表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/11

6.おはようハッピーバースデイ

Tips:ポイントは、ゾンビ(異形の化け物も含む)を倒すと増える。このポイントでのみ買い物が可能。

 ゾンビ騒動開始から6日目。俺が行動し始めてから4日目。

 俺の心はどう変わったんだろう。少なくとも、銃で人を脅す性格じゃなかったと思う。切羽詰まって、本性が出て来たとも言えるか。


「別にいいか。どうでも」


 世界が変わったんだから、俺が変わっても別にいいだろう。

 とりあえずは、捨て猫もどきの二人の所に行くか。



 昨日、職場帰りにケーキ屋を襲撃していた。その時の戦利品で、美味しいケーキが冷蔵庫に入っている。

 チョコケーキとショートケーキとチーズケーキの合計3ホールのレギュラーセットだ。好きなのを選ぶがよい、あっはっは。これぞ盗賊の醍醐味だ!という気分でかっさらってきた。


 そんなこんなで、303号室にやってきた。

 インターホンを鳴らすと、反応はなかった。寝ているのかなと連打すると、ドアの向こうからで慌ただしい音が鳴り響いた。

 慌てて駆け寄ってくる足音。後の流れを予想してドアから離れると、解錠の音の直後、ドアが勢い良く開かれた。


「うぇ! あの、おはようございます!」


「おはよう。ケーキ持って来たぞ、ハッピバースデイ」


 ケーキの入った袋を見せるとしばし固まった後、中に入れてくれた。

 部屋に入ると、女性の方も目を覚ましていた。というか寝癖やべぇな。


「とりあえず顔でも洗ってきたらどうだ」


「げ」


 女性は地声で呻いて、もさもさの髪を手で整えながら風呂場に入っていった。


「ベッドは一つしかなかったが、眠れたか?」


「まぁ、屋上で寝泊まりすることに比べたら天国でしたよ」


「そりゃそうだ」


 紅茶の2Lペットボトルを持って来たカチュアが、お茶を持ったまま立ち尽くしている。まぁNPCだし基本は命令待ちなんだろうなぁ。


「とりあえず座るか」


 押入れを漁るとクッションがあったので、それを敷いて座る。女性陣はベッドに座ってもらうか。どこを座るでもいいが、とっととパーティにしたいもんだ。



 全員揃ったところで、自己紹介を開始する。紙コップに紅茶を注いで、それぞれが手にしている。


「じゃあ簡単な自己紹介から行こうか。俺は佐道弘道。こっちはカチュアだ」


「よろしくお願いします」


「あ、はい。俺は清水守明しみず もりあきって言います」


「私は小森玲こもり れいです」


「じゃあ乾杯しようか。乾杯」


 おざなりに乾杯して、紅茶を飲む。気分は兄弟盃だな。


「まずは適当にケーキを食べるか。話したい事があるなら好きに。質問したい事があれば好きに。話せる範囲かどうかはこっちで考える」


「じゃあ早速いいですか?」


 玲が小さく手を挙げる。いや、ケーキ食べろよ。別にいいけどさ。手で続きを促す。


「銃を含めて、どうやって生き残ったのか教えてください」


「ステータスを確認しろ」


「は?」


「は、じゃない。出来るんだよ、今は。念じてみろ」


 昨日宴会でやったようなやり取りをまた繰り返す。

 ステータスを確認したのだろう。大げさな反応こそしなかったが、二人は大きく見開いて驚いている。


「そいつが、生き残った理由だ。この世界はゲームみたいになった。レベルは無いがスキルレベルはある。スキルレベルを上げたり、敵を倒してポイントをゲットして、拠点でポイント使って買い物をする。基本方針は以上だ。後は自分のステータスに応じたスキル構成を決めて、それを鍛えていく。質問はあるか?」


「スキル。ポイントが0なのは、まだ敵を倒していないからですか」


「ああ、そうだ」


「じゃあ、この括弧の中身は何ですか?」


「……は?」


 まさか、と思って玲のステータスを確認する。 


---ステータス表示(小森玲)

外見:普通

状態:普通


ポイント:0(1150)

