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1 世界の異変

新作です! 

ただこれは自己満足の趣味小説なので、投稿頻度はそう多くないと思いますがご容赦ください!


pvやptによっては考えるかもですが……(笑)

 大陸暦1206年、世界は未曽有の危機に陥っていた。

 帝陸の北方、人間が住むことのない暗黒の世界。

 そこに巣くう魔族の大軍が突如として南下を開始したのだ。


 人間を始め、妖精族エルフ岩窟族ドワーフ、獣人などを始めとする亜人連合国家は、その迫りくる脅威に対抗し、歴史上はじめて同盟を締結。

 20万もの軍隊によって魔族との決戦を挑んだ。


 決戦の地は、暗黒世界と人間達との世界の狭間にあるナスト平原。

 だが魔族は小鬼ゴブリン人食鬼オーガを主力に、牛人族ミノタウロス豚頭族オークなども動員し、その数は連合を上回る30万という大軍で出現。


 ただでさえ牛人族ミノタウロスなどの上位魔族は普通の人間などでは太刀打ち出来ないほどの力を持っている。

 そのため、魔族の大軍を目の当たりにした連合の兵士達の士気は低下。

 瞬く間に魔族の猛攻により10万ともいわれる犠牲を出し敗走することになってしまう。


 その後、行く手を阻む物が無くなったことで更に南下を進める魔族達。

 人間を始めとする国家連合は、大陸の北半分をほぼ明け渡す形となったが大陸を横断するように流れる大河 ブルーリア川を天然の障壁とすることで何とか持ちこたえることに成功している。


 ただそれも、長くは続きそうもないのだが……。



 ブルーリア川の南側、人間の国家 ハナベル王国。

 いつものように北側の魔族達の動きを監視していた警備隊は、食事を取るため見張り台のある砦へとあつまっていた。


 「はぁ……。魔族の野郎ども、今日も攻めてくる気配はないな」


 「そうですね。この膠着状態もかれこれ半年、奴らも諦めたんじゃないですか??」


 「……そうだといいんだがな」


 砦の最上部、そこからブルーリア川の北方を見つめながら干し肉を口にする2人の兵士。

 その中で、他の兵士達とは違い黒い鎧を身に着けているのはこの警備隊の隊長 デイド・ルールである。


 デイドはこの年28歳。

 魔族との戦いで両親を失った彼は、人一倍魔族の事を憎んでいた。


 「魔族を侮るのはだめだ。奴らの力は強大、だからこそ我らがここできちんとその動きを見張ることが肝心」


 「そうですね……、肝に銘じます」


 デイドの隣、配属されたばかりの若い兵士は、デイドから放たれる威圧感ともいえる雰囲気に唾を飲み込んだ。


 その後、しばらくはいつものように平和な日常が流れていく。

 だがそれは、突如起きた一つの叫び声で崩れ去ることになる。


 「て、敵襲!!! 魔族が攻めて来たぞ!!!」


 「何だと!? 一体どこからやってきたというのだ!!」


 デイドは砦内に響き渡る声に、手にしていた干し肉を放り投げ砦の城壁へと急ぐ。

 だがデイドが到着したときには、既に城門を乗り越えようと多数の小鬼ゴブリン、そしてそれを指揮する牛人族ミノタウロスが部下の兵士と剣を交えていたのだ。


 くそっ!! もうこんなところまで攻め込まれたか!!!

