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         44 理由

 マリエールはアルファリアの提案に同意出来ない理由を語った。問題は悪霊だ。それを解決しなくては本当の解決にならない。

            44  理由


 アルファリアはマリエールに提案が同意出来ない理由を聞いた。マリエールは、

「今回の件は悪霊が関与しています。悪霊は元々精霊や妖精だったのですよね。アテネ神様から聞きました。悪霊は環境が変われば妖精や精霊に戻ると。そして今回、大型爬虫類を移動させても悪霊はどうなるのでしょうか。悪霊の殲滅もご依頼とすれば大変な事ですよね。悪霊が残ればまた繰り返しですし、殲滅しても向こうの島から渡って来るのではありませんか。そもそもどうして悪霊が発生したのでしょうか。妖精や精霊は上位のものからの庇護があれば道を違える事はないと聞きます。あの地の妖精や精霊に無関心だったのではありませんか。アルファリア様。」

妖精や精霊がいなかったのではない。居なくなったのでもない。悪霊になってしまったのだ。なるほどそれでは、大型爬虫類を移動させただけでは解決にならないし、たとえ殲滅しても隣の島から移動して来るだろう。

「ならどうすればいいのか、マリエール。」

マリエールは少し迷った。言うべき事か判らないのだ。

「アルファリア様が、あの島の悪霊つまり妖精や精霊達に語り掛けるのです。その間に邪悪な生き物達はどちらの島のもの達も滅ぼします。この世界に居てはいけないものです。その間に説得して下さい。従わない悪霊は殲滅しても良いでしょう。」

アルファリアは、生き物達を滅ぼす事に抵抗を覚えたが、この世界に居てはいけない存在と言われたら肯定するしかない。悪霊に話し掛けて理解させられるのだろうか。話しが通じないなら殲滅しかないのかも知れない。

 翌日から実行する事になった。夜が明けて大型爬虫類の討伐が始まった。アンドロイドは1000体以上動員された。幼体や卵まで収納された。植物は火炎放射され島は瓦礫しか残らない。

 夜までに戦闘や虐殺が終わり、霊達の姿が見える。命のない場所では霊も長くは持たない。それを支えるのが神や上位の霊の保持者だが、悪霊にはそんな存在が望めない。ここは島で逃げる事も出来ない。滅亡に瀕した彼らに、アルファリアが声を掛けた。

「悪霊共は消えるが良い。しかし、精霊、妖精となってこの地を正しく命の溢れる場所にしようと思うものがあれば援助しよう。我と共に歩むものは我の元に参れ。」

何重もの結界に阻まれ、辿り着けるのは僅かだ。拒まれた者からクレームが起こる。

「我々は何度もあなたに願った。でも一度も聞きてくれなかった。そして今、我々の命まで奪おうとしている。血も涙もない神だ。」

アルファリアは少し感情が動いた。

「神ですから、血も涙もありません。あなた方の事は少し悪いと思っています。」

アルファリアは妖精や精霊を連れて大陸に戻った。1ヶ月を掛けて妖精や精霊の研修、島の再建の準備をした。悪霊達は消滅した。島から連れてきた妖精や精霊と大陸の有志の妖精や精霊と合わせて島に戻った。島の再建だ。アルファリアやアンドロイド達は霊力を降り注ぐ。妖精や精霊は種を撒き育て、動物達を育んだ。正しく生態系が築かれた。

 島は瓦礫の山になった。悪霊達の命は風前の灯だ。助けられる妖精や精霊は助け、一ヶ月の研修と準備後島の再建に取り掛かった。

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