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       229  クラーケン

 クラーケンは川を遡り、王都に攻め込んだ。クラーケンは平地を周り家屋王城を破壊して人間や獣を喰らい、破壊した建物まで喰らった。

          229  クラーケン


 クラーケンの侵攻は一年以上続いた。クラーケンは森や山には侵攻しないから人間はそこで生きているのだろう。平地はほぼ蹂躙された。不思議な事に倒壊した家屋の回収作業をクラーケンがしている。あんな物でも栄養になるのだろうか。

 マリエールは故郷の国と東の国々で海洋開発を始めた。海から10kmの所に壁を作り、海洋開発と産業事業を始めた。住人はアンドロイドだ。クラーケンはなおもいる。海産物や生産した物は西の国や周辺国に売られる。クラーケンの動きが明らかにおかしい。川遡ったクラーケンは海に戻る気配も無く海洋開発に影響を与える事も無く、更に一年過ぎた。アンドロイドが陸にいるクラーケンを収納し始めた。山や森にいた人々は平地に出だしたがアンドロイドに捕獲され海沿いの地域に連行される。文句を言う者は処分される。平地は農作地になりアンドロイドが収穫する事になった。これでマリエールに縁のある王族や貴族はいなくなった。強引なやり方かも知れないが、東の国の影響はこのくらいやらないと消えない。

 マリエールの支配地域は広がったが、大陸全体から見ると僅かな地域だ。北の国の北にもその西にも大陸は広がっていてそれぞれの文化持っている。海を渡れば未知の世界が広がる。マリエールは遠い世界に目を向ける。

 北の国が占領された時、その北の国々は危機感を持った。お互いにも連絡を取り合いながら、その西の国々に連絡を取っていた。西の国々の中でも強国と言われるイワン帝国の宰相は皇帝と共にこの問題について議論していた。宰相は、

「北の国を占領したという事は相当強い国が現れたという事ですよね。警戒しないとここ迄攻めて来る可能性もあるかも知れないですよね。」

この国は北の国から遠い。馬でも3ヶ月はかかる。その可能性は低いと考えるがゼロでもないだろう。

「宰相もたらされた情報は何だ。」

宰相はもたらされた情報を伝える。特に約束の期限を待たず攻撃した事を強調した。皇帝は、

「そのような卑劣な国なら協調する国もあるまい。この国に来る事もあるまい。」

宰相は、

「北の国に接する国から軍事要請が来ております。何らかの返答はする必要はあります。」

皇帝は苦虫を噛み潰したような顔をした。

「これだけの距離があるのだ。相手を刺激するような事をしなければ攻めて来る事はない。かの国々とは軍事同盟など結んだ事ないだろう。」

皇帝は戦いに引きずり込まれる事を危惧した。宰相は、

「皇帝陛下の考え方は理解しました。かの国々へは軍事要請には応じられないと返答しておきます。北の国を占領した国は変わった戦略を取るようですので情報だけ入手します。」

宰相はドラゴンを操る戦略を取る事を述べた。皇帝は、

「召喚か調教か、子どものうちから飼うとドラゴンでも飼い慣らせると聞いた事があるな。我が国ではやらないのか。」

宰相は、

「我が国でのドラゴンの調教は、寡聞にして知りません。しかも聞く範囲ではドラゴンが自主的に動いているようだと聞きました。」

皇帝も深刻さが判ったのだろう。

「余計にそんな国と事を構える事は出来ぬ。疑われるような事は一切するな。」

宰相はそれに従った。

 イワン帝国では北の国が占領された事に基づき情報分析が行なわれた。戦闘にドラゴンが使われた事から絶対に避けるべき相手と断じられた。

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