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       42 アルファノイド

 アルファリアとアンドロイド達の生活が始まった。アルファリアにとって、言葉が明瞭に聞こえる体験は心地良かった。

          42  アルファノイド


 マリエールは帰還した。超光速宇宙船で来たアンドロイドは次の目的地である。ここから0.8光年の赤色矮星(表面温度4000度以下の太陽よりも小さい恒星)のべーターの第2惑星に向かった。残り10体のアンドロイドがアルファリアの世話をしたり、アルファノイドの調査をする。

 アルファリアの世話と言っても殆どないに等しい。神殿の掃除が主だ。400平方メートル殆どの神殿だったが、もう少し大きい別館が出来た。神だけあって多重存在だ。アルファノイドのどの場所にも存在出来る。だから悪霊が放たれた時対応出来た。妖精の思念を感じるのだ。神というのは遍くある物で神殿にいるアルファリアはそのディスプレーだ。見えるからと言って全体ではないし、物体でもない。神殿にいけばアルファリア神に会えると精霊や妖精に思わせるシンボルだ。実際には遍在しているから何時でもいるのだが、

アルファリアが感じて、必要なら出現する。しかし、妖精が感じる殆ど気配はない。神殿のアルファリアも何時もは希薄だ。何事無く居られるくらいに、悪霊事件からアルファリアの神としての生き方が一変した。悪霊退治に宇宙船、アテネの仕業と判って、マリエール来訪、別館建設、調査団と側使え、10人居るが1人1人がアルファリアに匹敵する霊力の持ち主だ。性格も良い。数人で行う夕方のゲームが楽しみだ。飲食不要の神なのに夕食でのお酒が楽しみだ。何よりも彼らとの会話が楽しい。神になつて、無限の時を過ごし、妖精の愚痴を聞いたり、不届き者を叱ったりしてきたが会話が楽しいと思った事はない。一つには念話の不明瞭さもあると思う。念話は考えが伝わるので、伝えたい事だけでなく他の考えも伝わり

雑音が多い。妖精達とは念話だ。言語で話すのは神同士だけど滅多に言葉を交わす事がない。宇宙船で現れたアンドロイドが神の言語を話したのは驚いた。マリエールもこのアンドロイド達も明瞭な言語で話してくれる。アテネとの会話がどれほどか判らないが、それ程頻繁とも思えない。アテネも妖精や精霊を相手にしていた。神語を話す人間やアンドロイドに出会ったのは始めてだ。そもそも人間とコミニケーションした経験がない。

 今日は4人で夕食だ。人間が飲むビールと言うお酒とお刺身と言う魚介類の生の切り身と、お寿司と言う米を炊いた飯の上に刺し身を乗せた物だ。酒に合う。3人は西の島の捜索に行ったそうだ。妖精や精霊の気配が無く、神に見放された荒れた土地で動植物も荒々しい感じがしたそうだ。植物は針や棘、毒を持ち、動物も刺々しく牙や爪で攻撃し合う光景を何度も見た。体長も10mから20mもありここの大陸では見たことのない生き物が沢山いた事を話してくれた。画像と言う物を見せてくれて、一番恐ろしいのは、マリエールの記憶と合わせるとティラノザウルスと言う肉食恐竜らしく、自分の体長の倍ある相手を攻撃している様子の画像を見せてくれた。自分の影響が及ばない西の島ではこんな事になっているのだと知って驚いた。

 酔う筈のないこの身で、自分がこの星を管理していると思っていたのに、力が及ばない地域が合ってこんな殺伐とした状況だと知って、現実感が無くなり酔った様な気分になった。アルファリアは、

「とても大切な情報をありがとう。今後どうしていくか考えるよ。」

と応えた。彼らはお役に立てて嬉しいです、と言った。

 アンドロイド達が西の島の様子を画像を交えて教えてくれた。この星にも自分の力が及ばない場所がある事を知って、酔った様な気分になる。

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