134 精神生命体
現在の惑星に戻った。天地創造を放った。精神生命体が現れた。存在は人間を救う神らしい。
134 精神生命体
マリエールは現在の惑星に戻った。核戦争で滅びた赤茶けた惑星である。紅の翼との再会はアクシデントだったが概ね順調だった。マリエールはこの惑星に天地創造を掛けた。無論人間は存在しない。獣はいるが彼らが人間に至るとしても何千万年、何億年が必要だろう。今回は成功なのだろう。
突如としてその存在を感知した。懐かしい気配。しかしその気配は万世を治める強い意思を感じるのではなく寝起きのただの精神生命体だ。神であった事もあった事もあったのかも知れない。神々しさは確かにある。しかし存在はこの世界の神ではない。人間の魂の集合体だ。核戦争が行った時多くの魂が集まり存在は生まれた。存在は生き残った人々に水を与え、食料を与え命を繋いだ。しかし存在は将来への希望を人々に与える事は出来なかった。
人々は子孫達に希望を与える事が出来ず消極的に滅亡していった。存在は眠りついた。目が覚めた時豊かな自然があった。これで人々は幸せに暮らせるだろう。それを導くのが私の努めだ。しかし、人間の気配がない。ただ一人の存在を除いて。
マリエールはゆっくり存在に近づいた。
「あなたが導く存在はこの世界にいますか。」
存在は頭を振り、
「残念ながら有りません。創造した世界には人間は存在しないのですね。人間である私には人間を創る事は出来ません。しかしあなたが活躍する場なら提供出来ますよ。」
マリエールはシルビアの星で恐竜擬きに苦しむ人々に存在を遭わせた。存在は疑念を抱いたようだ。マリエールは包み隠さず存在に話した。
「あなたが望むなら救ってやればいい。そうでないなら見殺しにすればいい。」
存在も恐竜擬きと人間の共存の道を探るようだ。
久しぶりに移住星に戻ってジュリに話しを聞いた。どの星も大きな問題を抱えているわけではないが、例えば母星では何十日もバーチャルリアリティの世界に入り浸っている者がいて問題視している者がいる。何故そんな事が起こるか、可能なのか、何が問題なのか含めて母星の不滅の存在のマリエールは把握している。観光の星として母星は成功している。移住星、火星で教育的合理的に禁止している事も母星では容認されている。可愛い簡易型アンドロイドが愛想を振り撒く、移住星や火星では禁止されている。お酒も飲み放題だ。移住星や火星では時間を決め提供される。もちろん家の持ち帰りは厳禁だ。厳しい制限も母星がある事で不満が抑えられている。不滅の存在も教育的合理的問題があるなら人間が決めればいいという立場だ。
ここでの問題は、観光サービスだ。子ども女性を除いてほぼ一律にサービスが受けられる。ナビゲーションの誘導で進められるが、一部ナビゲーションに不具合のあった事が判り改善されたが、ナビゲーションシステムの指示に従わないものがいる。つまりバーチャルリアリティの連続使用者だ。何とかしなければならないのか迷う所だ。実害はないが問題はあるのだろう。
母星で何十日もバーチャルリアリティにはまっている人達がいる。実害はないが問題はあるだろう。