143 カトリーヌ゙の成長 3
夕食は王宮の食堂で第3王妃の長女キャサリンと一緒だ。キャサリンは国王に言われてカトリーヌ゙の情報を仕入れようとした。
143 カトリーヌ゙の成長 3
夕方のニュースでは、カトリーヌ゙王女の施設訪問や講演会の事、児童養護施設での職員による児童への暴力行為があり、7人職員が逮捕されカトリーヌ゙王女が簡易型アンドロイド7体を貸し出したといった事が報じられた。
ここは王宮の食堂、カトリーヌ゙に取ってはあまり嬉しくない時間と場所だ。星の英雄をどう処遇するかは問題になった。結局王族としては認めても庶子の王女という事になった。食事は王族としては早い6時からだ。第3王妃が幼い王子王女を連れてやって来ていた。もう少し遅くなると酒場になってしまうので子連れの王妃達はこの時間に集まる事が多い。
先に食事を始めていた向かいの席に一人の王女が着席した。第3王妃の長女キャサリン王女だ。12歳にして成績優秀。将来はキャリアウーマンを目指すと豪語する。
「向かいの席にお邪魔します。今日はお見事でした。養護施設では暴力職員を摘発して講演ではマリエールの星との展望をお示し下さいました。」
カトリーヌ゙はこの見た目同年くらいの王女が昔から苦手だった。愛らしくて秀でた顔立ち。キャサリンは昔からカトリーヌ゙が伝説の英雄である事を知っていた。
「マリエール様がこの宇宙の支配者、カトリーヌ゙王女はその片腕、この星はカトリーヌ゙王女のために働たらなくてはなりません。」
大袈裟な芝居をしていると思う。キャサリン王女を派遣したのは国王陛下の差し金だ。キャサリンにカトリーヌ゙の真意を探らせようとしている。
「安心してキャサリン。私はただこの星がマリエールの逆鱗に触れないように注意を促しに来ただけなの。講演会でも話したけれど、マリエールは身分制度や奴隷制度、人身売買や売春制度に煩いの、暴力団や窃盗グループ。権力をかさにきた組織は真っ先に消滅させるわ。明日はその予告をするだけ。国王陛下に宜しく伝えてね。」
国王陛下の名前を出されてキャサリンはギクリとしたが、平静を装った。施設訪問や講演の話しマリエールの星の事敵星の事、今後のカトリーヌ゙活動なのに話題が及んだ。
キャサリンが面白いと感じたのは、敵星もそうだが宇宙には沢山の滅んだ星がある。核戦争で滅ぶのは典型だ。元々生物の居た星だから天地創造すれば人が住める。過去に住んでいた人々に移住させて住まわせたら滅亡しなかった世界作れるのではないかというものだ。
一見通りに適った事のようにみえてカトリーヌ゙のやる事は抜けがある。カトリーヌ゙が滅びた星の過去に遡り別の人間種に能力を与えようとして、その人間種も核戦争で星を滅亡させるから止めておけと言ったのがマリエールだった。マリエールはカトリールに比べて優れた人物だとは判るが、何をどう評価して良いのか判らない。
計画その物が無謀なような気がする。何処をどう改善すればいいのか判らない。成功する可能性があるのか判らない。マリエールに相談するべきだというのも筋違いのような気がする。
カトリーヌ゙は過去に滅びた星を天地創造して、過去に生きた人々を呼ぼうと思っている。キャサリンには可能な事か適切な事か判らない。