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       46  べーターリオン

 妖精女王のいる草むらだ。3,4mある草に覆われている。人間が歩ける所ではない、時々猪が現れるようだ。

          46  べーターリオン


 植物は多いが動物はあまり多くない。昆虫や小動物が主だ。鳥も大きい物はいない。未だ宇宙船の近く草原の中だからそうなのかも知れないが。近くに森があるので行ってみる。妖精が更にうるさい。ラッキーな事に妖精女王がいるらしい。森も大きな生き物はいない。蛇も居るが小さい、リスや小鳥、昆虫や小柄のサルの様な動物がいる。逆に植物は大きい。30mを超える広葉樹林だ。樹の実が豊富で小鳥やリスが食べている。下草も多い。アンドロイドには問題ないが、2mを超える下草では人間や樹上生活しない動物は森に入るのが難しいだろう。アンドロイドはフライを使いながら森を探索した。途中池や泉がある。池では大小様々な魚や蟹、貝や水生昆虫を確認した。川もある。岩場もある。化石が表出している。大型の動物の化石のようだ。ここまで小型動物しか見ていないので、以外だ。過去にはいたという事か。

 森を抜けると、草むらだ。3,4mあるので歩いては通れない。フライで上空を飛ぶ。時々動物の気配を感じる。大型ではないが、ある程度の大きさがある。猪か狐程度か。人間がこんな草むらで猪に出会ったら災難だ。

 妖精女王の棲家は近いようだ。妖精達が教えてくれる。この草むらの中の岩で出来た所だそうだ。見当は付いた。草むらの中に岩場がある。

 明確に妖精女王と言わているわけではない。妖精の中で偉いものというニュアンスだ。男性かただの妖精かも知れない。妖精女王というのは勝手なイメージだ。立派な建造物に住むというイメージが断たれた所だ。ただの岩場、中が改装されているのだろうか。岩場に近付いて入り口を探すが見当たらない。仕方がないので、念話で呼び掛けた。

「太陽系第3惑星、地球から来ましたアンドロイドです。妖精の方から、偉い方とお伺いしました。地球を代表してお目にかかりたいです。お願いします。」

上手く伝わったか判らないが、反応はあった。ほどなく、突然人影が現れた。はっきりしてくるとそれがマリエールだと判った。

「マリエール様、こんな所にいらしゃるとは。」

姿形はマリエールだが、纏う気配が違う。

「誰だ。お前は。」

マリエールの姿のそれは、違うと言う様に手を横に振る。

「あなたが私を偉い方と言うから、あなたの偉い方のイメージになってみただけ。私はあなたが見ている岩よ。正確には岩の妖精かな。この星には、幾つか私の様な能力のある物体自体が妖精化して悠久の時を生きる妖精がいるのよ。あなたも知識として得た様に、赤色矮星は、穏やかに時を刻むから、妖精が誕生して50億年の時が経っているわ。私も初期の妖精よ。妖精はそれを形作るものが消滅すれば消滅するけどその理を破るほど時間があって、不滅になってしまったの。今ではあなたみたいに会いに来てくれる人と会うだけしかしてないけど。」

50億年存在した妖精、ぜひともマリエール様に紹介したい。

「あなたが今している姿の方にあなたを紹介したいのですが宜しいですか。」

妖精は頷いた。アンドロイドは転移陣を作ってマリエールを呼び出した。マリエールは直ぐ現れた。

 岩場が妖精女王の棲家のようだ。入り口が見当たらない。アンドロイドは念話で妖精女王を呼び出した。

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