筋力:6

耐久:8

体力:8

精神:7

敏捷:8

器用:3


EXスキル:『疾走Lv1』

スキル:new!『料理Lv1』

---


 確認できた。出来てしまった。

 それが意味することを理解して、しばし固まる。


「ちょっとパーティ会場を変える。ケーキは俺が持っていくから適当についてこい」


 適当にホールケーキを皿ごと頭や腕に乗せて運ぶ。【器用】10ってホント気持ち悪いぐらい器用だな。



 守明たちを連れて部屋に帰って来た。さっそくパソコンを起動する。何だかんだで久しぶりにパソコンを起動する。普段は毎日起動していたから、2日起動しないだけでも久しぶりに感じる。

 疑問そうな視線を無視して、ゾンビパニックサバイバルを起動する。さくっとキャラメイクの画面に映る。


「え、このステータスって」


 玲が反応したのはちょっと意外だったが、意図は通じたようだ。慣れた手つきでゲームを開始する。


 フィールド画面になって、落ちている看板を拾って近くのゾンビを狩る。適当に狩りながら手近な家に入り込んで、室内のゾンビを狩る。

 戸締りをして、室内のゾンビを駆逐して。拠点化をして、ポイントで銃を買って、スキルも買って、外に出てゾンビを銃殺する。

 ここまで大体15分弱。慣れたら一連の流れは効率化されるものだ。


 区切りが良いので適当にゾンビに噛まれておく。ボタン一つでゾンビを突きはがし、ボタン一つでゾンビを投げて、ボタン一つでゾンビの首を踏み折る。

 ボタン一つでゾンビにジャンプして、ボタン一つでゾンビに飛び蹴りを見舞う。実に単純な操作だ。


「俺たちのいる世界はゲームじゃない。だが、今の状況はゲーム染みているってのは理解しているよな」


 返事がない。聞こえていないわけじゃないだろうから、メニューの中断を選択してゲームを切り上げる。


「俺たちは中断のないゲームに強制参加されている。死んだら即ゲームオーバー。わかりやすいだろう。だから、準備を進めるぞ」


**************************


 新生活おめでとうパーティが始まって数時間が経過した。

 ケーキを食べて朝ごはんも食べて、しっかり元気をつけて。それから今後に向けての行動を進めていた。

 順調に作業は進んで、本日の予定の一つ目を消化しつつある。背を反らして大きく伸びをすると、その成果を見る。



 まず最初に、領域の再設定を行うべく職員寮の周辺に金属棒を突き立てていた。

 棒の高さは2m程。それを10m間隔で、大体アパートから200mくらい離れた位置に差していった。その金属棒に対して金網を押し当てて太い針金で結んで固定した、即席の外壁を作ったのだ。

 道路を超える領域を作るのは手間なので今は放置しているが、駐車場を含めた広範囲の拠点拡大に成功した。最初の拠点拡大はどうしても人力でやらないといけない。人手が増えたのは不幸中の幸いだ。今の所不幸は起きていないが、悩みの種が増えているのは確かなので、不幸中の幸いだ。


 数値として表示されないが、拠点にもレベルがある。外壁の設置はある程度拠点レベルを上げていないと出来ないのだ。ゾンパニ基準だと、外壁設置が可能な拠点レベルにするには家具の追加とかで十分なんだが、後々の事を考えて最初に拠点レベルを一気に上げておきたかった。

 ウチの面子は【筋力】の高さに定評があるから、人力で無理やり実行していった。俺はフェンス加工だけ。

 【器用】が高いと何故か設備加工の質も完成速度も向上する。【器用】10なら確定で加工ボーナスがついて、3分クッキング並みの省略具合でフェンスがいつの間にか張り終わっている。

 もちろんゾンビはうろついているので、そこは新人2名に全部狩ってもらった。最初の数体は怖々だったのでゾンビの膝を撃ち抜いてとどめだけ刺させた。

 新人2名もそれぞれ20体はゾンビを狩ったので、現在のステータスはこうなっている。


---ステータス表示(清水守明)

外見:大柄

状態:普通


ポイント:100(930)

