表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/170

       12 ドラゴンの素材

 生還者が旅に出る。ギルドとの約束は果たした。仲間はもう死んだ。王都に残る意味もない。新転地で人生を楽しもう。

          12  ドラゴンの素材


 生還者はその日の内に王都を出た。ギルドからドラゴン討伐者に情報を伝える事という条件で幾許かの金銭を受け取り、討伐失敗の違約金を免除するという約束だ。どうせ、王都では、討伐失敗のS級冒険者としての評価しか得られない。何年も冒険者をして、ある程度蓄えもある。ギルドカードに入っている。王都を離れ新しい人生を歩もう。少し希望が持てた。あの討伐者はなんだ。10代前半の小娘が俺に意見する。何が彼らが赦しても自分が赦せないだ。彼らは生きていない。俺の人生だ。あの小娘も死ぬだけだ。マリエールと言ったか、高々B級冒険者がドラゴン討伐とはおこがましい。何処かで彼女が死んだ事を聞くかも知れない。なんとなく楽しみだ。  

 洞穴の中で考える。自分よりも幼い少女に助けられ、今仲間達と一緒に生きている。回復魔法しか使えない駄目な私を誘ってくれた優しい仲間達、本当に強くて何でも出来る仲間達を担いでこの洞穴に着いたけど私のフィールでは、仲間達を救えない。命があるのは判るが、このままではみんな死ぬだけ。何度もフィールを掛けた。万全でない私では、効果が薄いのだろう。仲間達が次第に衰弱していくのが判る。仲間達が死ぬなら私も死んだ方がいい。仲間達には飲み物は与えられる。口移しだ。でも食べ物は与えられない。何日そうしていただろう。少女達がやって来てみんなを私を救ってくれた。感謝の気持ちよりも驚きの方が大きい。どうやってここに来たの、どうしてこんな事が出来るの。仲間達と話せる様になった。残った少女達もいろいろ世話をしてくれる。でも彼女達は、仲間からの励ましが必要だから、私にみんなを励ますようにいう。仲間達は私にお礼をいう。本当に言われるべきは彼女達なのに、彼女達は

黙々と世話をしたりフィールを掛ける。彼女達のフィールは凄い。私では、仲間達を衰退させるだけだったのに、彼女達は仲間達の意識を取り戻し、もう上半身を起こすまで、元気に話し会えるまで回復させている。治癒師としての技量が違い過ぎる。

 空中に舞い上がったドラゴンと同じ高さまでフライしてドラゴンを4方向に囲んだ。正面にマリエールがいる。マリエールはドラゴンを挑発する。

「ブレスは打たないの。ドラゴンと言えばブレスでしょ。」

マリエールの余裕の態度が気にいらないようだ。

「そんなに早く死にたいか。それともかわせると思っているのか。」

マリエールは鼻で笑った。

「あなたのブレス程度かわす必要も無いわ。試してみなさい。」

切れたドラゴンをブレスを放った。一見何も起こって無い様に見える。しかし、ブレスは風の流れだから、マリエールは飛ばされる筈だ。エアシールドで守りつつも流される分ドラゴンに向かって進んでいるから一見何も起こっていないのだ。マリエールは、

「あなた程度のブレスでは私を倒せません。私の薬の素材になりなさい。」

ドラゴンは何度もブレスを放つ。マリエールに爪で襲う。牙で噛む。何も通じない。

「あなたの攻撃はその程度ですか。楽しめませんね。そろそろ終わりにしますか。」

 ドラゴンの攻撃はマリエールに効かない。何度ブレスを吐いても、爪や牙で攻撃しても同じだ。マリエールが終わりの宣言をした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