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この作品のタイトルは(仮)の状態なので、いつか変わると思います。(追記)タイトル決まりました。

関西が舞台なので関西弁が出てきます。

それと、小説を書くのは今回が初めてなので暖かい目で見ていただけると幸いです。


〜大木元side〜






いつも夕方までしかない講義が夜まであるという憂鬱なこの日。

詰め詰めなスケジュールかと思いきや、夕方頃に唯一の空きコマがあったので大学2年の沢合(さわい)大木元(おぎもと)はこのヒーリング時間に大学内のカフェに寄ることにした。

一言で言えばそのカフェは、「森にあるカフェ」のようだった。

片流れ屋根と壁は深い色のした木材が使われていて、窓は屋根に1枚の大きな四角窓と壁の下側にずらっと並んでいるだけのあまり見ない配置だ。

2人は中に入って店員に人数を伝えた後、一番奥の丸テーブルが空いていたのでそこに座った。

床が人工芝で敷き詰められてて、雰囲気を大事にしているなとさらに思わせてくれる。


沢合(さわい)はカフェオレとたまごサンドウィッチとホットドッグを、大木元(おぎもと)はブラックコーヒーとカルボナーラを頼んだ。彼らにとってはこれが今日の昼ごはんだった。

頼んでから4分程で2人の飲み物が先に来た。

大木元(おぎもと)はコーヒーカップを手に取って香りを楽しんでいると、沢合(さわい)が「そうそう!」と何かを思い出したかのように言ってリュックを漁り始めた。

中から取り出したのはくしゃくしゃになった紙切れだった。

沢合(さわい)はその紙を少し伸ばしてから、バッ!という効果音が付きそうなほどの勢いで大木元(おぎもと)の顔前まで見せてきた。




「見てみ!小学生の勉強教えるだけで給料これ!めっちゃよくない?」


「おうそうやな。近すぎて全然見えへんからわからんけど。」


「あ、悪ぃ悪ぃ。」




沢合(さわい)は笑いながら軽く謝罪すると、大木元(おぎもと)の顔前まで見せてたチラシを少し引いてくれた。

言うほど気にしてなかったので「ええよ。」と短く返して、そのバイトのチラシを手に取った。






『時給2000円!主な仕事内容は家庭教師(他の仕事を手伝ってもらう場合もあります。)』






ここまでしか読んでなくてもわかる、怪しい。

これに応募する奴はアホか天然か金に困ってるかのどれかだ。

それが全て当てはまっている人間は、今、大木元(おぎもと)の目の前にいる。




「給料2000円て。怪しいなぁ。」




大木元(おぎもと)は足を組んで、このお店でお気に入りのブラックコーヒーを1口飲みながらそう言った。

まだ熱かったので少ししか飲めなかったが、相変わらず美味い。




「やっぱそう?でも行ってみなわからんやん。」




じゃあ行けや、と言いたくもなる発言だが、大木元(おぎもと)はわかっていた。


本当に応募する気があるならもうとっくにしてるのが彼、沢合(さわい)の性格だ。

だがそうせずに、こうして相談するということは沢合(さわい)自身も怪しいと思う部分がどこかにあるのだろう。その事を大木元(おぎもと)に隠して、このバイトに応募するかしないかの最終的判断を大木元(おぎもと)の意見次第で決める、という思惑だ。




「どうしよ、応募しよかなー。」




ほぼ筒抜け状態だということを知りもしないこのアホはめんどくさい女みたいな事を言い出す。めんどくさい。


大木元(おぎもと)はチラシを読んで気になったところをがあったので、沢合(さわい)に聞いた。




「なあこれ、『他の仕事』って何するん?」


「え、なんそれ。」




なんと。このめんどくさいアホ男は大事なところを見落としていたらしい。

大木元(おぎもと)は手に持っていたバイトのチラシを沢合に手渡した。

彼は人差し指でなぞりながら探すと、「ホンマや。」と呟いた。


これでもこいつは賢い。だがそれは"勉強が出来る"という意味の"賢い"だ。

それ以外はただのアホでたまにめんどくさい、世話の焼ける男なのである。




「お待たせ致しました。カルボナーラとホットドッグとたまごサンドウィッチでございます。」


「ありがとございまーす!」

「どうもです。」




店員さんは「どうぞごゆっくり。」とカトラリーケースを置いて去った後、沢合はそのケースの中から最初にフォークを取って「ん!」と大木元(おぎもと)に渡した。


こういうところに人の性格は出てくる。

普段からこうやって一緒にご飯を食べたり、遊んだりしていないと見れない一面だ。


2人は「いただきます。」と言って、大木元(おぎもと)がカルボナーラをフォークで巻いていると沢合(さわい)が「まあでも、」とさっきの会話の続きをし始めた。




「その『他の仕事』ってやつもちゃんとやれば、給料出るやろ。」




それを聞いた大木元(おぎもと)はカルボナーラを巻く手を止める。




「アホか。家庭教師分の給料は出ても、この『他の仕事』分の給料も出るとは限らへんで。」




甘く見すぎている彼に大木元(おぎもと)はわざと、少し強めの声で言った。




「…やっぱあかんかな、やめた方がいい?」




…きた。やはり2択を決めさせようとしているなこの男。


いや、本人は別に悪意を持って言っているわけではない。ただ本当に迷っているだけなのだ。


その迷いを大木元(おぎもと)の意見次第で消そうとしている。


つまり、彼は迷うのが苦手なのだ。


でもこれを直して欲しいと思ったことは無いし、何故決めさせようとする相手が大木元(おぎもと)なのか聞く気も無かった。


"それはなぜ"って?






親友から頼られて嬉しいから、という理由以外に他あるのか?




「……まあ、いいんちゃう?応募するだけしたらええやろ。」




大木元(おぎもと)は熱さがちょうどよくなったブラックコーヒーを一口飲んでそう言った。もちろん投げやりで言ったわけでは無い。






やめといた方がいい理由なんていくつもあった。







でも、やめといた方がいいとは言わなかった。








危険な感じがしたり、めっちゃ嫌やなと思ったら相談もなく自分ですぐにやめる奴だからだ。








今回のこの家庭教師も、かつて働いていたバイトみたいに半年ほど経てば何かしらの理由でどうせやめるだろう。

それに、受かるかどうかも分からない。










(りょう)がそう言うならまあ……そうしよかな!」









ニカッという効果音が出そうな笑顔で、アホな親友はそう言った。










この選択が間違いだったと気づいた時には、もう───。



最後まで読んで頂きありがとうございます。

沢合と大木元がどこでどう出会ったのかは、どっかで書こうと思ってるので楽しな人は楽しみにしといてください。

楽しみにしてる人がいるかどうかは分かりませんが。

それでは。

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