筋力:9

耐久:9

体力:6

精神:5

敏捷:6

器用:5


EXスキル:『衝撃軽減Lv1』

スキル:『タックルLv3』『料理Lv1』new!『斧術Lv3』new!『長物技Lv3』new!『戦斧Lv3』new!『白兵Lv3』new!『跳躍Lv3』new!『蹴り技Lv2』

---

---ステータス表示(小森玲)

外見:普通

状態:普通


ポイント:100(930)

筋力:6

耐久:8

体力:8

精神:7

敏捷:8

器用:3


EXスキル:『疾走Lv1』

スキル:『料理Lv1』new!『棒術Lv3』new!『棍棒技Lv3』new!『メイスLv3』new!『白兵Lv3』new!『跳躍Lv3』new!『蹴り技Lv2』new!『盾術Lv2』

---


 守明は元大学アメフトの一軍選手でディフェンスラインをやっていたそうだ。ディフェンスラインって何だっけと聞いたら、相手チームのオフェンスを潰す荒くれ者、という身も蓋もない答えが返ってきた。

 190cmはある身長とがっしりした肉体。さらに【筋力】9で大柄ボーナスもついている超パワー型だ。他のステータス項目を見ても低くて5で、平均的な能力に超近接能力を追加した欠点が殆どないやばいやつだ。

 近接能力がウチの陣営でトップだ。やばいやつだ。パワー型という事で2m半はあるポールアックスを使わせることにした。ぶった切るもよし、叩き壊すもよし。さあ、破壊しろ。


 玲は頑丈さ、スタミナ、素早さに秀でている。だからタワーシールドとメイスを持たせて盾役をさせることにした。強力な攻撃を防ぐには【筋力】が物足りないが、重要なのは雑魚を一方的に叩き潰せるってことだ。

 基本技の飛び蹴り、シールドバッシュ、メイスによる頭蓋粉砕。打撃武器は損耗が少ないため、延々と防衛線を張ることが出来るのが強みだ。

 白兵に慣れたらボチボチショットガンとか持たせて、火力を増やす予定だ。

 守明はロケットランチャーとかガトリングとか重量武器を持たせる予定なので、その辺で差別化を図っている。


「スナイパーとか移動速度特化型とかは欲しいけど。玲は盾役と斥候や遊撃を兼任してもらうつもりだから、がんばれ」


「私に負担がかかり過ぎじゃ、ないでしょうか」


 棒の打ち込みやゾンビ退治で疲労し切ったか、玲がジト目で睨んでくる。


「仕方ないだろう。そもそも、ゾンビを怖がっているのが盾役の理由だ」


「怖いのに盾役、ですか?」


「盾があれば怖さも減るだろ」


 玲は1号棟に逃げ込んだ際に何度かゾンビに掴み掛られたせいで、ゾンビ恐怖症みたいになっている。精神異常は屋上でヤリまくって回復したにしても、ステータスに表示されない恐怖の記憶ってやつのせいでゾンビの相手がかなり苦手になっているようだ。

 だから、滅茶苦茶頑丈でデカい盾に隠れながら攻撃させていた。


「将来的にはバックラー片手に戦場を駆け回る遊撃として活躍してもらうつもりだ」


「盾は必要ですか? 私も銃が使いたいんですけど」


「一度でも誤射したら追放、って条件を飲むならいいぞ」


「……そんなに警戒するほど、器用さの低さは問題ですか?」


「戦いが厳しくなると疲労する。ゾンパニ基準で話をするけど、疲労するとステータスが一律マイナス1とかなったりする。バッドステータスが二つ重なりゃ、【器用】2だ。もう、まともに狙いも定められなくなる。【器用】2の誤射で即死したのは10回じゃ済まないからな」


 ゲームと一緒にしないで欲しい。そう言いかけた玲は、途中で言葉を止める。俺がゲームの様に高速でフェンスを張っていった光景を見たばかりだ。非現実的な状況を上手く飲み込めていないだけだろう。

