55 シルビアの想い
シルビアは、マリエールに知識も貰うばかりで何も返せてない事に気付く。村に帰って、文書庫を探すと核技術の本が出てきた。
55 シルビアの想い
シルビアは不滅の存在だ。ドラゴンが滅びてもこの地は封印があるから侵入して来ないが、封印のない大多数の地は恐竜が白虎する。この地は徐々に復興しているが、その復興は遅い。人々が恐竜が封印された事を実感しないからだ。わざわざ教えてやる必要もない。
この身体になってあまり欲求もないが、マリエールに知識を与えられるだけで自分はマリエール役に立っていないことに想い至りせめてこの星の伝統、文化、歴史でも調べてみる事にした。取り敢えず元の村に戻ってみた。前いた時から10年が経ち、みんな老けた。年取らない自分から見てだけど同年代は立派な壮年だ。
村長はまだ健在だった。村長の知識はテレパスで読み取れたが、この村には文書がある。
「村長、文書を見せてくれ。」
別に拒否するわけでもなく文書庫に案内された。数百冊の本が並んでいる。
「もう誰も読めやしない。判った事があったら教えてくれ。終わったら知らせてくれ。」
もっともあってはならぬものがあった。核分裂の理論と実践に関する本が何冊もあった。それにダイナマイトやピストル、銃、軍備の本が、何冊もあった。およそ500冊の内200冊がその類の本だ。その本は収納して外の本を2冊複製してならべて置いた。
シルビアは村長の所に戻って、村長に聞いた。
「村長はあの文書の事を何処まで知っているのか。」
村長は、
「詳しい事は知らん。ただドラゴンが生まれたわけが記載された文書がある事は口伝で伝えられている。それは息子に伝えるつもりだ。それから、ディノニクスやドラゴンが討伐された事を誰にも伝えていない。いずれ判る事だろうが、お前がドラゴンを復活させるのを遅らせたいと思ったからな。それからこの地域でこの類の文書がある所この8ヶ所だ。外にもあるかも知れないが、それは判らない。他の地域にも同じようにある筈だ。こういった知識が現実になったら迷わずドラゴンを復活させろ。人類を滅亡させるがいい。」
極論だと思った。人類が核技術に至った事は驚きだが、だからと言って人類を滅亡させる理由にはならない。核技術よりももっと高い技術を持ったマリエールがいる。人類が滅亡したら、シルビアはこの世界で一人になってしまう。
村を出ようとした所、一人の大人に声を掛けられた。村長の息子ラルガだ。
「お前、シルビアだろう。全然変わっていないな。お前と一緒に居た宇宙人とお前が消えて親父が考え込む事が多くなった。お前何か知らないか。」
知らないと言ってしまえば良いのかも知れないが、少しくらいヒントやってもいいだろう。
「私達何匹かディノニクス狩りをしたでしょ。暫くはディノニクスでないのじゃない。」
ラルガは納得したようだ。
「少し狩りや採集の場所広げてもいいかも知れないな。」
旧友と親睦を深め、村長に教えられた。8ヶ所の文書庫の確認をした。7ヶ所は容易だった。苦も無く整理が終わった。最後は厳重だった。注意深く潜入を試みた。要塞都市エミリオンだ。
村長はここ外、8ヶ所にこの地域の文書庫がある事を教えられた。7ヶ所は容易く探れたが、最後は難しい。要塞都市エミリオンだ。




