110 氷のダンジョン
氷のダンジョンは夏に人気だ。下層に行くほど寒い。最後のドラゴンは強敵だった。
110 氷のダンジョン
今は7月焼け付くような暑さだ。氷のダンジョンは夏に来る所だろう。普通ダンジョンの深層は気温が変わらないが、氷のダンジョンは深層に行くほど寒い。それがダンジョン攻略を困難にする。前回、25層までしか攻略出来なかったのは寒さ対策が不十分だった事が大きい。50層ではマイナス20度になるそうだ。
ビル達は冒険者ギルドから30km東の氷のダンジョンを目指した。真夏の太陽が振り注ぐ中徒歩で進んだ。
氷のダンジョンは夏に人気がある。10層までなら夏の普段着で大丈夫だ。10層を過ぎると寒さ対策が必要だ。魔獣も10層までは通常の魔獣だ。10層を過ぎると狼や熊が多くなる。20層を過ぎると白熊やペンギンの魔獣が出て来る。
26層からは我々の未到達領域だ。ここは高い山を越え下にいる大型魔獣を倒すダンジョンだ。切り立つ崖を6人は一歩一歩上がっ行く。お互いロープで結び助け合う。アイゼンもフライもない。強靭な体力だけが武器だ。
時々転落する者がいる。ビルの隣の者も転落した。両脇で支える。なんとか登り切った。眼下に巨大魔獣がいる。今までにない大きさだ。フライはないが滑空はある。6人は滑空をしながら魔法を放ち魔獣を仕留めた。氷った海では水中からシャークが飛び出して来る。吹雪の中マンモスのような魔獣ともたたかつた。鰐を倒して川を渡る場面も有った。
一つ一つが冒険だ。決して一人では出来ない事を6人で成し遂げている。ビルも一人のメンバーだ。協力し合って目標を達成する。何と楽しい事だ。これが冒険だ。
50層のラストボスだ。始めてのドラゴン。ドラゴンのブレスをかわしながら魔法を放つ6人、ビルは突進してドラゴンの胸を貫こうとするが、尻尾で払われそうになる。尻尾に幾本かの魔法。ビルは渾身の一撃をドラゴンに与えた。もうドラゴンに力はなかった。ドラゴンは討伐された。
奥の宝を手に入れて、氷のダンジョン2番目の討伐チー厶としてAランクチー厶に昇格を果たした。
その夜ビルは夢から覚めるように、見知らぬベットで目を覚ました。
「母星の観光プロジェクト冒険者はいかがでしたか。一ヶ月に渡り数々の冒険が楽しめたと思います。」
私はバーチャルリアリティを見ていたのだろうか。
「いえ違います。あの冒険は本物です。あなたの能力を上げ、バーチャルリアリティで容姿は変えましたが、現実に有った事です。またのご利用お待ちしています。」
この企画は人気商品になった。毎日数百の希望がある。企画は当たった。企画は客の希望で海賊、戦争、世紀末、国取り、宮廷物語
学園物語------------------。と様々あり、バーチャルの程度が変わるが現実だ。
「本当に楽しかったです。またお願いします。」
ビルは満足した。新しい一歩に踏み出せるだろう。
こうした観光施設が次々と出来上がる。バーチャルリアリティと現実の行動の組み合わせは客の満足度が高い。状況設定に応じて料金が違うのは当然だ。
バーチャルリアリティと現実の行動、アンドロイドと設定を組み合わせせると、現実味や満足度が変わる事が判った。