 あの超スピードフェンス作りは、もう身体能力がどうとか言うレベルじゃなかったからなぁ。


「【器用】4は欠点だが、それ以外は文句なしの高能力だ。銃を捨てた代わりに他の生き方が幾つも発生したと思えば、お前のステータスも良いもんに思えるだろう」


「回される仕事の量によります」


「負担が多いなら言え。仕事量の配分を考えるから。とりあえず、今日の予定一つ目は終わったから、二つ目に移る。あわよくば三つ目ってとこだ」


 とりあえず駐車場にマイクロバスを召喚する。もとい、拠点内の駐車場に購入したマイクロバスが現れた。


 駐車場を確保しないと車両系が購入出来ないのだ。今回は存在する駐車場を拠点内に収める様に拠点拡張を行ったが、近くに駐車場が無い場合は拠点拡張で駐車場を作ればいい。


 俺たちはマイクロバスに乗り込むと、山の方へと発進していった。なお、運転は守明に任せた。


**************************


「NPCの確保と新しい拠点の確保、ですか」


 運転開始から1時間ほど経過した。現在は走行中の車内。ポイントを多く使ったので、車内は快適だ。

 カスタマイズ増し増しのマイクロバスは席数11。2席が4列と最後尾の3席。簡易拠点としても使えるので、必要に応じて席の数を減らせる。

 今は先頭4席だけ残しているので、車両後方はちょっとした広間の様になっている。エンジンもパワーが出るエンジンに変えているので、ジャンジャン物を載せても大丈夫だ。

 ポイントはがっつり1000使ったけどね。走行中にゾンビを狩ってポイントを補充して、やっと今のカスタム仕様に出来た。


 バスじゃなくてマイクロバスにしたのは、カスタマイズの費用と現在の人数、走行しやすさを考えてのこと。これからはこのマイクロバスが移動の要だ。

 RPGで言うところの馬車だったり船だったり飛空艇だったりする、便利系乗り物だ。


「ゾンビは都市でも山中でも出る量は変わらない。だったらライバルのいない場所を拠点にするのが重要だ。基本、建物が無い更地の方が拠点化しやすいし」


「ライバル。この世界に順応する人が、他にいるという事ですか」


「ゾンパニのシステムを使うかどうかも重要だが、ステータスを見なくても殴る蹴るをすれば勝手にスキルレベルは上がる。ゲームの様だと気付いてステータスを確認すれば、拠点などのメニューも出るから、そこから先は案外早いだろうな」


 俺は、俺だけがこの世界のシステムを理解している、という妄想は抱いていない。そうだったらいいなぁという思いが半分、最悪との戦いに俺だけじゃ辛いから他の人も何とかしてくれ、という思いが半分だ。


 スマホのタスク管理アプリで予定を埋めながら、そう言えばNPCの重要性を先に伝えておいた方が良いなと思った。


「ああ。お前たちもNPCは確保しとけよ。便利だから」


「どう見ても普通の人間にしか見えない人物を、ゲーム感覚で扱うのはどうかと思いますが」


「趣味と実益を兼ねてるんだ。諦めろ。ちなみに、実益の中には敵の強化を予防するって意味もあるぞ」


「は? いや、NPCをゾンビが食べて強化されるんですか?」


 思ったより斬新な発言が出てきて面食らう。玲ってゲーム好きだったりするのか。


「柔軟な発想は良いけど、そうじゃない。Wikiにもあったし検証動画も出てたからほぼ確定してるが。元NPCのゾンビは強い敵になりやすい。検証結果が不安定だって前提はあるが、時間を置けば置くほど強くなるらしい」


「かなりえげつないですね。それが実益の一つですか。後は単純に戦力になるからですか」


「ああ。俺たちは【器用】特化の俺、高【筋力】タイプの守明とそこそこバランスのいい玲とカチュア。大抵の状況に対応できるバランスの良さはある」


 だが、と前置きをして。


「それでも単純な人手不足はあるし、他の特化型は必要だ。【敏捷】10とかで敵を攪乱させるのは結構戦術として有効だからな」


「貴方の掃射で十分なように見えますが。無理なのですか?」


「スキルレベル、戦術などのプレイヤー側の要素。それと、敵キャラの特性と全体的な強化を含めた敵側の要素。その辺を有志が検証した結果は残酷だ。最後まで生き残るには変態的なプレイヤースキルが無い限り、合計10名で拠点防衛力も一定の水準が必須。食糧確保するための畑、それを守るための広さと防衛力が無い限り、生存率が極端に下がるんだよ」


