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あなたへ  作者: 水成豊
7/11

我は海の子 ※300字程度

私の故郷は海辺であった。

春には若布わかめを採り、夏には友と釣りをする。

秋には短い陽を眺め、冬は寒風に煽られる。

それが当たり前であり、そんな一年を繰り返すのが関の山でもあった。

私はここで一生を送り、嫁を貰い、子に漁を教え暮らすのだ。

そう達観して疑わなかった。


しかしあの日、それが変わった。


たった一枚の紙が。

私を現人神あらひとがみ御許みもとに召し上げ、村の誉れと成し、大海原の英彦えいげんに変えたのだ。

決して凡庸ではない、華々しい活躍。

満足だった。

はずなのに。


私は今、静かにたゆたう。

目の前を満たす、重く青くる厚い壁。

その向こう側には、愛しい者達を置いたままだというのに。


嗚呼ああ


最後残った命も去り。

私は伊耶那美いざなみふところへと還っていった。

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