43 アルファリアの挑戦
この星に自分の力が及ばない地域があるのを知ってアルファリアは唖然とした。アンドロイド達に救済を頼むが自分達の仕事でないと言われる。
43 アルファリアの挑戦
アンドロイド達に自分の現実を見せられて驚愕した。あれがこの星で現実に起こっている事なのか。妖精も精霊もいない場所が合って、殺伐とした戦いの場所になっている。確かにアルファリアはこの星の隅々まで知っているわけではない。妖精や精霊を通じて知っていると思っていた。大陸の事なら判っているつもりだ。確かに島となると自信がない。始めから妖精も精霊もいなかった島があったのか、途中から居なくなったのかさえ判らない。しかし、知った以上放置出来ない。何とかしなくてはならない。その地に霊気を流せば何とかなるのか。難しいだろう。一度生まれた状況を変えるのは簡単じゃない。島を生まれ返らすには、殺戮が必要だ。アルファリアは殺戮の神ではない。悪霊は殲滅したけど、島の生き物の善悪は判らない。
夕食の時、アンドロイド達に聞いた。
「西の島で妖精も精霊もいない殺伐とした場所があるそうだけど、どうすればいいと思う? 」
彼らの顔がいつになく険しいものになったのを感じた。一体のアンドロイドが発言した。
「妖精も精霊もいない場所では、穏やかな生態系にならない事がしばしばある事を我々は知っています。しかし、そうなってしまった場所に妖精や精霊を送り込んでも解決しません。一度出来上がった生態系を変える事は至難な技です。」
至極もっともな返答だ。しかし、アルファリアは諦めない。
「確か、島が二つあって、片方は殺伐とした生き物が少ない筈ようね。少ない島の生き物たちを移動させて、その島だけでも穏やかな島に出来ないかしら。」
彼らの顔が更に険しくなった。
「我々はマリエールの下僕。アルファリア様のご意向に沿う事は務めの一つと認識していますが、事が大き過ぎます。少ないとは言え何百もの大型爬虫類の移動は独断でお受けかねます。」
予想した返事だ。
「なら、マリエールさんを呼んで頂けるかしら。」
彼らの顔が一層険しくなった。
暫くしてマリエールが現れた。
「お呼びですか。アルファリア神様。」
呆れた様にマリエールがアルファリアに尋ねる。
「そうなの、あなたにしかお願い出来ない事なの。西の島の事よ。あなたもご存じでしょう。」
マリエールは頷いた。報告は受けている。しかし、マリエールやアンドロイドが何かしなければならない問題とは認識していない。
「生態系の問題ですから、我々が何かしなければならないとは認識出来ません。やるとすればアルファリア神様のご命令です。」
マリエールははっきりしなくてはならない。マリエールの意向ならアンドロイドが渋るわけがない。マリエールの意向でないから渋っているのだ。
「命令なんて嫌な言い方ね。私はあなた達に命令出来る立場と思っていません。出来ればお願い出来ないかしらと思っているんです。」
マリエールはため息混じりだ。
「私の意向を尊重して頂けるならお断りします。百害合って一利なしだと思います。はっきり言って成功するとも思えません。苦労してやり遂げても先の展望が見えません。大工事になります。見合う利益は出ません。でもアルファリア様のご命令ならやります。結果がどう成ろうとやるだけです。」
アルファリアは憮然とした。
「酷い結果になるというのね。じゃあ教えて貰えるかしら。その酷い結果を。」
アルファリアとマリエールは改めて向かい合った。
マリエールに来て貰った。マリエールに頼むと命令ならやるが、自主的にやる気はないとの事。理由を尋ねる。