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          223 薬師

 薬師のロッテは薬草取りに出掛けた。薬草取りの最中に毒蛇に咬まれた。治療はするが意識を失った。気が付くと傷口が治っていた。

            223  薬師


 ロッテは街の薬師だ。医師の育ての親がいて漢方薬を学ぶ。医学薬学の本を読んだが医学は性に合わない。黙々と漢方薬を作るのが自分には合っているようだ。もちろん必要な医学は学ぶ。消毒薬を作っても傷の治療法を知らなければ薬が使えない。私は怪我人病人と出会った時に対応出来る薬師になりたいのだ。そう言うと医師のように聞こえるが、医師になりたいわけではない。入院治療の必要な患者に向き合ったり、大病大怪我に向き合う覚悟はない。難病と戦う覚悟もない。刃物の扱いは慣れているし血を見るのが怖いと言う事はない。父親の手伝いで怪我人の治療も行なったし、お産の手伝いも何度もした。医師には向かないと思うのは煎じ詰めれば人の死に向き合うのが慣れないのだ。

 子どもが一人で薬草取りに出掛けるのは攫ってくれと言っているような物だ。だから薬草取りには番犬を連れて行く。誘拐魔は防げるし野獣や魔獣が出る所ではない。油断したのは毒蛇にだった。薬草採集に毒蛇は付き物だ。何しろ毒蛇の住処を漁るのだ。毒蛇に咬まれた時の対処法と治療薬は判っているし持っている。ただし毒蛇に咬まれたら10中8、9助からない事も知っている。完璧な治療方法がないのだ。

 薬草を採集している時に手に激痛が走った。知っている毒蛇で最悪の蛇が去って行くのを見た。とにかく咬まれたところの血抜きが先決だ。咬まれた所をナイフで突き刺した。消毒薬を振り掛けた。怪我の治療と同じだ。毒蛇の治療薬を飲んだ。激痛が走る。頭が朦朧とする。せめて意識のある内に父親に手紙を書きたいと思った。僅か10年の人生だったが、父親に会えて良かったと伝えたい。紙と墨を出そうとするが身体が動かない。ロッテは、

「もう死ぬのだ。」

だと思った。意識が遠のいた。ロッテは死んだ。

 何時間そうしていたのだろう。不思議と痛みもないし意識もはっきりしている。立ち上がってみてもふらつきもない。不思議な事に毒蛇に咬まれた跡もない。空腹を感じたので薬草や荷物をまとめて帰宅した。

 父親と共に昼食を食べた。不思議な体験を話した。父親は傷口を見て話した。

「お前が嘘言う筈がないから本当の事なのだろう。自己治療した可能性がある。他にも得た能力や魔法があるかも知れない。追々試してみる事だ。」

ロッテ自身は自分は一度死んだと思っている。生まれ直して今ここにいる。何が出来るか確かめるのが楽しみだ。新しいロッテの始まりだ。

 午後は漢方薬作りをした。時折来る患者の相手もした。アイテムボックスがあるのが判った。採集や往診に役に立ちそうだ。父親に言うと、古い家具や道具や本などを収納するように言われた。お陰で家の中が片付いた。しかしアイテムボックスが塵箱のように扱われるのは承知し難い。

 いろいろな能力や魔法が使える事が判って便利になった。特に複製魔法はありがたい。高価な薬を沢山複製して用いる。アイテムボックスにも入れておく。次第に繁盛するようになった。

 いろいろな能力や魔法に目覚めた。特にアイテムボックスと複製は役に立つ。高価な薬草が簡単に増やせる。

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