221 宝物
島の遺跡の宗教的儀式を行う部屋で経典を見た。それは邪龍を龍と人間で滅ぼす神話だった。邪龍に味方したバーバリアンはまだいる。
221 宝物
地下に埋もれた遺跡は多くの地下の遺跡がそうであるように無酸素状態だった。その原因は恐らく遺跡の中の炭素だろう。急激な酸化は火炎になるが長期間炭素を空気中に放置しても酸化する。劣化だ。開放された建物で起こるなら炭素が使えなくなる程度の被害で済むが人間のトレジャーハンターなら生きて居られない。長期間放置されている遺跡ほど危険性は高い。呼吸をしていないアンドロイドに関係は無いが。
塔を降りるとそこは宗教的儀式の部屋だった。そこにある物は財宝の類と魔導具、魔導書、宗教関係の書物その他の書物だ。どうやら当時の宗教関係者は政治や金、軍事との関係が強かったようだ。神として龍を奉り、邪龍を人間と共に葬った事が宗教関係の書物に書かれていた。その時使われていたのが魔導具や兵器だった。邪龍は滅ぼされたが邪龍に味方したバーバリアンはまだいる。バーバリアンは恐ろしい魔法を使い我々の攻撃を寄せ付けないと書かれている。様々な魔法や兵器の記載がされているし魔導具や兵器が実際にある。邪龍はともかく戦争はその時点までに実際にあったのだろう。それ以降に再びあったのではないだろうか。それが古代文明の崩壊の原因ではないか。
アンドロイドは実に一週間も宗教儀式の部屋に籠もり兵器や宗教関係に関係ない財宝や金銭、書物や磁器や陶器、器具や道具を収納した。城のアンドロイドはそれらを取り出して研究者達に渡した。
遺跡のアンドロイドは報告をマリエールにして、
「この国の宗教や歴史、神話や文明について調べて下さい。この国の民が古代人を絶滅させた可能性があります。何を収納して良いか指示して下さい。この国の人々は案外したたかなのかも知れません。侮らない方が良いです。」
マリエールはアンドロイド10体を出して宗教や歴史、神話や文明について調べるように命令した。マリエールはギルド長に宗教関係者と面談したいと申し入れた。ギルド長をしたたかなとは見ていなかったので遺跡のアンドロイドの視点で見ると新しい物が見えて来た。マリエールはギルド長に、
「私もこの国の経典や神話はある程度知っているつもりでしたが、国民には知らせない経典や神話があるのですね。」
マリエールはまだ正確な情報は無い。テレパスは相手の思考を読むものだからあてずっぽうでも話して相手に思考させないとテレパスが出来ない。案の定ギルド長は古代人の経典と対になる神話を知って居た。
「これは公にはしていない事です。私も教会長から他言不要と言われて聞かされたのです。歴史書には記載されていません。神話と経典には記載されていますが極秘文書として禁書庫で保管されています。自分の国が他の人々を絶滅させて出来た国だとは思いたくありません。知らない方が良い事はある物です。マリエール、あなたがこの国を滅ぼした方が良いなら、あるいは王政を無くした方が良いなら、この国をロボットの治める国にしても構いません。」
古代文明を滅ぼしたのはこの国の人間なのではないだろうか。その証拠が経典や神話、歴史や文明に残って居ないか調べ始めた。




