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        48 人間の世界

 マリエールは女王を一家と夕食を共にしていた。元王妃はKMドラッグストアーに不満を持つ貴族がいる事を語る。

           48  人間の世界


 マリエールは14歳になった。元々美少女だったが一層綺麗になった。細長い肢体、小さめの顔、ほっそりした身体は中性的だ。身に着ける衣類は高級だが貴族的ではない。戦闘を想定したそれはマリエールやアンドロイドが着るから似合うが他のものが着て似合うかどうかは保障出来ない。人間の国のマリエールやアンドロイドがレベルアップしたという事は当然他にいるアンドロイド達もレベルアップしている。南極大陸に到達した一行は、其処で大型ペンギンを捕獲して、精神のエリクサーになる可能性を報告して来た。

 マリエールは女王一家と夕食をとっていた。黒死病を克服し、事業をやり遂げ、産業も順調と国政は盤石だ。キャサリンが女王になって2年が過ぎ、元国王や長男の弟も国政に携わり、元王妃と妹の王女が社交界を抑えている。貴族の存在が縮小して、絶対王制に近くなった。国の直営地が8割を超え、貴族の数も減った。貴族の裁量も少なくなり、国に意見の言える貴族が少ない。もはや30を下回った貴族の家の愚痴の聞き手が元王妃と王女だ。100近くあった貴族家は三分の一になった。貴族のメンタルも大切だ。

「公爵家に擦り寄る貴族が多いわね。後私や王女。誰もが庇護が欲しいものね。逆にいいも悪いも意識されているのがKMドラッグストアーね。国民のために尽くしているという意見と貴族の利権を奪っているという意見があるわ。これは私や王女が聞きた話しではなく公爵夫人が私に聞かしてくれた事だけどね。」

 元王妃の言葉に、場は一瞬静まり返った。何しろそのKMドラッグストアーの会長が此処に居るのだ。そのマリエールは平然と、

「仕方ありませんよ。ある意味事実なのですから。問題を起こすならキャサリン女王が対処して下さい。」

貴族制の存続は、マリエールとキャサリン女王の間で話し合われた。絶対王制を主張するマリエールに対してキャサリン女王は貴族の存続を主張した。この展開はマリエールの予想済みだ。キャサリン女王は、

「2人とも社交を続けて下さい。父上も王子も貴族との接触に十分に注意して下さい。最悪不平分子は粛清します。」

キャサリン女王の言葉を皆は重く捉えた。

「マリエール、きみに何時までも苦労をかける。最善の道を選んだ筈なのにな。」

マリエールは笑って応える。

「何事もいきなり良くはなりません。悩んで少しづつ良くしていけば良いだけです。」

キャサリン女王は、申し訳なさそうだ。

「きみにこんなに良くして貰っておきながら、私の勝手な判断できみを苦境に追い込んだ。不甲斐ない私など切り捨て、弟に手を貸してくれないか。」

急にマリエールの顔は煙った。

「私が、この国の将来に付いて真剣に話しあったのは、キャサリン女王です。あなたが国政を離れるというなら私も離れます。一心同体だと言ったのは口先だけだったのですか。」

キャサリン女王は気落ちしている。あまりのショックに顔も上げられない。

「違うよマリエール、あの話し合いはもちろん私も真剣だった。しかし、きみの期待に私が答えきれていない自分が情けないだけだ。きみと私は一心同体だ。」

マリエールの顔は和らいだ。

「ならゆっくりやればいいだけですよ。」

一家は和らいだ。

 キャサリン女王はマリエールに謝罪する。そして自分は女王に相応しくないという。マリエールは怒る。

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