74 モンキー星
モンキー星の集落は十数軒の小規模なものだ。マリエール強い武器を強請り、鉄の槍先の付いた槍を10本受け取る村長を軽蔑したジュリ、ジュリの器が小さいと言う村長。
74 モンキー星
建物が十数軒ある。とりわけ大きな建物にマリエール達は入って行く。ジュリも当然従う。板の間と土間があり、土間では多分食品加工で板の間では衣服の製作、数名の男達が話しあっている。我々を確認し、一人を除いて立ち去った。残った一人の猿が村長のようだ。村長は下半身だけ着服している。上下着服しているのが女性らしい。村長は、
「破られはしなかったが、大型の獣が襲って来て、石の槍では撃退出来ないそうだ。我々も外に出て狩りがしたい。もっと強い武器が欲しい。」
と言う。マリエールは、
「強い武器は身を滅ぼす。自衛出来ればいい。そのための武器なら10本だけ特別な武器を渡そう。身のほどをわきまえるが良い。」
と言って10本の鉄の槍先のついた槍を渡した。
「おおこれこそが我々が求める武器だ。これでどんな奴が来ても怖くない。」
ジュリは何言っているだこいつ。頭の中はただの猿だ。と思ってしまった。
「所でその小さな子どもは、あなた達の仲間か、その割りに器が小さくみえるが。」
何が小さい。マリエールと同じだぞ。器が小さいとは何だ。
「村長はよく分かるな。見習いだ。将来この宇宙を任すつもりだ。無論それに応えるだけの実力を見せればの話しだが経験を積ませねば実力も測れないからな。」
器とは実力の事か。逆にジュリが聞いた。
「私とマリエールの何が違う。どんな器だ。」
マリエールとジュリに見た目の違いなどないと思うが、
「そなたでは判らないだろうな。実力とか経験とかものの捉え方とかそういったものは、外見では推し量れないものだ。真実を知るものは自ずと滲み出るものだ。そなたにはそれがない。そなたには猿如きがと思うかも知れないが、猿だから知る真実をマリエールは知っている。真実はものの数だけある。人間の真実と猿の真実は異なるものだ。鋭利な刃物は自分達を守る。しかし自分達を傷付け合う武器にもなるマリエールそう伝える。同じ事をそなたが言ったとしてもそれが人に伝わるか。伝わらないだろう。それが器だ。経験や実力、考え抜いた末の言葉かどうか。口先の言葉かどうかはその人物を見れば自ずと判るものだ。判らない人物だけが人を見下す。」
たったこれだけあっただけでそこまで覚られる。自分には、実力も経験も考えもない器の小さな人間だ。言われて良く判った。
「仰る通りです。」
その後実戦的なものでは弓矢が幾つか渡された。砦から攻撃するならこの方がいい。後はビー玉とかオハジキとかボールが渡された。代わりに宇宙食材が大量に渡された。昼食には宇宙食材と魚が出された。まるで食欲が判らない。
「ジュリはこちらの方がいいわよ。」
とカロリーメイトとペットボトルのウーロン茶を出された。マリエールとアンドロイドは美味しそうに出された物を食べた。村長がジュリを見る目が冷たい。マリエールはフォローしてくれる。
「この子宇宙に出るのが今回始めてで自分の星の物しか食べられないのです。」
情けない思いだ。
昼食で宇宙食材と魚が出され、食欲のないジュリ、カロリーメイトとウーロン茶のペットボトルを差し出すマリエール、冷たくジュリを見る村長




