241 クーデター
密偵が主になりクーデターが計画された。首謀者第2王妃だ。第1王子は国王に推されたが本意ではない。
241 クーデター
第1王子は荒れていた。今回の騒動に第2王妃は関与していたようだ。しかし第1王子は関りない。第2王妃の子どもだと言うだけで処分された。廃嫡だ。王宮を出た事で外部の者と関り易くなった。正直王位など興味はない。廃嫡された今まともな方法で王位が手に入るわけがない。暴力による王位の奪取だ。クーデターだ。内部に協力者がいれば可能性はあった。しかしその手立てはもうない。貴族集まる場で強硬実施するしかない。
旧国王派閥と密偵が出入りする。年始の挨拶が王宮で行なわれるがその会場がクーデターの場になるそうだ。確かに王宮の園庭の一部が市民に開放され一般参賀も行なわれるので密偵を紛れ込ますには好都合かも知れないがイワン帝国を一人で潰すロザリアがいるのだ。クーデターが成功する確率はない。
密偵が力説する。
「同時多発テロです。勝利の要は如何に連携の取れた動きが出来るかです。平民は平民の中で貴族は貴族の中で騒ぎを興し、国王をロザリアから離して、国王を捕らえ、第1王子に王位を譲らせる事です。」
密偵は作戦を話す。平民側では幾つも爆薬を使い、平民側を大混乱に落とし入れ。貴族側から国王を狙う。貴族側も幾つか別れて行動する。成功は間違いないと話す。
年始の挨拶一般参賀の日が来た。第1王子は上手く行く筈ないと思って居たが爆発までしないとは拍子抜けだ。何でも喚問に引っ掛かり爆発物を押収されて逮捕された。自供により貴族側のメンバーも判りクーデターは未然に防がれた。第2王妃は処刑された。密偵も捕らえられた。イワン帝国との交渉は今後だ。戦争になる可能性もある。そして第1王子は捕らえられた。縄で縛られ国王やロザリアの前に立たされた。国王は、
「今回は反逆罪だ。証拠も証言もある。軽い処罰では済ませれない。その方の言い分や希望はあるか。」
第1王子は、
「前回、私はただ祭事をする事だけを望みました。ロザリアと比較されたくありませんでした。なのに廃嫡されてしまいました。既に罪人とされてしまいましたので人々のために祈る事も叶わない身になりました。今回も率先してした事ではありませんが私を国王とする事に反対もしなかったのですから反逆罪で間違いないです。既に母上も処刑されています。今さら命を助けて欲しいとも思いません。ただ妹には罪はありません。御慈悲をお願いします。」
国王陛下は、
「その方の妹はその方の祖父の養子となり祖父の家は妹の物になる。心配は不要だ。新たに貴族の籍に付く事になる。その方の事だ。ロザリアと相談したのだが、この国にいるとまた担ぐ輩が出るかも知れない。マリエールの国の平民として生活してもらう。暫くマリエール商会で雇って貰う。」
第1王子に否は無い。ロザリアは、
「兄上、今はせんない事ですが前にも言いましたが兄上が国王になり私が仕える未来望んでおりました。」
そんな未来もあったのかもしれない。第1王子はただ
「ありがとう。」
とだけ言った。
クーデターはロザリアによって未然に防がれた。第2王妃は処刑された。第1王子も国王とロザリアの前に立たされた。