「畑って必要なんですか。ポイントで食料は手に入るでしょう」


 当然の疑問だが、それに対する答えは既にある。


「畑にもレベルがあるからな。畑レベル向上でのボーナスとか色々加算すると、ステータスの上がる料理が作れるようになる。この支援効果が割と馬鹿にならない強化具合で、Wikiの基本戦術に畑が組み込まれている」


「所々に挟まる言葉に、ゲームと現実の境が曖昧になりますね」


「ゲームの方から現実に混ざって来たんだから仕方ない」


**************************


 さらに1時間ほど、途中で顔を出すゾンビを走りながら掃射して片付けつつ、山中へ入っていく。ゾンビ退治をしながら、時に邪魔な車をどけながら移動しているから、どうしても時間がかかる。

 それでも目的地は既に決めてあるので、移動自体は淀みなく進んでいく。


 目的地は、最寄りの限界集落。程よく人の作り出したものがあり、家屋があるからNPCも探せるし、土地が余っている場所。ここで数日、爆音を鳴らしてゾンビをかき集めて狩りをすれば数日で大きな拠点を作ることが出来る。


 好感度で裏切りの予兆がわかるNPCが多い方が組織としては安定する。言う事に従うロボットみたいな性質も利点だが、一番の利点はNPCは欲に限りがあるってことだ。人間は欲に限りが無いから、何を与えても最終的には不満になり、裏切りの温床が育つから嫌なんだよな。

 って話を目的地に着いてからおやつ休憩をする中で話した。「そこまで真っ正直に言わなくても」という玲の目線が刺さってきたが気にしない。

 出来れば仲間とは違う、同盟関係の小規模組織を作って置いて、お菓子とかそういうのを作って欲しい。美味しい料理は贅沢だ。贅沢が出来れば人は満足する。


「さて。ここから先は2人一組で行動しよう。現状、武装した人間以外でお前たちに勝てる戦力はいない。屋内戦闘じゃ長物は使えないだろうから、蹴ったりして対応しろ。NPCは女性メインで。理由は単純に、女性NPCは美味しい料理やおやつで好感度が上がりやすく、男性NPCは性交渉特化型だからな。女性NPCの方が維持しやすいんだ。あと戦闘力ほとんど変わらないのに男性NPCは食糧消費が多いし」


「女性NPCも、その。性的な行動で好感度は上がるんですよね」


「言っとくが、ゾンパニは同性異性関係なく性交渉出来る。それを踏まえた上でNPCを選んどけよ」


「同性同士で!?」


「え、まじで? 俺、男に掘られたり掘ったりするのか?」


 守明もちょっと引き気味だ。だってゾンパニって無茶苦茶細かいくせして、変なところ雑なんだよ。


「NPCじゃない生存者がいた場合は、とりあえず確保だ。男女関係なく、NPCとやりたい放題ってことと身の安全が確保されたら大体従順になるだろうし」


「だから、貴方はもう少し言葉をオブラートで包んでください」


「悪いな。オブラートは子供の頃に卒業した」


 意図の取り違えが無い様に、とことん現実的な内容を口にするようにしたのに不満が出る。後から綺麗ごと言いやがってとか言われるよりこっちの方が良いと思うんだけどなぁ。


「守明は建物の中に入る時はハンドアックス装備。外にいる時はポールアックス。拠点レベルを上げて収納アイテム作れるようになるまでは我慢だ」


「え? アイテム鞄みたいなの作れるんですか?」


「作れちゃうんだよ、これがまた」


 収納鞄は拠点設備で工房を作って、工房レベルを上げれば作れるようになる。ゾンパニに武器道具の重さはあるがサイズはないため、収納重量の範囲内ならプール程の水が手鞄に入る、と言ったことも起きる。

 試していないけど、この仕様が生きているなら嵩張る手荷物を収納鞄に放り込めるはずだ。


「さぁ、探索開始だ」


 俺の声を合図に、全員車の外に出た。

 今日もいい天気だ。ゾンビが沢山見えるぞー。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