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        169 アリサ 7

 皇太子は原理を聞いたり王族への普及を言い出した。アリサははっきり断わった。年に一ヶ月皇太子妃の診察と王子王女の読み聞かせに王宮を訪れる事になった。

          169  アリサ  7


 皇太子はどんな原理か聞いたり、王族に広めたいと言った。アリサは、

「ごり押しされるなら、私はここから転移して他所の国に向かいます。そうすればせっかく成長した王子様の才能も消えるでしょう。この国でお役に立つ事も叶いません。」

皇太子は凡庸でも強欲でもない。冷静に客観的に物を見る事の出来る人物だ。皇太子は、

「性急過ぎたようだ。転移の魔法も信じられる。そなたが国を出ると王子が凡庸になるのでは困る。今後の話し合いにもよるが、毎年一ヶ月皇太子の診察と王子王女の読み聞かせに来て貰う事は出来るだろうか。春の桜の咲く頃に来て貰うと有難い。」

アリサもそのくらいなら問題ないと答えた。皇太子妃も王子王女も喜んだ。

 久しぶり街の診療所に戻った。7ヶ月振りの診療所は顔ぶれが代わった。前の医師見習いが居なくなり、新しい医師見習いと治癒魔法師の女性がいた。アリサは紹介され紹介を受けた。アリサのよも年上の医師見習いとアリサと同じ年頃の治癒魔法師だ。他にも大勢見習い希望者がいたが断わったそうだ。診療所も名を上げたものだ。

 アリサのいない内の様子を聞いた。盲腸炎の手術は何件かやったそうだ。全て成功したそうだ。慢性患者の薬剤投与はやってきたそうだが死んだ人もいる。逆子や双子の対応は出来たそうだ。臓器移植は全て断わった。やれない事は出来ない。7ヶ月もいなかったのだ。早急に対応しなければならないものはないだろう。医師は、

「アリサに見て欲しい案件が幾つかあるのだ。富豪の慢性患者や妊婦で移植希望や気になる者がいるんだ。」

産科はアリサと治癒魔法使いが行う事になった。診療所での診察治療は医師と医師見習いが受け持ち、往診はアリサと治癒魔法使いで行う。薬剤作りは全員で行ない。薬草採集は医師見習いが行ない、薬師での購入はアリサと治癒魔法使いが行う。 

 医師が気になる患者から往診した。一人目は下級貴族だ。通常アリサの診療所は貴族に関わらない。貴族は平民を無礼打ちに出来る。平民は貴族に関わりたいと思わない。貴族側にも平民と交わりを警戒する者がいる。無礼打ちした場合は届け必要だし、届けないと殺人罪に問われる。届けると何らかのペナルティがある。それに無礼打ちをした貴族としてのレッテルが貼られ、平民との取り引きを断わられる理由になる。こうした取り決めは最近出来た。皇太子が国王に進言したからだ。アリサを他の貴族に取られるわけにはいかない。2重にも3重にもアリサを保護する。

 貴族の中にも平民の医師を頼るものがいる。下級貴族だ。貴族の医師を頼るほど裕福でない。平民に信頼される貴族はいる。そんな下級貴族が始めのクライアントだ。皇太子妃を思い出す7ヶ月の妊婦だ。アリサは思う。どうして私はこんな妊婦に出会うのだろうか。診察して家族も呼んで報告した。

「胎盤や産道が軟らかくなっていません。このままでは母子共に死に至ります。適度な運動と呼吸法を練習しましょう。」

皇太子妃の症例は珍しくない。

 診療所に帰って始めてのクライアントが皇太子妃と同じ胎盤や産道が軟らかくならない7ヶ月の妊婦だ。この様な例は珍しくないのだろう。

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