131 王宮
エルフの人身売買や奴隷は禁止されている。解放された年の若い女性エルフや子どもは護衛なしでは里に返せない。
131 王宮
マリエールは数日間殺戮と略奪を繰り返した。3人を王宮に放置すると紅の翼の所に戻った。その日は護衛依頼になった。依頼受けて即日護衛依頼をこなす事は珍しい。それだけ護衛がないと動けないがお金があまりないというケースだ。それが結構を多い。この世界で人身売買禁止されているから奴隷制度もない筈だ。しかし借金奴隷は存在する。依頼失敗で借金を背負った冒険者を斡旋する事を冒険者ギルドが担う事もある。自己破産の制度がないため奴隷になるしかない。問題はエルフや獣人が拐われたり人間の里で掴まって奴隷にされた場合だ。国はエルフや獣人を奴隷にしたものに厳罰を与える。解放したエルフや獣人は帰国させるのだが若い女性や子どもは護衛が必要だ。依頼報酬は見合うものではないし、護衛中の食事は冒険者が持つ事になる。依頼達成のサインが貰い辛い。依頼条件が厳しい。せっかく解放されても帰国出来ないエルフや獣人が常にいる。しかたないので待機する間メイドなどしている。奴隷ではなく雇用契約なら問題ないが、エルフはそういった仕事は嫌う。待機場で護衛を待つ者はエルフだ。しかも外見上は若いエルフだ。
そんな依頼を受けたマリエール達を待機場の職員は哀れに思う。重要人物ではなくても護衛失敗すればペナルティがある。食事代を考えれば赤字だ。旨味はない。エルフは偏屈だ。依頼達成のサインも渋るだろう。
護衛するエルフは5人だ。皆美しいが気が強そうなエルフもいる。マリエールは、
「皆さまにフライの魔法を付与します。余裕で夕方には着けます。誇り高いエルフの方々です。フライで失敗するわけが有りません。」
エルフ達を上手く乗せてフライでエルフの里に向かった。5人をエルフの里に連れて行ってもエルフの里の長は依頼達成のサインをしようとしない。
「しかないですね。この里の物は全て略奪します。」
マリエールと紅の翼は略奪を始めた。食料も衣類も寝具も什器も全て奪う。止めさせようとするが止まらない。エルフの里の長が、
「サインします。止めて下さい。」
衣類達成のサインを受けた。マリエールは略奪した食料などの一部だけ返した。文句を垂れるエルフ達に、マリエールは、
「先に不正をしたのはお前達だ。白黒付けるなら殺し合いで構わない。」
エルフはそれ以上何も言わなかった。マリエール達は冒険者ギルドに戻って報酬を受け取った。
後日、ギルド長から呼ばれ、エルフからクレームがあった事を聞いた。マリエールは二度とエルフの護衛の依頼は受けないと言った。
王宮は大騒ぎだ。マリエールは変幻自在で大柄の中年男性の姿で黒づくめの衣装、覆面で行ったので犯人は特定出来ていない。マリエールはアイテムバックを所持しているので紅の翼でさえマリエールがアイテムボックスを所持しているという認識がない。今回の略奪もアイテムバックが使われたと考える者が多い。アイテムバックを使用する者は多いのでマリエールに結び付く事はない。
自白を始めた。商会長がアズールがゴードンが。商会や男爵、公爵がお取潰になった。
マリエールの活躍で王宮は大混乱だ。商会、アズール、ゴードンはお取潰になった。