表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】おじさんガチ恋物語〜私の初恋は会社の上司。この恋、社会的にアウトですか?〜  作者: 音無響一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/52

第12話 朝帰り?

「坂下さん愛してる」

「課長、私も⋯」

「今日は朝まで一緒だ」

「はいっ、嬉しい⋯⋯」

「綺麗だよ坂下さん」

「あっ、課長、そんな⋯」

「もう我慢できないんだ」

「ああ、やっと課長と⋯⋯⋯」








「だめえええええええええええ!」



私は全身汗だくで起きた。



「はぁはぁ、はぁ⋯⋯⋯⋯」



なんで⋯何が⋯


課長が坂下先輩と?


なんで?え?ここは⋯自分の家?



「夢⋯かぁ」



はぁ、びっくりした。


今何時なんだろう。


まだ5時なんだ⋯


こんな時間に叫んで起きたのね。


お母さん起こしちゃったかな。


喉がカラカラだ。


お水飲みに行こうかな。


ベットから出て、キッチンにあるウォーターサーバーを使って水を飲む。



「はぁ⋯⋯⋯夢で良かった⋯⋯」



さっきの夢を克明に覚えている。


やけに生々しく思えた。


玉木さんを2人で送っていくのを見ていたからなの?


それとも飲み会での課長と坂下先輩の雰囲気が普通とは違ったから?


前の席から眺めているだけだったけど、2人の雰囲気は部下と上司以上の雰囲気に思えてしまった。


それを引き摺っていたからなのかな。


はぁ、なんか辛いな。


昨日の飲み会が終わってからその事ばかり考えてしまう。


何回ため息したんだろう。


数え切れないくらい。


はぁ。


⋯⋯まただ。


もうやめたいのに。


汗⋯で気持ち悪い。


こんな時間だけどシャワーしちゃおうかな。


そのままお風呂場へ行き、全て脱ぎ去る。


脱いだ物を洗濯機に放り込み、憂鬱な気分のままお風呂に入る。


はぁ、ゆっくり浴びちゃお。


お母さんに怒られるかもだけど、今日は怒られてもいい。


このどうにもならない気持ちが消えるまで、シャワーを浴びてたい。









「大地さん、とっても楽しかったです」


「俺も楽しかったよ」


「こんな時間まで一緒に居てくれてありがとうございます」


「それはこちらのセリフだな。ありがとうアリサ」


「ふふ、でも勝負は私の勝ちですからね?」


「あれは反則じゃないか?」


「でも勝負は勝負ですから」


「はぁ、そうだな」


「じゃあ次も私に付き合ってもらいますからね?」


「わかった。その日も楽しみにしてるよ」




俺とアリサはお互いの電車に乗り、家へと帰った。


ダーツは初めてやったが楽しかった。


アリサには騙されたがな。


素人のフリして勝負を持ちかけるなんてありか?


まんまとやられて次の食事の約束も取り付けられてしまうとはなぁ。


なんだかんだ言って、久しぶりに朝帰りも体験したし、楽しかった。


年号が変わって、初の徹夜で初の朝帰りなんじゃなかろうか。


うーん、それにしても疲れたなぁ。


帰って湿布だな。


もちろん俺の胃を労ることも忘れちゃだめだ。


なにかいい方法はないもんか。


俺は胃を擦りながら歩く。


今は7時か。


早く帰って寝てしまおう。









1時間ほどシャワーを浴びていたのかもしれない。


時計を見たら6時を回っていた。


少しは気持ちが晴れるかと思ったけど⋯


はぁ、まだまだみたい。


髪の毛を乾かしたらお散歩に行こうかな。


何をしても気分は晴れそうにない。


でも何かしてないと泣いてしまいそうだった。


シャワーじゃ私の涙は流しきれなかったみたい。


外の空気を吸ったら少しは違う⋯かな。








「ふわぁ~あ」



土曜の朝であまり人がおらず、人目を気にすることなく大きな欠伸をして歩く。


最終的には楽しかったが、なかなか濃い1日だったんじゃないか?


