ココの願い事
真っ白な雪の上をサクサク歩く。そうすると小さな雪のかたまりがコロコロと転がる。
キツネの子どものココは、転がる雪が好き。
コロコロ。コロコロ。
固まりは小さいまま止まって、ココが足で触ると崩れてしまう。
鼻で触ったら溶けてしまった。
コロコロは大きくなったらココと同じくらいになるかしら。
そうしたら友達になれるかも。
毎日、ココはコロコロを転がす。
転がしても転がしてもコロコロは大きくならなかった。
昼も夜もココはコロコロを転がした。
ココは小さいからコロコロも大きくならないのかもしれない。
ある夜、ココは暗い空をキラキラが流れていくのを見た。
あれなら大きいコロコロになるかもしれない。
ココの友達が作れるかも。
キラキラの落ちていった所には、ココの頭と同じぐらい大きいキラキラがあった。
君はだれ?
キラキラのそばにはココと同じぐらいのキツネの子どもがいた。
私はサーヤ。君は?
僕はココ。
キラキラがきれい。ココは少し近づいた。
星が流れる時にお願いをするとお願いを聞いてもらえるんだよ。
ココは何をお願いしたの?
お友達を作ること。
いいね。お友達になろう。サーヤが呼ぶのでココもキラキラにさわった。
少し冷たくて、暖かい。
サーヤと一緒に転がすコロコロはどんどん大きくなって、ココと同じぐらいになった。
最後にサーヤがてっぺんにキラキラをのせる。
きれいだね。
キラキラにひかれてみんなが集まってくる。
サーヤが笑って、ココも笑う。みんなも笑う。
ココはもうひとりぼっちじゃない。