254 ロバート
ロザリアはロバートに本当の姿を見せた。その姿はこの星の人間としておかしくはない。むしろ美し過ぎるほどだ。
254 ロバート
ロザリアの姿は確かにあまり変わらなかった。周りの客も騒がない。しかし、ロザリアは確かに変わった。美しい女性と言ってもここまで整った容姿の女性は見た事がない。金髪碧眼の人間はもっと北方で稀にいる。ここまで肌が白い人間は稀だ。神話の世界の美の女神のようだ。ロバートはロザリアを美しいと思った。一目ぼれした様だ。ロバートは、
「宇宙人の方は良く他の星に見えるのですか。私は宇宙人に始めて出会ったのですが。」
ロザリアは微笑んだ。
「私はまだ両手の指で足りる星しか訪れていません。でも出会った宇宙人は何千もの星を訪れたそうです。宇宙人の間のルールで歴史のある知的生命体の居る星には宇宙人との接触が歴史に残らない様に注意する事になっているので普通人間が宇宙人を認識する事はあまりありません。宇宙人は目立たない様に行動しています。しかし今回は別です。この星は一度核戦争で滅び私が滅びた1年前にリセットしました。再び滅びるか生き残るかはそこにいる人間次第です。リセットされた事実を知らないままなら、前と同じ事が繰り返すだけでしょう。私は宇宙人である事を明らかにしてあなたに事実を告げました。あなたは通信機能を持ったパソコンを所持しています。あなたは宇宙人の警告を人々に伝えて下さい。」
ロバートはその申し出を受けた。ロバートはロザリアの写真を撮り連絡先を聞いた。そしてロバートは、
「いろいろ聞きたいが、先ずきみはきみの星からどうやってこの星まで来たのだい。ロケットでは他の太陽系には行けないのだろう。」
ロザリアは微笑みを返した。
「宇宙船です。超光速の。反重力装置により簡単に大気圏外に出られます。そして多次元空間を通して目的の場所に向かいます。一見光速越えて移動しているようですが。光速を越えて移動する物はないですよ。異なる次元を使えばそれだけでいい様に思うかも知れないけど、厳密には位置が定まらないので移動手段は不可欠です。」
ロバートは興味深そうに聞いた。ロバートは、
「その宇宙船には沢山の荷物や人々を乗せられますか。」
と聞いた。ロザリアは、
「私の宇宙船は数十人ですね。荷物はアイテムボックスに入れます。」
ロバートの質問が続く。
ロバートの質問が終わり、ロザリアが質問した。
「あなたは本当にこの星を救いたいですか。」
ロザリアの質問にロバートはしばし考え、
「私は独身です。大切な人々は両親含め僅かです。来年この星が滅びるのは耐え難いですが、50年後にこの星が滅びるのは構わないと思います。正直この星が滅びるのは必然です。そういうつもりでインターネットに掲載します。未来永劫のこの星の存続を願う事はしません。あなたの与えてくれたチャンスは生かしたいです。だからと言って滅亡する度に、あなたにリセットされる未来は望みません。」
ロバートの言葉にロザリアは満面の笑みを浮かべた。ロザリアは、
「私がこの星の未来を託した人があなたで良かったわ。リセットをかけて何もしないのは気が引けるけど過剰に期待されるのも困るものね。あなたにしか警告しないし2度とリセットは使わないわ。あなたに託して良かっわ。本当にありがとう。」
ロザリアは自分の代金を払って立ち去った。
最後にロザリアはロバートに尋ねた。本当にこの星を救いたいかと。ロバートは来年は困るが50年後なら滅びても構わないと答えた。




