少女の英雄
読んでくれると嬉しい。
私は争い事が嫌いだ。
争いになるぐらいなら私は自分が悪くなくても、
頭を下げるだろう。
プライドなんて物は自分より強い相手には意味をなさない。
それが私の物心ついたときに初めて理解してしまったことである。
もし自分にも才能があったら、何か違ったのかもしれない。
そう考えたことだって何回もある。
けど現実はそんな簡単なものじゃない。
そう思ってからは、何時しか私は夢を見るのやめた。
だからせめて人の邪魔をせず、目立たず、普通に生きよう。
そう決めたのだ。
けど私は、見た。
いや、見てしまったのだ。
絶対にみては駄目な『希望』を、私はみてしまったのだ。
いつだって私にいや、人類に『希望』見せてくれるのは英雄しかいないもの。
あの少年が今やってのけたそれは、誰にもできないのだ。
英雄を除いて。
刃物や砲撃よりも生物を傷つける魔術を、剣一本で無に還すその姿は、誰もが本で読み、連想し、憧れ、追いつこうとする。
だが誰も追いつけない。
誰かがつぶやいた。
「おい、あれって」
それは波のようにまた次へと。
「でもあれってただの言い伝えじゃなかったのかよ!」
「じゃあれは何なの!?」
その言葉に対して答え持ち合わせる者はここにはいないだろう。
人間自分の見たものしか、信じない。
逆に言えば見たものは信じてしまうのだ。
だって普通に考えて、いや普通に考えなくてもできないのだ。
そう、こんな芸当ができる人なんて少なくても私は一人しか知らない。
「最善の英雄、アルカナ。」
でも彼はもう百年以上も前に死んでいる。
じゃこの光景は一体何なのだろうか。
今思えば、私はこの時すでに彼に魅されてしまっていたのだろう。
ありがとう!