15 新しいメンバー
レイシアはミルの様に人に世話をやいたり注意したりする事はない。ただ人を褒めるだけだ。
15 新しいメンバー
治癒師にとって、新しいメンバーは少し不安だった。ミルの様に陽気接してくれるわけではないし、積極的に何かを教えてくれるわけでもない。しかし、別に愛想が悪いわけでもないし、意地悪いわけではない。自分の仕事を淡々ととこなし、自分に求められる事を理解してこなす完璧過ぎる人だと思う。
朝食を2人で作る。大抵パンとサラダとミルクと目玉焼き。治癒師が目玉焼きを焼く間に他の物が用意する。新しいメンバーはレイシアと名乗っている。レイシアは治癒師の目玉焼きを見て、
「今日の目玉焼きは実に素晴らしいですわ。焼きぐわいといい、形といい、見事ですわ。」
治癒師は気恥ずかしい。そんな事言われた事ない。
それからレイシアはみんなの良い所を褒め出した。レイシアはミルの様にここはこうしたらいいとか、注意したりする事はない。ただ褒めるだけだ。少し気安くなれていろいろ聞くと、丁寧に教えてくれる。とてもいい人だ。
マリエールから素材の注文が来た。オークを出来るだけ沢山欲しいそうだ。オークの魔石は討伐証明になるし、マリエールには必要ないのでS級冒険者の物だ。久しぶりの冒険だ。冒険者ギルドに顔を出す。大物冒険者の登場にギルドがわく。治癒師とレイシアは依頼表を見に行く。B級冒険者以上の依頼で村の近くでオークが大量発生して村に被害が出ているという依頼があったのでそれを剥がしてリーダーに持って行く。かなり距離のある場所だ。遠征の用意はあるから心配はないとレイシアはいう。この依頼を受けてギルドを出た。
荷物は全てレイシアが持ってくれるので手ぶらだ。治癒師は遅れ気味になるとレイシアが背を押してくれる。どういう加減か分からないが、レイシアに押して貰うと体重を感じ無くなり、浮いている様に移動出来る。お陰で到着は翌日になると予想されたのに夕刻には村長宅について話が聞けた。
「この村の横には大きな草原があり、以前からオークが住んでいます。時々オークの被害はありましたが、先月からこの村中にオークが押し寄せています。多くの村民は避難していますが私はあなた方が来るまでここにいました。」
スタンビードではないだろうか。オークが留まっている事からすると強いがそれほど恐ろしい相手ではないのかも知れない。ここに来るまでも何体かのオークを狩った。明日はオーク狩りだ。レイシアが、
「今晩はここで泊めていただいてよろしいでしょうか。食事や寝具の用意はこちらでします。」
村長に了解を貰って、レイシアは準備を始めた。今日狩っばかりの焼き肉や野菜炒めや茸や鶏肉のフライまである。囲炉裏端で串焼きを焼き、テーブルの上には豪華な料理が並ぶ。様々な酒が出されている。村長は、
「こんな凄い料理は見た事がない。知らない酒が沢山ある。村の皆にも食べさせたいものだ。避難所生活ではひもじい食事だろう。」
席について、食事や酒を取りながら語った。
「オーク退治が終わったらみんなにご馳走しますよ。」
レイシアは言った。
翌日からオーク退治だ。村に入っているもの、村の近くにいるもの。草原にいるもの。次々と狩り捲くる。流石S級冒険者達だ。素早くオークを仕留め、レイシアが収納する。村周辺のオークを狩り終わるのに3日かかった。レイシアは村の周囲に壁を張り巡らした。村長の家に村民を集め宴会をした。
Sランクチームはオーク討伐の依頼を受ける。村にオークが襲って来る。討伐して村を壁で覆った。