表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】おじさんガチ恋物語〜私の初恋は会社の上司。この恋、社会的にアウトですか?〜  作者: 音無響一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/52

第13話 悪寒

土日は家でゆっくり過ごした。


なんせ胃が痛くて痛くて。


本当に穴が空くんじゃなかろうか。


しばらくお酒は禁止だな⋯


俺は調べた。


胃に優しい食べ物、胃に優しい飲み物、そして胃の痛みに効くツボを。


あっさりした油分の少ないスープにお粥、あっさり味のうどんだ。


飲み物は常温の水にした。


コーヒーなんて以ての外だ。


飲みたいんだが、飲みたいんだが今は我慢だ。


ツボはもう暇な時には押すレベルだ。


最早そこを押すのが癖になっている。


はぁ、頑張れ俺のストマック。


なんだか会社に行くのが億劫だが、ここは気合を入れて頑張ろう。




足取りは重たいが、なんとか俺は駅へと向かう。


目の前に駅の階段だ。


気にしたことはないのに、今日はやけに階段を上ることが怠く感じてしまう。


これは本格的に身体にガタが来始めたのかもしれない。


病院なんて行きたくないが、検査してもらう方がいいのかもなぁ。




いつもよりペースは遅いが階段を上る。


明日からエレベーターにしようかな⋯


とぼとぼと改札へ向かう。



「おはようございます課長!」



な、んだ⋯と?



「お、おはようございます井上さん⋯」



なんでここに⋯


同じ駅だから居るのはおかしくないんだが、まさか⋯待ち伏せか?



「せっかく同じ駅ですから、一緒に行こうと思って待ってました!」



朝から笑顔が眩しいな⋯⋯⋯


嬉しいんだが、急すぎて驚いてしまった。









「わざわざありがとうございます。それじゃあ一緒に行きましょうか」


「はいっ!」



絶対に変な子だって思われてるよね。


でもいいんだ。


土日で私は考えた。


もっと課長と仲良くなりたいってわかった。


どうしたら仲良くなれるか分からないけど、たくさんお話しないとダメかなって。


課長と少しでも一緒にいる時間を作るにはこの時間しかないもん。



「結構前から待ってたんですか?」


「そんなことないです!来るまで待とうって思ったら、すぐ来てくれたんです!」



本当は30分くらい待ったけど。


でもそんなの教えることじゃないよね。


あとは課長の話し方だよね。


丁寧な課長もいいけど、この間の土曜日の朝の話し方が絶対いい。


お願いしたらそうしてくれるかな⋯









「井上さんはどの辺に乗るんですか?乗るとことかは決めてますか?」



朝から何を話せばいいか分からんな。


はぁ、どうしたらいいんだ。



「課長、土曜日みたいに普通に話してくれたら嬉しいです!」



覚えていたのか⋯


いいんだが、なんだかなぁ。


一線を引くための口調なんだが、アリサにも言われたが、井上さんまでもそう言うのか。



「うーん、わかった。じゃあ会社にいない時だけだからな?」


「はい!わかりました!」



朝から元気だな。


若いって素晴らしいことだ。


その若さで俺も元気が出る⋯といいんだが。


ついでに俺の胃も元気出てくれ。







俺が朝早くから出社するのは電車の混雑を避けるためだ。


座れはしないがギューギュー詰めになることはない。


それでもなかなかに人は多い。


でも前回のように腕を酷使することはないだろう。


電車に乗り、車内の座席の間に並んで立つ。


俺は吊革になんなく掴まる。


井上さんも吊革に手をかけようとしなかった。


大丈夫か?







課長は背が高いから吊革掴まるのが楽そう。


いいなぁ。


私ももう少し身長高くなりたかった。


吊革に手をかけることは大丈夫だけど、結構大変なんだよね。


車内の奥に来たから鉄の棒にも掴まれないしどうしよう⋯


この先揺れると車内アナウンスが流れる。


満員電車なら人が居るから倒れることは無いけど、結構揺れるんだよね。


あっ、きた!


バランス崩しちゃう⋯⋯⋯


吊革に手を伸ばそうとしたけど、間に合わない。









「おっと、大丈夫か?」



危なかったな。


瞬時に腕を掴んでしまったが許してくれるかな⋯



「あ、ありがとう⋯ございます⋯⋯」


「車内の奥に来すぎちゃったのがいけなかったかな。明日から入口に近いとこに乗ろう」


「はい⋯」



痴漢と叫ばれることは無いだろうが、内心ヒヤヒヤだ。


それにしても細い腕だったな。








「あ、あの、課長に掴まっててもいい⋯ですか?」



課長は一瞬キョトンとした顔をした。


その顔がなんだか可愛らしい。



「ああ、構わないよ」



すぐに微笑んで許してくれた。


優しい笑顔が素敵です。


でもどこに掴まろう。


腕?腕のどこ?


スーツの後ろを掴む?


こんなのした事ないからわかんないよ。


どこに掴まるのが正解なの?


言ってみたはいいけど分からなすぎるよ。



「俺の腕のところを掴んでいればいいんじゃないか?」



モジモジしてる私を見て察してくれたのかな。


どこに掴まるか教えてくれる。


本当に優しい。


男の人ってみんなこんな感じなの?


待って、でもどうやって掴まればいいの?


ちょこんと摘むだけ?


それともガシッと掴むの?


