表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】おじさんガチ恋物語〜私の初恋は会社の上司。この恋、社会的にアウトですか?〜  作者: 音無響一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/52

第14話 母登場

今週も恙無く終わったな。


毎日井上さんと出勤することになって胃の心配をしてしまったが、悪化することなく乗り切れたと思う。


土曜日は病院に行くことに決めたんだ。


悪化はしてないが改善はしてないからな。


胃潰瘍なんかで入院はしたくない。


ゆっくり寝て、明日の病院に備えよう。








課長にお弁当作るのは無理だった。


営業だから外に出ることが多い。


お弁当を持って外に出るなんてことないから。


はぁ、なんか課長にしてあげられることないかな。


夕飯作ってあげたらいいかな?


さすがにそれはやりすぎだよね。


どうしたらもっと課長と仲良くなれるのかなぁ。


通勤時間一緒にしてみたけど、車内は喋れないし、駅から会社まではすぐだし。


土日はなにしようなぁ。


家にいるとずっと課長のこと考えちゃう。


よくないよね。


どこか出かけてみようかな。


でもどこに行こう。


欲しいものもないし、お金もないし、はぁ、本当に困っちゃう。


とりあえず今日は寝ようかな。


課長も予定あるって言うから遊んでくれないし。


もしかして坂下先輩と遊ぶのかなぁ。


⋯⋯やっぱり課長のこと考えちゃう。


なんでなんだろう。


課長、どうしたらいいんですか?


はぁ⋯⋯⋯答えてくれないよね。










病院で検査を受けている。


人生初の胃カメラだ。


まさか俺がこんなことをすることになるとは⋯⋯⋯


最近老いを感じることが多くて嫌になる。


昔の人は40歳から初老とはよく言ったもんだ。


今は元気な人が多いから60歳前後らしいが、肉体的な衰えは本当に初老だと思う。


見た目も中身も元気ならいいんだがなぁ。


おっと、俺の番だな。









やることなんてないけど、3駅先にある大きな駅に来た。


ここは駅から出なくても色んなお店があるから学生の頃からよく来てるところ。


懐かしい⋯ってことはないけど社会人になって来るのは初めて。


服も欲しいなぁ。


見るだけでも楽しいけど、なんだか物足りない。


あ、そうだ、コーヒー飲みに行こうかな。









午前中だけで終わってよかった。


大きい病院だから時間がかかるかと思ったけどそうじゃなかったな。


地元の病院では無理だから3駅先の大きな病院だ。


結果は1週間後に郵送で届くようだ。


まっすぐ帰るか、それとも久しぶりにブラブラ歩くのもいいかもな。


運動不足もあるだろうし、散歩がてら歩くとするか。


そうだ、旅行代理店でも覗いてみるのもいいかもしれない。


スマホで探すのが主流だが、まだまだアナログな方法で探すのも楽しいかもな。








やっぱりコーヒーは美味しい。


気分が落ち着く。


課長と飲んだコーヒーも美味しかった。


また一緒に飲みたいな。


でも課長は胃の調子が悪いって言うから心配だな。


早く良くなってまた一緒にあのカフェに行きたいし、色んなところに一緒に行ってみたい。


色んなところかぁ⋯⋯⋯


旅行とかいいよね。


温泉好きなんだけど、学生時代は本当にごく稀にしかいけなかったもんね。


自分でお金稼いだらたくさん行ってみたい。


やることもないし帰ろうかな。


お腹は空いたけど、お家でなんか作ろう。








旅行代理店はここだな。


どこの温泉がいいかなぁ。


日本全国にあるから選ぶのも大変だ。


胃に効く温泉があったらそこにしよう。


⋯⋯⋯あるか?


兵庫の有馬温泉か、ここは行ったことないな。


いいじゃないか。


1人で温泉旅行、いいじゃないか。


寂れたおじさんにはちょうどいい。


なんだか無性に行きたくなってきたな。


俺は有馬温泉のパンフレットを手にし、帰ることにした。








お出かけする必要なかったかな。


電車を降り、階段を上る。


プラットホームからの階段は左右から上るようになっている。


階段を上りきった。


向かいの階段から一緒のタイミングで上って来た人がいた。


視覚が、脳が認識した瞬間、息を飲む。







「か、課長⋯⋯⋯」



ん?課長?呼ばれたわけないか。


有馬温泉のパンフレットをチラチラ見ながら階段を上りきる。


周りに誰も居なかったからながら歩きだ。


帰ってゆっくり読むか。


そう思い顔を上げる。







「井上さん?」



なんで課長が?


ううん、なんででもいい。


課長に会えたんだもん。


私は小走りで課長の前まで行く。



「こんにちは課長!とっても偶然ですね!」



嬉しくなってしまう。


犬みたいにシッポをブンブン振っちゃいたい。







本当に偶然だな。


さすがにこの前の朝みたいに待っていたなんてことはないだろう。


⋯⋯⋯ないよな?


そこまでしてたらストー⋯これ以上は言ってはダメだ。


偶然、奇遇、邂逅、偶発、そんなとこだ。


そう、たまたまなんだ。



「こんにちは。井上さんはお出かけかい?」


「はい、家にいても考え事⋯いや、つまんないから少しお出かけしてたんです!」


「そうかそうか。じゃあ⋯」



じゃあ気をつけて帰りなと伝えたかった。


すんなり帰るために。







「課長のそれ、なんですか?温泉!いいですねっ」



温泉行くの?


誰と?1人で?それとも⋯坂下先輩?


