173 アリサ 11
王都最大のヤクザ組織が襲撃を受けた。会長は隠し金庫に隠れたが、簡単に見つけられた。
173 アリサ 11
治安部隊は良い働きをしてくれる。王都にあるヤクザの組織はその標的だ。最大のヤクザ組織がアリサ商会の南にある。何度もアリサ商会で問題を起こしている。始めに狙うのはこのヤクザ組織だ。
大きな3階建てのビルだ。組員は300人を超す。商店街の一画にこれだけ大きな建て物があるのが異様だ。襲撃は3チーム合同だ。正面から2チーム、裏から1チームだ。午前0時決行、抜かりはない。
戦闘は始まった。正面の扉を開け次々と人間と有価物を収納していく。ナイフで斬り掛かって来る者もいるが魔法を飛ばし収納していく。
会長は3階の会長室で下階の物音を気にしている。手近な部下に会長は聞いた。
「いったい何が起こっているのだ。」
物音は身近に感じられる。2階まで迫っているようだ。
「敵襲です。何者かが襲ってきました。」
ヤクザ組織に喧嘩を売って来るのは縄張り争いか警察か。そんな気配はまるで感じなかった。会長は難しい舵取りを無難にこなし問題はなかった筈だ。会長は部下に次々と指示を出して難局を乗り越えようとした。しかし部下は、
「2階を制圧されました。3階に登って来ました。隠し金庫に身を潜めて下さい。」
一刻の猶予も無い事が判った。会長は隠し金庫に身を潜めた。賊が部屋に侵入して罵声や音がする。内鍵のしてあるこの金庫には侵入出来ないと思ったがアッサリ侵入を許した。胸に痛みを感じ気を失った。
この国の王室には国王、皇太子、宰相を始め国王の側近が数人いるだけだ。宰相は話しを始めた。
「皇太子陛下の所に出入りしているアリサという女性が商会を始めました。その時期と同じに商人、役人、貴族が何人か死んでおります。二つの事柄に関係がないかどうか。国王陛下は危惧をしてみえます。皇太子陛下は何かご存知ないでしょうか。」
皇太子は下級貴族が死んだ話しは知っているが商人や役人の生死は知らない。皇太子は宰相に、
「彼らの死とアリサが関係があるのか。証拠があるならアリサを捕らえればいいだろう。私に問う事か。」
皇太子は気色ばんだ。国王は、
「証拠はない。時期が問題だけだ。しかも問題がある者ばかりで贈収賄も発覚している。どうしてピンポイントでその様な事が起こるのか気がかりなだけだ。アリサという女性は天啓を告げるではないかと。」
国王の言葉には皇太子は心当たりがある。皇太子は、
「アリサは天才であり、様々な能力があります。国にとって有益ならば彼女の能力は生かすべきでしょう。現に私は恩恵に預かっています。」
今回の件はそれ以上詮索せず、様子を見る事になった。
マリエール商会が発足して顕著なのが海産物という新たな食品が提供された事だ。始め街のマリエール商会だけで食材、食事提供されていたが、特に居酒屋での需要が高くマリエール商会の目玉商品になった。海産物の収穫場は各地に出来て関連施設も出来た。でも複数は要らない。複製が可能だ。
貴族の中でも海産物が流行り出した。
皇太子は国王に呼ばれてアリサの事を聞かれた。商会ができた時に商人、役人、貴族が病死したらい。もしかしたら天啓を告げる者かも知れない。