表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/6

2話 記憶喪失

視点 ???


更新予定時間 本日10時30分頃

「……ん? ここは」


 目を覚ますと、そこは、太陽の光が当てられた森の中だった。


「それに、これは」


 俺は、体にマントがかけられてある事に気がつく。

 ……良い匂いだ。

 誰かが掛けてくれたのか? というか、俺、今服を着てないな。

 俺は、そのマントを体に巻き付け、下半身などがしっかりと隠れるようにする。


「あ、目が覚めましたか?」


 すると、誰かに話しかけられた。

 女の声だ。

 俺はその声の方向を向く。

 そこには、銀髪の髪をした、青い目の少女がいた。


「よく寝てましたね。もうお昼ですよ」


「え? あ、ああ」


 俺は、そう言いながら頷く事しか出来なかった。

 誰なんだ? この子。あ、まさか。


「このマント、君が?」


「はい。流石に裸で寝かせるのは可哀想だったので……安心してください。あんまり見てないですから」


 少し気まずそうに、少女は言う。

 恐らくそれは、俺の下半身の事だろう。

 寧ろ、醜いものを見せてしまっていたようだ。


「ありがとう。そして、ごめん」


「い、いいんですよ……それで、申し訳ないんですけど、単刀直入に聞いてもいいですか?」


 少女は、真剣な顔をする。


「貴方は、何者なんですか?」


「……は?」


 唐突に訊かれたので、俺はついそんな声を漏らしてしまう。

 何者か? 俺が? ……あれ?


「……俺は……誰だ?」


「え?」


「……何も、覚えてない。俺は、何者だ?」


 記憶が、無い? そんな……でも思い出せない。


「……今朝の事も、覚えていないんですか?」


「今朝?」


 俺はその時、目の前の少女から、今朝の出来事を話してもらった。


「……という事なんですけど……覚えては」


「……いない」


 俺がオオカミの魔獣だったと? しかも魔獣を殺し、この子までもを手に掛けようとしていた?

 信じ難いような内容だが、どうやらこれは、被害者の彼女曰く、本当事らしい。

 証拠として、近くには腐った影響で虫が群がっているナイトミノタウロスの死骸が転がっていた。


「ごめん。覚えていないけど、君にすごい怖い思いをさせたようだね。どう詫びたらいい?」


「いえもういいんですよ。結果的に見れば、私を助けてくれたんですから」


 けど、その後この子を殺そうとした……結果以外を見れば、俺は、命を奪おうとしていたという事になる。

 いつか、この子に必ずお詫びをしなくちゃな。

 とりあえず、そんな事をする以前に、今の俺は、世の中の知識をあまり覚えていない。

 こんな俺だけど、頼んでみるか。


「……ごめん。君に迷惑を掛けた俺が言うのもなんだけど、世の中の事について教えてくれないか。本当に何も覚えていないようなんだ」


「そんなに謝らなくてもいいですよ。記憶喪失ですか……分かりました。私の知っている事なら、なんでも教えます」


「ありがとう。その……」


「リリアでいいですよ」


「ああ、ありがとう。リリア。俺の名前は()()()……え?」


 俺は今、自分の口から、自然と名前を言った事に気がつく。

 名前が、言えた? いや、違う。


「……名前だけは、覚えていたみたいだ」


「ラルクさん、ですか?」


「ああ、ラルク、らしいな」


「分かりました。それじゃあ行きましょう。歩きながら話します」


 リリアはそう言うと、立ち上がり、俺に背を向けて歩き出した。


「行くって、どこに?」


「【オーデリア】という国です」

ブックマーク登録や評価の方もお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