132 王女
王女に呼ばれた。商会の娘の盗賊の襲撃の件だ。王女は感謝を述べた。商会の娘も一緒だ。商会長もお礼をしたかったそうだが一回で済ませる事にしたようだ。
132 王女
ゴードン公爵領やアズール男爵領は直轄地になり、王女の支援する商会が大きくなった。マリエールや紅の翼は商会の護衛を良く担当した。ギルドからエルフの護衛を何度か頼まれるが全て断る。成立しない護衛依頼だ。
王宮が落ち着いて暫くして、王女から呼び出しがあった。心当たりは商会の娘の事ぐらいだ。やはり出向くと商会の娘がいた。王女は、
「もっと早くきみ達を呼びたかったのだが、ゴタゴタ続きで呼び出せずにいた。ゴードン公爵やアズール男爵、彼らの商会が彼女の襲撃に関わり取潰された。彼女の父親の商会は大きく成長してきみ達にお礼がしたいそうだがきみ達も何度も呼び出されても迷惑だろうから今日商会分と纏めてお礼の金品を渡す。彼女が本当にお世話になった。100人を超える襲撃を撃退したのは見事であった。国王からもお褒めがあった。国王と私の推薦状だ。ギルドに出せばランクアップするだろう。」
商会の娘は王女の側近になった。貴族以外が側近になるのは珍しいが王宮に出入りする最大の商会の娘であり彼女には才覚があり、文句の出そうなゴードン公爵派閥が苦境に喘いでおり幾つか降爵や廃爵されて力を失っていてこの件で文句を言う者はいない。
後はガールズトークだ。王女に対しての言葉遣いは紅の翼には無理だからその辺りは構わない事とされた。その辺りに煩いゴードン公爵派閥が一掃され気安い雰囲気が醸し出される。紅の翼のコミュニケーション能力の高さは時として側近が眉を顰めるものだったが回りの側近に注意されて特別の場だと認識された。
マリエールと紅の翼は国王の推薦状をギルドに出してBランク冒険者になった。10代でBランク冒険者は他に例がないらしい。討伐と護衛、通商を担う。
護衛依頼で海近い街に行く事がある。この街の冒険者ギルドにはクラーケンの討伐依頼が常時ある。クラーケンは陸上に上がるので被害が起こり易いのだ。クラーケンは体長20m位の蛸の魔獣だ。沖の島が寝蔵になっている。紅の翼も付与魔法でなんとか倒す事が出来る。今回もクラーケンの討伐だ。紅の翼は、
「クラーケンの討伐は毎回楽しみだわ。フライで上空から魔法攻撃して収納するだけで魔石は高額だし身は売れるし、売れ残った身は美味いし、居酒屋などでも買って貰えるし、クラーケンの専門の討伐になってもいいかも知れないわ。」
という。流石に紅の翼はマリエールがアイテムボックス持ちだと気付いているだろう。しかしアイテムボックスの事を話しだしたら仲間でいる事は止めるつもりだ。だからチームになっていない。ゴードン公爵家の襲撃事件は解決済みだ。今さら犯人探しはないだろう。しかしアイテムボックス持ちである事はあまり知られたくない事だ。アイテムバックの所有者で済ませたい。しかし判ってくればアイテムボックスとアイテムバックは別物だと判る。リーダーには打ち開けた。他の誰かがマリエールをアイテムボックス持ちだといい出したら消える。何時消えてもいいようにリーダーに取り分を渡しておく。
アイテムボックスの事は秘密だ。アイテムバックの所有者だとしている。詳しい者はアイテムボックスとアイテムバックの違いが判る。