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         89 魔法付与

 マリエールはジュリに時空の魔法を与える事にした。始めはジュリ始めてペルセウス流星群を観測した第12展望台へのタイムトラベルだ。

            89  魔法付与


 時空の魔法をジュリに付与する事にした。魔法付与は双方に付与する意思と受け入れる意思があれば成立する。マリエールは、

「付与魔法」

と宣言した。付与魔法のきっかけになる魔法だ。毎日付与魔法を掛け続ければ3ヶ月ほどで自分のものになる。でも今はニ週間に一回だ。マリエールは、

「一週間に一回会う事にしよう。付与魔法は掛け続けないと喪失してしまうからね。」

更にマリエールのアンドロイドを借りた。これで毎日付与される事になった。

 直接マリエールに会う目的は魔法の知識と実践のためだ。最初の勉強会はあの懐かしい第12展望台だ。2人は展望台に立つ。ジュリにとってはここは全ての始まり場所だ。マリエールは、

「時空魔法は転移魔法とは異なる。先ず異次元に入り、随意時間場所に移動する魔法だ。ここはきみとっては懐かしい場所だ。時間移動するためには、いい場所の筈だ。」

マリエールは時間移動の方法を説明する。ジュリが充分理解するまでに時間がかかった。

 マリエールにとっては不思議な体験だった。行ってみたい日時をはっきり思い出し、ジュリが時空の魔法を使うと異次元に移動した。あらゆる場所時間に移動出来る魔法だ。ジュリははっきりとした日時と場所を認識しているから間違いなく移動が出来る。異次元に出口が現れる。透明化魔法を施す。出口から出る。

 出た所はジュリが始めてペルセウス流星群を見た場所、日時の第12展望台だ。もう既に流星が流れている。ジュリが到着したのは宇宙船や以前のジュリ達とは離れた所だ。フライで近くに寄った。十数年前のジュリだ。幼いジュリはペルセウス流星群に夢中だ。この時この場所がジュリの出発点だ。今のジュリはこの時のように宇宙を愛しているのだろうか。心は濁ってないだろうか。2人のジュリはペルセウス流星群を堪能した。

 ここに来たように元に戻った。ジュリはマリエールに礼を言った。ジュリはマリエールに人間性も失っていないし、初心に帰れたと言った。マリエールは、

「それは良かった。これからいろいろ試していこう。」

と言った。翌週からいろいろ場所から、ペルセウス流星群を見に行ったり、別の場所、別の時間に移動した。時空魔法が取得出来た。マリエールは、

「時代に干渉すれば、パラレルワールドが出来る。干渉の度合いにもよるが、干渉しなかった世界と干渉した世界は同時に存在する別の世界だ。きみはシルビアに干渉して封印解かないシルビアの星を作って見たいかね。」

と言った。魅力的な提案に思えた。ジュリは大な失敗をしたと思っている。封印を解かなくてもいい不滅の存在としてのあり方示したい思う。だとすればマリエールがシルビアを適切に導いたパラレルワールドが別に存在する筈だ。ジュリは、

「既にマリエール様がシルビアを適切に導いたパラレルワールドがある筈です。私がやる必要はありません。」

マリエールは嘘がばれた子どものような顔をした。その後もいろいろな時代のいろいろな場所に向かった。そんな日々が半年以上続いた。

 マリエールは新たな魔法をジュリに与えようとしているらしい。

 時空魔法を使えばシルビアが封印を解かないようにも出来る筈だ。ジュリは既にシルビアの星に干渉してパラレルワールドを作っている事が判った。

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