17 オリビア
風の女神オリビアは、青い翼と行動を共にした。公爵の所やギルドで突然飛び出すなど奇行が目立つ。
17 オリビア
始めは女神の尊厳を踏み躙られた様に感じたオリビアも、マリエールや青い風のメンバーやアンドロイド達を気に入ったようだ。暫く青い風と行動を共にする事になった。青い風もアンドロイドや女神まで一緒とは賑やかな事だ。ちなみに女神でも食べるし飲むし寝るし不平を言うし我儘だし、威厳がない。上級神はそうでもないが下級神のオリビアは人間のようだ。
レイシアはオリビアを自分のアイテムボックスの亜空間に入れて公爵に謁見していた。いきなり女神が出て来ては公爵も心臓に悪いだろうと言うものだ。オリビアに貰った風の女神の紋章の入った、アダマンタイトの宝石で飾られた短剣を公爵に見せた。ちなみにマリエールはオリビアにオリハルコンの宝石の入った短剣ど、ミスティル銀のジュエリーを幾つか贈った。オリビアはダイヤモンドのジュエリーを気に入ったようなので、もう一つダイヤモンドのジュエリーを贈った。上機嫌になった。
公爵は、事の顛末聞き、アダマンタイトの短剣を見てため息をついた。
「魔王か。この度はその方らが討伐に当たってくれるのか。」
公爵は聞いた。青い翼のリーダーは、
「恐らくは、そういう事だと思われますが、伝説では勇者と聖女が討伐すると聞いております。我々にはどちらもありません。風の女神様のご加護はありますが、それだけで討伐可能なのか判りません。」
公爵はふむふむと頷いて、
「女神のご加護は強力だ。たとえ勇者、聖女と言えどもその方らのような活躍は期待出来まい。期待しておるぞ。」
突然アイテムボックスからオリビアが出て来て、
「人間、良く判っておるではないか。我の加護さえあれば、どんな難敵でも怖れるに足りぬ。」
空間から突然現れたオリビアだが流石公爵、驚いた様子も見せず、
「風の女神オリビア様とお見受けします。お見知り置き下さい。」
オリビアは機嫌良く、
「敬虔な信者の事は良く覚えておる。加護は戦闘能力を高めるためのものだが、御利益は様々な形で与える。期待しておれ。」
神の言葉とは思えないが罰当たりな事も言えない。公爵は、
「ありがたきお言葉です。」
と無難にかわした。
ギルドでも同じような事があった。久しぶりにホー厶に帰って寛いだ。
レイシアはオリビア相手にいろいろな冒険の話をしたり、マリエールの話をしたり、マリエールの記憶の話をした。普通の人では信じられないような事でも、オリビアは真剣に聞く。流石神様というべき所か。
「確かにドラゴンの素材はいい薬に成る。しかし、リバイアサン程ではない。」
海のドラゴンリバイアサン難易度は桁違いだ。マリエールは聞いていたに違いない。オリビアはそれを意識してか。
「しかし、それも魔王を討伐してからだな。魔王もいい素材に成るし、魔王が居てはどの魔獣も強く成るから、倒せる魔獣が倒せなく成るからな。魔王が居ては、冒険者も国民も困るだろう。」
困った女神だが抑える所は抑えるというか、順番は間違えてはいけないとしっかり言われるマリエール。しかし、魔王の情報はまだ殆どない。
レイシアがマリエールの事を語るのをオリビアは真剣に聞く。ドラゴン素材よりもリバイアサンの素材が良いと言うも魔王討伐が先という。