悩んでいるとまた大きな揺れが来る。







「おっと、相変わらず揺れるな」



なかなか掴んでくれないので、今度は二の腕を掴んで井上さんの体を支える。



「この辺を掴んでいようか」



二の腕に井上さんの手を持っていく。


ちょこんと掴まる井上さん。


その仕草が無性に可愛らしかった。


ただそれじゃあ揺れに耐えられないだろう。









「二の腕を掴む方がいいんじゃないか?」



そう言われたので恐る恐る課長の二の腕を掴んだ。


すごい太い。


課長は細身に見えるのに、私なんかよりとっても太くて指が回らない。


痛くないかな、もう少し弱めがいいかな。


そんなことを考えてる場合じゃなかった。


また電車が揺れる。


思い切り課長の腕を掴んでしまう。


揺れが収まったので課長を見る。


痛そうにもしてない。


大丈夫なのかな⋯








「心配しなくていい、しっかり捕まってて」



倒れられたら心配だからな。


これもセクハラにはならないと思いたい。


ふぅ、早く着いてくれ⋯


でも朝の電車というか、車内でそんなに話すことなんてないよなぁ。


みんな静かにしてるし、車内で話すなんてマナー違反だろう。


ここは着くまで黙って立っていよう。







車内で話すのは周りが静かだからやめておいた。


あの後は課長にしっかり掴まってたからバランスを大きく崩すことなく会社の最寄り駅に着いた。


課長に聞きたいことがあったんだ。


電車を降りて改札を出たところで声を掛ける。



「そういえば課長、早く来てカフェに行かないんですか?」


「ん、今はコーヒーを控えるようにしているんだ」


「なんでですか?」


「胃の調子が良くなくてね、コーヒーみたいな刺激物は避けてるんだ」


「大丈夫なんですか?」


「うーん、大丈夫じゃないか?ただこれ以上悪化しないように気をつけてるってことさ。おじさんは嫌だよなぁ」



乾いた笑いで誤魔化してる気がする。


時折お腹を摩ってるのを見るけどそういう事だったんだ。


心配だな。


胃に優しい食べ物を作ってあげたいな。



「課長は家では自炊されてるんですか?」


「料理は苦手でね、するにはするけど簡単なものしか作れないんだ」



そうだったんだ。


明日からお弁当作ってこようかな。


昼はいつも外食なのかな。


そうか、課長、独身なんだ。


多分そうだよね、彼女さんもいない可能性が高いのかも。


あっ、会社に着いちゃった。










ふぅ、朝から胃に悪いスタートだったな。


今週も気合い入れて頑張らないとだ。


さてと、本日の仕事は⋯お得意様の所に行かないとか。


朝の準備を確認しているとボツボツと出社してくる人が増えてくる。



「お、おはようございます⋯」



俺の目の前に玉木さんが立って挨拶してきた。


いつもより深々とお辞儀をしている。


これは⋯⋯飲み会の時なこともその後のことも記憶に残っているんだろう。



「おはようございます玉木さん」



だとしてもこちらからそれに言及する必要はないだろう。



「あ、あの、課長、その⋯」


「今日から1週間頑張りましょう。玉木さんの応援してますからね」


「は、はい、ありがとうございます!」



うんうん、元気な声じゃないか。


若い子は元気が1番だからな。








午前中は坂下先輩について外回りだった。


課長とダーツしてたんだよね朝まで。


その話を聞いてみたかったけど、聞きたくない、でも聞いてみたい。


ダメだ、集中しないといけないのに。




なんとか午前中が終わった。



「金曜日は無事に帰れたみたいで良かったわね」


「は、はい、ありがとうございます」



坂下先輩とのランチ中に飲み会の話題を振られてしまった。



「先輩は二次会に行かれたんですか?」



飲み会の後に何をしてたのか課長からは聞いているけど知らないフリをしてしまう。



「行かなかったわ、玉木さんを課長1人に任すわけには行かないでしょ?だから手伝ったのよ」


「そうだったんですね!やっぱり先輩はなんでも出来ちゃうし周りに気を遣う事が出来て尊敬しちゃいます!」


「私も井上さんみたいな元気なとこ尊敬するわ。取引先の人も井上さんのことを気に入ってくれてるみたいよ」


「そうなんですか?嬉しいです!」



玉木さんを送ったあとのことを聞くのも変だよね。



「その後は課長と朝まで遊んだの、楽しかったわ」



⋯⋯⋯⋯⋯⋯ずるい。


私も課長と遊びたいのに。



「いいですね!何して遊んでたんですか?」



課長とダーツしてたなんてずるい。


したことないけどダーツ。



「ダーツしてたのよ。それでね、課長と勝負したわ。勝ったら私のお願いを聞いてもらおうと思ったの」



なにそれ、それ知らない、どういうこなの課長。



「え、勝てたんですか?」


「課長はダーツ初めてみたいだからもちろん勝ったわ。今度二人で食事してもらうの」



本当にどういうことなの課長。


坂下先輩とはあの日に朝まで遊んだだけみたいに言ってたのに。


次回があるんだ。


本当にずるい。


課長は嘘ついてる訳じゃないけど、隠されたみたいに思っちゃう。


やだ、課長と遊ぶのは私なんだもん。


坂下先輩はこの前遊んだから次は私だもん。









なんだ、なんか悪寒がするな⋯


胃の次は風邪か?


やだなぁ、歳をとるって。


今日はゆっくり湯船に浸かって寝よう。


夕飯はうどんだな。


俺は何を楽しみに生きればいいんだろうか。


酒も控えなければならないし、食事も普段の飲み物も制限しては楽しみなんてないじゃないか。


早く病院に行こう。


たまには温泉でも行ってみるのもいいかもなぁ。


一人で行くのは寂しいが、ゆっくりのんびりするのもいいかもしれない。


有給使っちゃおうかな⋯⋯⋯




面白いと一欠片でも思って頂けたなら、お手数ですがブクマと星評価をよろしくお願いいたします。


特に星評価をもらえると最高に喜びます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