテすぎだわあの人」


「びっくりしちゃいます」


「でも私は負けないわ」



坂下先輩が大声ではないけど決意を口にした。



「わ、私も負けません!」



私も負けたくない。


だから私も決意を口にしてしまった。



「⋯⋯⋯ライバル⋯ね」


「ら、ライバル⋯⋯⋯⋯」



どうしようどうしようどうしよう。


でも負けたくないから⋯⋯



「坂下先輩の方が大地さんとの付き合いは長いでしょうけど、絶対諦めません!」


「言うじゃない⋯⋯⋯」



その後はしばらく無言だった。


のぼせそうになったので2人であがる。








温泉はやっぱりいいな。


あまり人が居ないから、温泉をゆっくりと堪能できた。


酔いも覚めてきたが、そろそろ寝るか。


アリサのことは気になるが、何も隠すことじゃ⋯


いやいや、新入生社員と腕組んで歩いてたんだ。


ダメだよな。


何を聞かれるんだろうか。


はぁ、胃が痛い⋯⋯⋯










「世話になった!また来るからよろしく頼むな!」



美味しい朝食を頂き、昼前に出発だ。


社長が女将さんに挨拶をしている。



「またいらしてください。川崎さんもお待ちしております」



今日も美人⋯いや、そうじゃない。


こんなとこを見られたら、アリサに何を言われるかわからんからな。


ってもう見られてるじゃないか。


ガッツリ睨んでらっしゃる。


女将さんも俺の手を握らないでくれないだろうか。


夢花も睨んでないか。


ああ、今日も朝から胃が⋯⋯







「また大地さんってばデレデレして⋯」


「なんなんですかねあの女将さんも⋯」



私も坂下先輩も大地さんを見てイライラしてしまう。


大地さんはああいう大人の女性が好みのタイプなんだろうか。


心配になってしまう。


私には全くない要素だから。


まだまだお子様だもん。


早く大人の女性になりたいな。


どうしたらなれるんだろう。


坂下先輩に相談してみるのがいいのかな。


同じ人が好きなのに、そんな相談乗ってくれるわけないよね。







みんなでバスに乗り込む。


座席は行きと同じで俺の隣は社長が座っている。



「社長、今回は本当にありがとうございました。素敵な旅館でした」


「そうだろう、そうだろう。あの旅館は先代の女将の頃から知っていてな。若い頃によく通ったんだ」


「そんな過去があったんですね。道理で詳しいわけです」


「先代の女将も美人でなぁ。私より年上だったんだが、何度もアプローチしては振られてたんだ!」



がははと笑う社長の横顔はどこか憂いを帯びていた。



「それより川崎くんはどうだ?先代の女将は結婚していたから私とは無理だったが、今の女将はまだ独身だぞ?」


「いやぁ、私なんかには到底無理ですよ。ははは。あの女将さんも客の1人にしか見てないんじゃないでしょうか」



苦笑いを浮かべながらそう答えておく。



「何言ってるんだ。女将は川崎くんをいたく気に入っていたんだぞ?付き合うのは無理かもしれんが、昨日の夜に部屋で会えるように個室を割り当てたんだぞ?」



なんてことをしてるんだ社長は。


夢花とアリサに聞かれたらどうなると思ってるんだ。


怖すぎて夢花の方を見れない⋯⋯



「社長、その話、詳しく伺ってもよろしいでしょうか」



後ろの座席から身を乗り出して聞いてくるのはアリサだった。







ナイスです坂下先輩!


もっと食いついてください!



「なんだなんだ、坂下君が気になることじゃないだろう?大人の男の話だ」


「はい、私ももう大人ですので、少し気になったのです」


「がはは、川崎くんはモテモテだ!」


「それで、昨日の夜は課長の部屋で逢い引きが行われたんですね?」



逢い引きって何!


お子様の私には分からない単語だよ!


ええっとスマホスマホ。



「井上さん、逢い引きって行ってますよ、大人っていやらしいですね⋯」



玉木さんは意味を知ってるの?


いやらしいって何、なんのことなの?


早く調べないと!







「なんてことを言うんだ坂下さん、私は夜に温泉に入ったあとは部屋ですぐ寝てしまいましたよ」


「本当ですか?それにしては先程も親密そうでしたが⋯⋯⋯⋯」


「がはは、心配することはない、女将にも聞いたが、部屋に行ったけど返事がないからその日は諦めたと言っていたぞ」



言うならもっとオブラートに包んで欲しいんだが。


それだと次もあると言っているようなもんじゃないか。


その日は諦めたじゃなくて、諦めたでいいでしょうに。


わざとそう言って楽しんでるのか?


困った社長だ。



「その日は⋯⋯⋯ですね。よぉく分かりました。後ろからお声掛けをして申し訳ございません。失礼だとは思ったのですが聞き逃せなかったもので」



アリサは何をわかったのか、そのまま席に戻って行った。







え?話が終わってる?


逢い引きの意味は分かったけど、結局なんだったのー!



「大人ってすごいですね⋯」



すごいってなんなのよ!


もっと詳しく教えて!



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