181 宇宙 2
プラント星には何回も異星人の来訪を受けている。難光年を超えてやって来た彼らの目的はプラント星の生物の捕獲だ。動物園で星人に見せたり研究をする。
181 宇宙 2
食料といっても食べるわけではない。根から吸収するのだ。水と栄養を吸収すれば、冬でも生活出来る。マリエールはこの星をプラント星と名付け、プラント星の人間をプラントと呼んだ。プラントは炭酸同化作用と根からの吸収で生活してきたが今までは他の事をする余裕はなかった。それが今ある。年齢の高いものは過去の歴史を語り、若い者は文化や芸術や技術に興味を抱く。
この星には何度も他の星から来訪が有った。歴史を持った恒星間移動の出来ない星には訪問しないという規則の様な物が有ったようだが、この星は対象にならないだろう。印刷物の存在をマリエールは知らない。この星に来れるほどの文明を持った星ならこの星が間もなく氷河期に入る事も判っている。暫くはこの星に来ない思慮は出来る。他に価値は見当たらないが。珍しい生物のいる星。環境を調えてやれば生育させるのにさほど苦労のない生物。動物園にとっては好都合な生き物なのだろう。
それから言い伝えや体験からこの200万年で100回以上の氷河期と間氷期がある。氷河期も間氷期も10000年が目途らしい。プラントは長寿なので数回の氷河期や間氷期を経た者も少なくない。原因は明らかだ。光合成による。二酸化炭素の不足だ。原因に思い至った者は居ても対策しようと思った者はいないようだ。核融合発電と二酸化炭素の発生。二酸化炭素は光合成の進み具合で発生を調整していく。つまり二酸化炭素の濃度を一定にする。
原因が公転の軌道の変化や地軸のズレであった場合は対応が難しい。記憶のマリエールには天文操作という魔法があってそういった事にも対応出来るようだが今マリエールには無理だ。過去にそういった氷河期はあったろうが、今回は二酸化炭素が問題だ。
マリエールの私室は地下にある。毎日プラントにはあっているがプライべートは関わらない。
お風呂も入らず食事もしないプラントと一緒に生活は出来ない、価値感が同じにならない。ただこの星の歴史や芸術、文化や技術については語り合える。
プラント星とはいえ全ての生物が動物と植物の両方の特性持っているわけではない。植物だけの特性を持っているもの動物だけの特性を持っているものがどの時代にも必ずいる。今の時代にも少なからずいる。ただ氷河期乗り切るには動物と植物の特性を併せて持つ物が有利だと判っている。プラント達には骨がないので化石には残り難い。しかし同時代生きた動物の化石から、氷河期やその他の生物を滅亡へ追いやる要因と規模が判る。過去最大の滅亡は三億年前大規模な火山噴火で大量の溶岩が流れ出し。気候にも大きな影響もたらした災害だ。動物の8割が絶滅した。事の大きさは比較が難しいが、10億年以上昔にプラント星全体が氷に覆われた時期がある。公転軌道と地軸傾きが変わったせいだと言われている。ただし単細胞生物の時代だったので影響が何処まであったのか判らない。古代生物学の魅力は尽きない。
古代生物を研究する中で様々な事が判る。過去最悪の滅亡の危機は三億年前の火山噴火に起因する物で動物の8割が滅亡した。