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       84 第4の不滅の存在

 第4の不滅の存在は、自由と平等、平和と豊かさを掲げ、教祖として星の実権を握っている。裏で科学や軍事、産業に関わろうとする者を始末している。

         84  第4の不滅の存在


 4人目の不滅の存在に会いに行く。今度も直接会いに行くので事前説明を受ける。

「彼は偏らないのが特徴だね。政治にも影響を持つ教祖という立場だ。人生を楽しむという事をコンセプトとして、芸術ばかりではなく様々な娯楽、趣味の園芸、旅行や登山、スポーツ、様々な非生産的科学には結び付かないものを支援しているよ。産業、科学、軍事以外全てと言っていいくらいかな。経済的実権を持った教祖様だし政治も事実上把握しているけど表舞台では教祖様だ。人々は神の元人間は自由で平等で平和で豊かに暮らしていると信じている。ここまで話すと彼は成功者のように聞こえるけどそうもいかないよ。自由を認めれば必ず産業、科学、軍事に結び付く連中が出て来る。天文観察は自由だけど、望遠鏡は知られていない筈なのに、作ろうとする人間が居たり、顕微鏡を作ろうとする人間がいる。そういう人間は翌朝目覚めない。作り掛けの器具も消えている。彼の考えは賢者に近いかも知れない。彼に与えた魔法が殲滅だからね。その魔法を毛嫌いしているのにやっているのは殲滅だよ。」

マリエールの説明では第4の不滅の存在がイメージしにくい。賢者と同じなのか人々の自由を保証しているのか理解しにくい。本人に会いに行くのだから本人に聞くべきだろう。

 館に着いた。門までアンドロイドが来てチャペルに案内される。チャペルで祈っていた教祖が我々を出迎えた。チャペル内の面接スペースに案内される。教祖は、ジュリくらいの年齢に見える。

「新しい不滅の存在の方ですね。私など参考になるか判りませんが説明させて頂きます。私の目指しているのは人々の自由、平等、平和、豊かさです。人々は実感していると思いますよ。ここではどんな希望も支援してますから。人間は多種多様な事に興味を頂きます。いちいちあげるときりないくらいです。サポートも限度がありますので、こちらはどうですかとか、それはサポート出来ないので自分でして下さいとお願いする場合がありますが何をするのも自由です。」

教祖は建前を語った。しかしジュリが知りたいのはその部分ではない。教祖が何を大事に思い何してきたかだ。ジュリはそれを聞いた。

「私はシルビア様のように本当に自由にさせ、手がつけられなくなったら封印を解くような事はしたくありません。かと言って制限を掛ける事も芸術至上主義も取れません。自由に楽しんで貰い自由と平等と平和と豊かさを感じて貰いたいのです。但し制限を超えた自由にはペナルティを科しますがその事を一般の人々が知る事はありません。私はベストではなくてもベターだと思っていますよ。」

賢者のやり方と同じだと思った。テレパスされた。

「私は記憶の改竄もしてませんし、殲滅という魔法どうしても使わなければならないなら使います。マリエール様が下さった魔法です。必要なら使います。あなたは気にいらならいようですが、人々が自由に生活しているという錯覚は大半の人々には幸せな事です。大勢の人々が幸せな事はいい事でしょう。」

欺瞞だ。

 教祖は大半の人々が幸せなら真実など知らせるべきでないという。そんな事実を隠された生活私はまっぴらだ。

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