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          213  帰国

 国に帰って冒険者ギルドに出向き、ギルド長に見せると依頼主の所まで持って行ってくれと言われた。依頼主は国王だった。

            213  帰国


 マリエールと白獅子は帰国して冒険者ギルドに向かった。依頼達成を告げるとギルド長室に案内された。マリエールはギルド長室に象牙をだして報告した。

「これが象牙です。間違いありませんか。」

ギルド長は触ったりして確かめた。

「間違いない。これが求めていた物だ。悪いがこれだけ大きなものだ。依頼主に直接渡して貰ってもいいだろうか。」

始めの依頼にはなかった事だ。断って問題ないがここまで大きな仕事だ。断わる必要もないだろう。

 王宮に来た。突然来たのに王族も貴族も揃っている。ギルド長に言われマリエールが象牙を出す。歓声が上がる。鑑定士が象牙を鑑定する。暫く経って鑑定士の、間違いありません、の声に再び歓声が上がった。

 国王陛下のお褒めの言葉あった。冒険の話しをマリエールがした。主に王族から質問がありマリエールが答えた。白獅子に対応させるのは無理だ。外見がマリエールと同じくらいの美しく優しそうな王女が躊躇いがちに、

「マリエール、あなたにあなたの英雄譚を聞かせて欲しい。この後私の部屋に来て欲しい。」

マリエールは独断で返事をするのは不味いと思ってギルド長を見た。ギルド長は国王を見た。国王は、

「王女は英雄譚が好きだ。この後、償金やランクアップの話しがあるが、他のメンバーに話しをすればいいだろう。マリエールは王女と退席して、王女の我儘を聞いて欲しい。」

いくら異世界と言ってもマリエールの魔法は異常だ。この世界の魔法では説明がつかない。神か天使か悪魔の技だ。マリエールはそんな存在に見えない。この場では聞き難い。王女が機転を利かせて名乗り出たのだ。マリエールと同じ年頃の王女のおねだりなら国王も認め易いし王族貴族の不信感も持たれない。国王と王女の阿吽の呼吸だ。マリエールは王女の側近に案内されて王女の部屋に向かった。

 王女の部屋に着くと既に王女は着席していた。マリエールは王女の向かえに座るように言われた。目の前の王女は美しく品がある。そして悧発そうだ。にこやかに笑っているが目は笑っていない。王女はお茶とお菓子を勧めながら、

「私は英雄譚が大好きなの。こんなに早く偉業を達成出来る秘訣が聞きたいわ。」

王女は無邪気そうに話し掛けた。マリエールは、

「転移魔法特に集団転移は使える者が少ないですから王女様でもご存知ないのでしょう。王宮魔導師なら知ってはいると思いますよ。魔導書に載るほどポピュラーな魔法ではないですが。この国にも数名いますよ。使えるのがばれると騒がれるからコッソリ使っている人が多いですけどね。」

王女は転移魔法は知らない。魔法は習ったが転移魔法もアイテムボックスも知らない。魔導書にもそんな魔法は載っていない。

「転移魔法やアイテムボックスはどんな術式で動くのですか。」

マリエールも術式は知っている。術式を使うと複雑な魔法が使えたりする。術式の一部は魔法陣として使っている。

「生憎、転移魔法やアイテムボックスの術式はありません。」

 マリエールは王侯貴族の前で冒険の話しをした。マリエールに英雄譚を聞きたいと王女が言った。

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