玉木さんは二日酔いになってるのかもなぁ。


本人は記憶に無いかもしれないしな。


失態といえば失態だろうから、忘れているならこちらから言うことでもないな。


いつも通り月曜日から接すればいい。


あんまり接点はないから大丈夫とは思うけどな。


むしろセクハラを訴えられないか心配だが⋯⋯⋯⋯⋯


はぁ、怖い。


急に怖くなった俺はとぼとぼと帰り道を歩いていた。










「んーーーーーーーっ!」



外に出て背伸びをする。



「はぁ、運動不足かなぁ」



朝で誰も居ないと思い、独り言をしている。


まだこの時間はカフェなんて開いてないよね。


お散歩だけしようかな。


適当に歩き始める。


適当に歩き始めたはずだけど、課長と一緒に歩いた道へと進んでいた。










疲れと眠さと不安感でボーッとしていた。


目の前に桜があったことでハッとなる。


ここは⋯⋯⋯


そうか、ここは井上さんと見た川沿いの桜か。


もう随分と散ったな。


俺はしばらく散りかけている桜を眺めていた。









もう桜も散ってるよね。


そう思いながら川へと歩いている。


散った桜と私の気持ちが重なるような気がする。


だから見たいのかな。


それともただ、課長との思い出に浸りたかったのかな。


川沿いにスーツ姿の男性がポツンと立っていた。


背中がとても寂しそう。


土曜の朝にこんなとこスーツでいる人なんて珍しいんじゃないかな。


怪しい人なのかもしれない、と警戒心を高めた。









こんなとこで時間を潰してる場合じゃないか。


でもなぜだろう⋯


井上さんに会える気がしてしまう。


そんな馬鹿なことあるわけないか。


さっさと帰ろう。


踵を返し帰路に着こうとすると、少し離れたところに人がいた。


朝から散歩してる人かな。


スーツの男がこんな時間に居たら不審に思われるかもしれない。


俺は目線を合わせないように下を向いて歩きだした。



「えっ⋯⋯⋯⋯」



なんだ?不審者過ぎて驚かれたか?


通報だけはやめてくれよな⋯⋯⋯









「ウソ⋯なんで⋯⋯⋯⋯」



訳が分からなかった。


振り向いた男性は課長だった。


なんで?どうして?


課長は下を向いて歩いてるからこちらに気付いていない。


待って、行かないで、止まって。


混乱してる私は言葉が出ない。


『行かないで』と叫びたいのに、喉が詰まって何も言えない


私の横を通り過ぎてしまう。


やだ、やっと会えたのに行かないで課長!


どんどん私との距離が離れていく。


動け、動いて私の身体!








「うおっ!」



急に腕を掴まれた。


何事だ?暴漢か?


混乱してしまうが振り向⋯



「ええ!い、井上さん?なんでここに?」


「そ、それは私のセリフです!」


「いや、そうなんだが⋯ええ、何が起こったんだ?」


「なんでここにいるんですか!なんで課長はまだスーツなんですか!なんで課長は昨日一緒に帰ってくれなかったんですか!なんで飲み会の時も全然話してくれなかったんですか!」


「落ち着いて井上さん、何をそんなに⋯」



どうしたって言うんだ⋯


俺のせいで何があったんだ?








「落ち着いてられません!課長のせいで私は⋯⋯私は!」



私は何を言おうとしているの?


