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穴掘り少年と乾燥少女  作者: ネルシュ
3章

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33/97

3-1

新年あけましておめでとうございます。

お待ちくださった皆様、ありがとうございます。今年も、ゆっくりとしたペースで更新していきますのでよろしくお願いします。

「ここが北の領都リアンナかぁ。今まで見た中でも一番デカいな」

「城壁で囲まれていて場所が限られているからか、西と比べてもちょっとごちゃごちゃしてるな。それぞれの家も狭そうだ」

「平原があるところと比べないでほしいね。人が住める場所はどうしても限られる。でも、北には、この規模とは言えないけれど人が集中する大き目の街が点在するんだ。領地のそばにあるリステンも大きいよ」

「冒険者の都と名高いリステンか。一度は訪れたいと思っていたんだ。どれほどの猛者がいるか、今から楽しみだ」

「えーっと、リステンって迷宮都市って言われるほど、周辺に迷宮が多いんだろ?そんなのが近くにあって大丈夫なのか?」

「それについては、諦めてもらおう。そもそも、北の地には掃いて捨てるほどの迷宮があるんだ。新しく作る村の近くにないわけがないだろ。迷宮暴走や崩壊の危険は、本当なら南だって変わらないんだよ。ただ、見つかっている迷宮には冒険者が潜って魔物を減らしているから問題にならないだけで。

 それに、暴走中の魔物は体力の限り侵攻してくる。少しくらい遠くても意味はないんだ。北が崩壊した時には、王都ですら魔物に囲まれたと伝えられているんだし」

「……迷宮の中の魔物は、野にいる魔物よりも数段厳しい相手だと聞いている。今から楽しみだな」

「余分な命の危険なんてない方が良いのに。ダグは、どこまでもダグだねぇ」

「ホントかウソか、迷宮の魔物を倒せば倒すほど強くなると言うからな。こんなに早く行けるようになるとは」

「おいおい。まだ迷宮には籠らないでほしいな。それに、強くなるのは間違ってはいないよ。ただ、ほんの少しだけだから、目に見えて強くなるほどに魔物を倒すのは数年はかかるだろうね。

 あと、これだけは気を付けてほしいんだけれど、迷宮の魔物は、野の魔物よりも数段強い。常の感覚で入ると死ぬよ」

「あっ、それ。それ聞きたかったんだ。だから冒険者ギルドで講習受けたり、ランクの制限があるんだろ?俺には関係なかったからぼんやりとした噂しか知らないんだよね」


 ダグが考えていた武者修行旅の目的地の一つである北の地、特に領都リアンナに足を踏み入れ、冒険者の都リステンの話が出たとたん、ダグがそわそわとし始めた。まだ護衛依頼中だってこと忘れてない?ほんと、強くなることにまっすぐだよな。

 ただ、ジーナが指摘した迷宮の注意点。これは聞いておきたい。迷宮なんて西部にはほとんどなく、有っても帰らずの森とか険しい山とかにあるから、行ったなんて冒険者の方が少ない。だから、聞こえてくるのは嘘か本当かわからない噂話くらいだ。


「冒険者ランクのGは新人で街中の仕事。Fは見習い。森とかの依頼は最低Eランクになってから。それは知っているでしょ。

 でも、迷宮に入れるようになるのは、Dランクから。それだけ危険な場所よ。特に注意すべきは魔物の性質。

 魔物は人を狙う。これは誰でも知っていること。でも、危機を感じたらゴブリンだって逃げるし、恐怖で動けぬまま死ぬものもいる。しかし……」

「しかし?」

「迷宮の魔物は、死の瞬間まで、人を殺そうとしてくる。例えゴブリンでも、決して油断できない相手なの。そのことが理解できないパーティーは、いつまでたっても迷宮に入る許可が下りないわね。ギルドだって意味もなくDランクの冒険者を殺したいとは考えないからね」

「Dランク……一般的な冒険者だよな」

「どちらかと言えば、ベテラン一歩手前だな。護衛依頼も問題なく受けられるランクだ」

「ダグはたしか俺より一つ上だからEだよな。じゃあ、潜れないな」

「ははっ。今回の護衛依頼が無事完了すればランクが上がる。不足していたのは護衛依頼の経験だからな。

 ちなみに、ディグはEにあがれない。採取系の依頼、受けてないだろ?」

「……清掃しかしてないな。魔術使いってことで最初っからFだったし」

「ちなみに、魔術師はCから始まる。私は問題なく潜れるし、そもそも何度も潜っているぞ」


 冒険者として英雄を夢見てはいたが、現実的な生活と、地力をつけることを優先していたからランクを上げようとはしてこなかった。それに、未熟な状態でわざわざ命の危険がある迷宮に積極的に潜りたいとは思わない。

 が、俺だけ仲間外れってのもなぁ。ちょびっと悔しい。

 この街はまだ肌寒いだけだが、もう少し北へ行くとちらほらと雪が舞う季節になっている。雪に閉ざされる長い冬は、北方人は訓練や内職の日々になる。俺は、ジーナから色んな勉強を教わる予定になっている。


「……この三人でパーティーを組めば潜れるがな」

「パーティーだと、構成員のランク平均だったなそれなら問題ないか」

「駄目だろ。俺達に迷宮探索の経験なんて何もないんだ。ダグだって、魔物との戦いは得意かもしれないけれど、罠とかの対処はできないだろ?敵が多いときのせん滅だって、魔術師の得意分野だ。ついでに、俺はお荷物にしかならん。

 なら、索敵からなにから、魔術師のジーナにおんぶにだっこのパーティーになるぞ」

「ディグも、油断しなければ迷宮ゴブリンだって問題ないだけの強さはあるぞ。あっちを出てくる前だって三体のゴブリンだってなんとかなる力があったんだ。今回の旅で強くなったのだから大丈夫だ。

 あと必要なのは自信だな」

「実績の間違いだろ。

 いくら訓練で強くなったからって、俺には実戦が足らなすぎる」

「森でゴブリンだって倒したじゃないか。他にも荒野や山でコボルトやウィンドスワローや闇鷹なども器用に倒していたな」

「鳥系は村で狩りの仕方を習っていたからな。特殊な奴じゃなければあの方法で行ける。

 それに、他の魔物はダグにお膳立てしてもらってだからな。たいした経験にはなっていないさ」


 近寄ってくる鳥なんて、タイミング合わせて丈夫な網を投げれば捕まえられる。上位の魔物になるとずっと遠距離からの攻撃だったり、魔術みたいな現象を起こすらしいけれど、今までは見たことがないからな。

 ジーナからも、迷宮では使いどころが難しいが、外だとそれなりに有効だろうと高評価だ。まあ、遠くに居ても狙える弓の方が効率が良いんだが、弓で狙った獲物を射るには技術がいるから。

 それに、どんなに言われても、迷宮に潜れるのは当分先だ。


「……護衛依頼はここで終わりになっても、次は開拓の依頼だろ?迷宮に入る暇はないだろ」

「そちらも受けてくれるのか!」

「じゃなきゃここまでは来ないさ。割も良いし。ダグはどうする?」

「防衛戦も経験しておきたい。それこそ、受けるのでなければここまで来ないさ」

「二人ともありがとう。ディグには、もう一つの依頼もお願いしたいんだが……」

「あーっと、ほら。冒険者ギルド過ぎたぞ。どこ行くんだ?」

「……はぁ。まあ、後で良いか。

 ここは私の生まれ故郷だから家がある。そこに決まっているだろ」

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