1人で行くのもずるい。


坂下先輩とだったらもっとずるい。


まさか⋯⋯⋯他の女の人とか言わないよね。







「たまにはいいかなぁなんて思ってね」



さすがに一緒に行きたいとはならないだろ。


これも遊ぶ約束になるのなら危険すぎる。



「私も温泉好きなんです!でもなかなか行けなくて」


「井上さんはこの前まで学生だろう?仕方ないさ。社会人になったんだから、お金貯めてお友達や家族と行くといい」



そうだ、一緒に行く相手は俺ではないからな。



「お友達いないんです」


「そうなの、か?」


「はい、お母さんも忙しいからなかなか行けませんね」


「そ、そうか」


「祖父母もいません」


「う、うん、そうだったんだな」



これは詰んでるのか?


誘ってくれと言ってるのか?


友達居ないは嘘くさいが、その真偽を問うべきかは分からない。



「まだ俺も行くとは分からないしな。でも、行くとするなら営業課のみんなを誘って社員旅行みたいにするといいかもな」


「社員旅行!いいですね!とっても行きたいです!」



なんとか落とし所が決まったか⋯


井上さんが行く気満々なのが怖いな。


これは社長に相談案件か?


営業課で勝手にやったら、あの人のことだ、怒られてしまうやもしれん。


こんなんじゃ胃痛を治しに行く前に穴が空いてしまう。








「課長は何をしてたんですか?」


「俺は胃の検査をな。何かが起こる前に調べようと思ったんだ」


「そうだったんですね」



そんなに胃の調子が良くないんだ。


心配になっちゃう。


やっぱりご飯作ってあげたい。


消化にいい美味しいメニューもたくさん考えたんだもん。


課長には沢山迷惑かけてるから、お礼もしたい。


でもどうやって誘えばいいんだろう。


ご飯作るから課長の家にお邪魔していいですか、なんて図々しすぎるよね。


親切の押し売りだよこんなの。



「食事も飲み物も制限してる感じだからな。余計ストレスが溜まりそうだよ」


「好きなコーヒーも飲めないんですもんね」


「医者にはストレスを溜めないようにって言われたんだがなぁ、なかなか難しいな」



ストレス⋯


課長はどんなことがストレスなんだろう。








ストレスを溜めない為にも早く家に帰りたいんだが⋯


このまま歩くと井上さんの住んでるところを知ってしまう可能性があるじゃないか。


不可抗力なんだが、個人情報は知りたくない。


個人情報、パワハラ、セクハラ、全てが俺のストレスだし、それが胃に来る。


すんなり帰らせて欲しいんだがなぁ。



「夢花、おかえりなさい、私も今日は午前だけだから帰ってきたのよ」


「あ、お母さん!」



なに?お母さんだと?


また俺の胃に来る案件か?







「課長、こちらが私のお母さんです!」


「課長さん?夢花がよく話してくれる上司さん?奇遇ですね、こんにちは。夢花がお世話になっております」


「ちょ、ちょっとお母さん、何言ってるの!」


「挨拶してるだけでしょ。うるさい子ね」


「これはご丁寧にありがとうございます。名刺が無くて申し訳ございません。井上夢花さんの所属する営業課の課長をやらせてもらっている川崎大地と申します。こちらこそ井上さんにはいつも元気を貰っていて助かっているのです」



もーなんでお母さんがいるの!


せっかく課長とお話してたのに!


でもフルネームで呼んでもらっちゃった。


名前で呼んでくれたらもっと嬉しいのになぁ。


夢花って。


想像しただけで顔から火が出るほど恥ずかしい。






なんだ、井上さんの顔が真っ赤だな。


思春期だから親がいるとああなるものかもしれないな。


しかしこれはナイスタイミングだ。


このまま帰る流れに持っていくんだ。



「それでは私はこれで⋯」


「課長さん、お食事一緒にいかがですか?」



被せて来た⋯さすが親子だ。


やり口がそっくりじゃないか。







「ちょっとお母さん、何言ってるの、課長に迷惑だよ!」



最高にナイスパスだよお母さん!


もっと、もっと誘って!



「お世話になってるんだからお礼しないとでしょ?課長さんも遠慮しないでいらしてください。これから作るんで少し遅くなりますが、良かったらいかがですか?」



いいよお母さん、もっともっと押して!



「ごめんなさい課長、母もああ言ってますし、どうでしょう⋯」



ここだよお母さん、さらに押して!



「この子ったら課長の胃が良くないから、消化にいいメニューは何かって考えてるんですよ、だから是非いらしてくれると」



ちがーう!


お母さん、そのパスはキラーパスすぎるよ!


バレちゃったじゃん。


課長のこと考えまくってるのバレバレだよぉ。







「は、はぁ、それでは⋯」



何だこの親子コンボは。


1発KOだろ。


逃げられない無限コンボなのか?


それともハメ技か?


しかし俺のために消化にいいメニューを考えていてくれたんだな。


そこまでしてもらえてるのに行かないって選択肢はないだろう。



「それではご一緒させてもらってもよろしいでしょうか」



行かなかったら行かなかったで後悔はするだろうし、その事を考え込んでしまうだろ。


どちらにしてもストレスだ。


行っても地獄、行かなくても地獄。


それなら行くしかあるまい。



「やったぁ!お母さん、早く準備しないと!」


「あらあら、うるさい子だわ。ごめんなさいね課長さん、普段はもっと静かな子なのに。課長さんがいるからはしゃいでるみたいで」



ほほほと笑いながら煽るなお母さん。


さすが思春期の母だ。



「もういいから行くよ!」



うんうん、なんだが微笑ましいな。


これぞ思春期ってのを見せつけられて懐かしくなる。


たまにはこういうのもいいな。


胃痛を感じながら、胃に優しい消化のいいメニューか。


マイナスか?


プラマイゼロだといいな⋯⋯




面白いと一欠片でも思って頂けたなら、お手数ですがブクマと星評価をよろしくお願いいたします。


特に星評価をもらえると最高に喜びます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