ダメ、止まらない。



「課長ともっと話したかったんです!課長の隣に座りたかったんです!なのに課長は玉木さんと坂下先輩とばっかり喋ってて!私だって私だって⋯⋯⋯!」



どんどん課長の腕を掴む力が増してしまう。


力を入れていないと涙が溢れそうになる。


こんなのダメなのに、なんで、課長は何にも悪くないのに⋯










「もっと、もっと課長と話したかったんです!」



呆然と立ち尽くしている。


捲し立てるように伝えてくる井上さんの言葉を、想いを受け止めている。



「井上⋯さん⋯⋯⋯⋯」



掴まれていない方の手を動かした。


無意識で抱きしめようとしていた。


寸前で手を止める。



「その、なんだ⋯⋯⋯気付いて、あげれなくて⋯⋯ごめんな」



開いた手のひらを閉じて強く握った。


何をしようとしていたんだ。








「謝らないでください!だって課長は悪くないもん!ただの私の⋯私のわがまま、だから⋯⋯⋯」



溢れてしまった。


想いが目から溢れてくる。


もう止まらなかった。


言葉に出したことで、堪えていたものが、堰き止めていた想いが決壊してしまった。



「なんで課長のことを考えるとこんなに切なくなるんですか!なんで、なんで課長のこと、こんなに考えてるんですか!」



もう何を言ってるのか自分でも分からなかった。









「わかんない、自分のこともわかんないんです!」



この子は⋯⋯⋯⋯


そうか、まだこの子も恋をしたことがないのかもしれない。


こんなに泣いて⋯


自分の気持ちが整理できなかったんだろう。


こんなおじさんのことをそんなに考えていてくれたなんてな。


この子の気持ちが本物の恋なのかは俺も分からない。


本物の恋だとしても、その想いを俺が受け止めていいものではないだろう。


俺は、どう⋯なんだ?


俺こそ⋯俺こそ本気になれるのか?


こんなに歳が離れているのに。


大人の男性に恋しているだけなのかもしれない。


井上さんの一時の気の迷い、若気の至り、若さゆえの過ち、そんなとこなんじゃないんだろうか。


俺は井上さんの肩に手を置いた。








「井上さん、ありがとう」



なんでお礼を言われてるの?


わかんない、わかんないよ、涙が止まんない、どうして?



「井上さんがどうして俺のことをそんなに考えていてくれるのかは⋯⋯それは俺にもわからない」



分かるわけないじゃん、だって私のことだもん。



「俺も井上さんと飲み会の時から話したかった⋯んだと思う。君が目の前に座った時も嬉しかった」



⋯⋯⋯⋯え?



「隣に座ってくれたら、もっと嬉しいな、とも思った」



ほ、ほんとうに?



「ごめんな、ちゃんと気づいてあげられなくて」



だから課長は悪くないのに⋯


私がわがままなだけなのに⋯








「ちゃんと説明するな、昨日のこと」



誤解もあるのかもしれない。


飲み会のあとのこともちゃんと教えておこう。



「玉木さんが酔いつぶれたから、坂下さんと送って行ったんだ」



今気づいたが、丁寧口調を忘れているな。


まぁいい、気にせず話そう。



「玉木さんを介抱した後に、坂下さんに迷惑かけたから、2人で飲み直してたんだ」



2人でのワードに反応したんだろうな。


身体がビクッと動いたのがわかった。


大丈夫、いかがわしいことはしてないから安心してくれ。








「飲んだ後は⋯」



聞きたくなかった。


夢がフラッシュバックしてくる。


課長と坂下先輩が何してたかなんて聞きたくない。


心臓の鼓動が激しくなる。



「ダーツをしてたんだ、朝まで」



⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯え?



「え?なんて⋯⋯⋯⋯言いました?」


「ダーツバーってのがあってな。坂下さんはダーツが好きみたいなんだ。俺とやりたかったんだと。だから朝まで付き合ったんだ」



⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯え?



「玉木さんを酔い潰したのは俺ではないと思うんだが、女性を俺一人で家に連れて行って介抱する訳にはいかないだろ?」


「そ、そうですね⋯」


「だからお礼として朝まで坂下さんのやりたいことに付き合ったんだ」



ほ、ほんとうに?


本当に何も無かった⋯の?


詳しくないけど、男の人と女の人が⋯⋯2人ですることくらい知っている。


でも⋯ダーツ?


しかも朝まで⋯⋯⋯⋯








「私も課長と遊びたいです!」


「えぇ⋯⋯⋯」



思わず声が漏れてしまった。


今の疲れMAXの俺にそんなこと言われてもなぁ。


どうしたもんか。



「こ、今度行こう、な?今は流石に⋯」


「今度ですね!絶対です!来週空いてます!」



食い気味だな⋯


涙も止まってるじゃないか。


誤解が解けたのならいいんだが、井上さんとも遊びに行かなきゃならんのか?


こんな若い子と何して遊べばいいんだろうか。


うぅ、胃の痛みが⋯


早く帰って胃薬を飲んでゆっくり休みたい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