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       192  オーディション

 オーディション当日だ。他の熟練達は演技力が高い。彼女無難出来たし、サロメには適役だ。

         192  オーディション


 オーディション会場だ。出場者は彼女以外はおばさんだ。年齢よりも演技力が優先されるのだろう。マリエールの前世でも同じだった。だからこそマリエールは彼女に演技力を身に付けさせた。サロメの主役をやれるくらいに。

 オーディションの出場者は4人、彼女以外は30代だ。サロメと言うよりサロメの母親の年齢だ。彼女は4番目の出場だ。オーディションの雰囲気慣れた方がいいだろう。彼女にとって良かったと思う。

 オーディションが始まった。最初の女性は大柄だ。歌も踊りも上手い。妖艶さも十分だ。演技力もある。明らかに名優だ。サロメとの年齢差がなければ彼女では敵わない。2人目は歌や踊りや演技力は1人目に敵わないがスタイルが良くて若々しい。3人目は歌や踊りが素晴らし。3人の中では1人目かなと思う。彼女にだってここまで指導したのだ。頑張って欲しい。

 いよいよ彼女の番だ。出足は上々だ。落ち着いて日頃の成果を出している。妖艶で魅力的な歌声や踊りが出来ている。サロメのイメージが彼女の中で出来上がったようだ。続いてお願いだ。幼いサロメが必死にお願いする様子が上手く出来ている。演技力かどうか判らないが、彼女はサメロになりきっている。まさに適役だとマリエールは思った。マリエールはどうしても彼女を主役にしたいわけではない。彼女自身も思った筈だ。彼女には演技力が足りない。練習の日数だけの問題ではない。長い月日を重ねなければ身に付かないものだ。ただサロメの役は彼女が適役だ。年齢の事もあるだろう。国王に願う姿は彼女が一番様になっていた。何がオーディションで選ばれる理由か知りたいだけだ。

 オーディションの結果発表になった。彼女が選ばれた。予想通り不満の声が出る。彼女よりも演技力の高い者がいた。歌や踊りが上手い者がいた。審査員の代表が語った。

「彼女は演技力や歌や踊りはまだまだだ。しかし、サロメという役には彼女が適役だ。今回の演劇は必ず成功する。だから彼女だ。」

オーディションは必ずしも演技力だけで決まるものではない。興行収入が上がる事こそ本来の目的だ。偶々サロメだったから彼女だったが。別の興行ならオーディションの出場もなかったかも知れない。

 オーディションが終わると何時もよりも早い帰宅になった。2人はささやかなお祝いをした。彼女はマリエールにお礼を言った。

「主役に選ばれたのはあなたのアドバイスのお陰だわ。私も何時も役をイメージして演じていたつもりだったけど、役になりきるという事が判っていなかったようだわ。今回サロメの適役だという事で選ばれたけど。演技力も歌も踊りもまだまだだと判っているわ。あなたのアドバイスで少しまともになったと思うけど。」

彼女は素直にお礼を言った。マリエールは、

「私はあなたに切っ掛けを上げただけ。自分では気づけない所があるからね。これからが大変よ。全部通してやるからね。」

2人は毎日練習した。

 オーディションの結果、彼女が抜擢された。やはり彼女がサロメに適役だと審査員も考えたようだ。

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