59 マリエール様の元で研修
アンドロイド007の研修先は、公安部だ。武器製造の摘発だ。街工場で銃機とバツーカ砲の製造を確認して、在庫も没収して、工場の人達を連行した。
59 マリエール様の元で研修
アンドロイド007は、マリエールの所まで来て挨拶した。マリエールはアンドロイドを見て、
「あなたが、シルビアのアンドロイドね。もう研修内容も決めてあるわ。しっかり研修を受けてね。」
アンドロイド007の配属されたのは、違法行為の摘発と処刑執行である。マリエールの星ほど発達した星では、人や物の動きはほぼ確実に自動的に把握出来る。この国では魔法があるので、銃機その他の軍備を持つ事が法律で禁止されている。銃機その他の軍備はそれ程古く生まれた技術ではない。しかし、軍事技術という物は、禁止されると禁止されるだけ情報が拡散する物らしい。摘発と処刑は厳格だ。テレパスがあるので情報を知る関係者の摘発も広範囲だ。
007は、摘発に向かった。街の工場といった佇まいだ。軍備があったのは、地下だ。厳重に施錠されているがアンドロイドには効果ない。作りかけの銃機やバツーカ砲、諸々の軍備や設備を押収して工場にいた全員を拘束して連行する。
証拠物件を調査する者、連行した者を尋問する者、工場の周りを調査する者に手わけして事に当たる。007は、連行した者の尋問に当たる。尋問する相手は実際に銃機を作っていた者で、犯行は実証されている。2人一組で尋問する。テレパスで尋問するので誘導するだけだ。もう一人が誘導して、007は記憶媒体に取り込んで、必要部分を記録する。
まず動機からだ。曖昧だった、動機が誘導により明らかになっていく。
「あなた達は何故武器を作るの。その武器でアンドロイドを皆殺しにしたいの。アンドロイドは人間の下僕よ。実際に私達を作ったマリエール様は人間よ。」
アンドロイドは暑くかたる。犯人は反応する。
「ここはアンドロイドに支配されている。我々はアンドロイドから独立しなければならない。そのためには武器が必要だ。」
アンドロイドを敵と考えている人達の典型的な考えだ。アンドロイドを敵と考えているなら、マリエールも敵と考えているわけだ。反逆罪だ。死刑確定だ。
「きみと考えを共にしている者達の名前を聞こうか。」
犯人は青ざめた。アンドロイドはテレパスをする事は秘密ではない。特に公安関係のアンドロイドがテレパスの能力がないとは考えられない、しかも浮かび上がる人達は、その人物の親しい人物だ。それが武器製造の抑止力になる。主犯級の人物が思い浮かべた人物は全て調べられ武器製造に関わらなくても親しい関係であるだけで処刑される場合がある。反逆罪だけに適用される親族の処刑だ。
「経緯とか、関連施設の事も聞こうか。この計画は何時、どのように始まりどのように実施された。」
いうまでない事だが、一般の人間に武器製造の知識はない。そこまで知っている、あるいは辿り着ける人物の存在が必要だ。従ってこの類の事件には、技術者、学者の処刑が伴う。資料をアルバイトが盗み出したにせよだ。責任者は必要だ。
犯人に動機を聞くとアンドロイドからの独立のためだという。良く言われる表現だ。




