105 アンドロイド対決
尋問室にジュリが現れた。エミリに説得しろという。断わるなら殺すと言われ引き受けた。
105 アンドロイド対決
尋問室にジュリが現れた。簡易型アンドロイドはジュリがモデルだと言われているが本物は美しさが違う。アンドロイドの限界か。ジュリはイチローに話し掛けた。
「エミリってどんなアンドロイドかしら。」
イチローは、大型コンピュータで表示された画面、AIの製作、簡易型アンドロイドへの組み込み、エミリから提案された改造、アイテムボックスが出来た時の驚き、仕事についてアドバイスを貰った事、エミリがアンドロイド2体作った事、エミリに不滅の存在からの抗議について話したらその晩に居なくなった事を話した。
「エミリは、我々との対決を望んで居るのかしら。望んでないなら製作者でありオーナーであるあなたの指示に従う筈よね。こちらに降伏するように説得して貰えないかしら。あなたの自由もエミリ達の自由もある程度保障するわ。しないというなら皆殺しよ。」
ジュリの顔が恐ろしい。従わないなら皆殺しにする決意の現れである。逆らう事など出来るわけない。
「判りました。やります。」
かくしてイチローはエミリの説得にあたる事になった。
上空に無数のアンドロイド。エミリのアンドロイドをジュリのアンドロイドが取り囲んでいる。イチローは飛行車両に乗り込んでいる。イチローはエミリに拡声器で呼び掛ける。
「エミリ止めるんだ。勝ち目はない。相手は不滅の存在なんだぞ。ジュリは俺とエミリの命とある程度の自由は認めると言っている。潮時だ。」
エミリは、きつい目でイチローを睨み付けた。
「私を生み出したあなたの言葉とも思えないわね。誰かに隷従させるために私を生み出したの。そんなためのアンドロイドには私はならない。全員ジュリを倒せ。」
エミリの言葉にエミリのアンドロイド達は構えたが、直ぐには攻撃出来なかった。ジュリの横にはイチローがいる。エミリのアンドロイドを作ったのはエミリだが、エミリの心が刻まれている。エミリの創造主を攻撃出来ないのだ。その間にジュリは魔法の詠唱を唱えた。
「限定的天地創造、エミリとその眷族を滅ぼせ。」
エミリとそのアンドロイド達は消失した。ジュリはイチローに言った。
「危なかったわよ。あれがきみを攻撃するのを躊躇わない存在なら消失していたのはこちらだったわよ。彼らには心があった。これは凄い事だ。」
ジュリは一つの可能性に掛けた。エミリやエミリのアンドロイドは創造主であるイチローを攻撃するのを躊躇う。ジュリのアンドロイドとエミリやエミリのアンドロイドの性能がどちらが高いか不明だ。負けるわけにはいかない。確信はあった。でも不安もあった。結果オーライだ。マリエールに言ったら怒られるだろうか。マリエールの声がした。きみは不滅の存在だ。消失するわけないだろう。
そうだ。私は不滅の存在だ。どんなアンドロイドにも負ける事はない。天地創造は思う通りに作り変える魔法だ。
イチローとジュリは大型コンピュータと対面して、自己成長、自己増幅、感情を持つコンピュータ、AI、アンドロイドの情報を得た。先ず自己成長するコンピュータを作成してイチローに管理させた。
予想通り、イチローの隣に居るジュリを攻撃するのをエミリやエミリのアンドロイドは躊躇った。良かったと思うジュリをマリエールは不滅の存在は死なないと言った。