 このままではこの砦は……、


 「皆の者、魔族にここを突破されればまたあの惨劇が起こる! 絶対奴らに行かせるな!!」


 『おぉぉぉぉぉぉぉ!!』


 デイドは腰の剣を抜くと、砦の中から急いできた部下達に突撃を命令。

 デイドも右手から魔法で火の玉を撃ちだし、瞬く間に小鬼ゴブリンを焼き払っていく。


 だが、さらに一発の火の玉を放ったところで、その攻撃は前戦に現れた大きな影によって弾き飛ばされた。 

 そう、牛人族ミノタウロスによって。


 「ハハハハハッ、このような下級魔法が我に効くと思ったか! 貴様ら人間など、束になったところで魔族には敵わんぞ!」


 「ぐっ、やはり出て来たか。あれは小鬼ゴブリンとは格が違う……。だが、それでも私はここを退くわけにはいかないんだ!」


 「ほう、いい心がけだ! だがそれが無駄な努力と言うのだ!!」


 牛人族ミノタウロスは笑い声を上げると、その両足がはちきれんばかりに膨らむ。

 そして次の瞬間には、目にも止まらない速さで突進。

 デイドの前に出ていた兵士達を薙ぎ払い、デイドの体に頭の角を深く突き刺したのだった。


 「ぐはっ!!」


 「ハハハハハッ、よく堪えたじゃないか!」


 「な、舐めるなよ牛野郎が」


 デイドは口から一筋の血を流しながらも、笑みを浮かべ答える。

 

 ギリギリで防御魔法が間に合ったか……。

 だがそれでも完全には防げなかった。


 デイドは自分の腹部へと視線を落とす。

 そこには、牛人族ミノタウロスの両角の先端が鎧を貫通し、肉体まで達していた。

 今彼が生きていられるのは、展開した防御魔法によってその威力を緩めることが出来たためである。


 しかしそれでも周りの兵士に与える恐怖は十分だった。 

 隊長がやられたと思った兵士達は動揺し、次々と小鬼ゴブリン達の餌食となっていく。


 いかに小鬼ゴブリンが弱いと言っても数で攻められればやられてしまう。

 しばらくすると、その場に残っているのはデイドただ一人になっていた。


 「畜生……。お前らだけは絶対に許さねぇ……」


 「ほう、まだそんな口が利ける力が残っているのか。いいだろう、お前にチャンスくれてやる」


 部下を皆殺しにされ怒りに燃えるデイド。

 その彼の目に笑みを浮かべた牛人族ミノタウロスは、デイドの体を地面に下ろす後方へと下がり、兵士の遺体の上に腰を下ろす。


 そして周りの小鬼ゴブリン達へ言葉を発した。


 「お前ら! こいつを殺した奴には好きなだけ褒美をくれてやるぞ。人間、お前は小鬼ゴブリン達の攻撃を全て防ぎきったら命だけは助けてやろう。どうだ、いい余興だろう??」


 「…………ふざけやがって」


 デイドは剣を杖代わりにして何とか地面に立っている状態だ。

 そんな体で、100はいる小鬼ゴブリンを相手にすれば生きていられるとは到底思わなかった。


 それが分かっている牛人族ミノタウロスは口元を緩ませると。上にあげた手を下ろし小鬼ゴブリン達に突撃を命令。

 小鬼ゴブリン達は奇声を上げ、デイドへと一斉に攻撃を開始するのだった。


 「クソ野郎どもがぁぁぁぁ!!」


 ……やってやる!!

 ここで死のうと、お前らなんかをこの先に行かせるわけにはいかないのだ!!


 死を覚悟しながらも剣を握るデイド。

 だが一斉に迫りくる小鬼ゴブリンの刃が彼の体を無情にも襲う、その瞬間だった。

 その場に無数の連続音が響き渡たっかと思うと、デイドの周りの小鬼ゴブリン達が血を流しその場へと次々と倒れていったのだった。


 「これは一体……。何が起きたんだ」


 あ、あれは何なんだ!!


 ババババババッ!!

 敵が倒れたことに驚くデイドだが、更に頭上に現れた見たことも無い物に驚愕する。


 それは緑の鉄の箱に赤い丸が描かれていた。

 しかもその上では何かが高速で回転し、その鉄の箱を浮かばせているのだ。


 しばらくすると、そこから数本の紐が下ろされ、数人の男達が地上へと降り立つ。


 その姿は王国とも連合国家とも違い、布で出来た防御力の無さそうな服、だが頭には鉄で出来た兜を身に着け、全員が何やら杖の様なものを手にしていた。


 「あ、あなた達は……?」


 どうやら人間ではあるようだが……


 「言葉が分かるのか?! 一体どういうことだ……」


 デイドは自分の言葉に少し驚いた表情を浮かべた男達の姿に戸惑いを見せるが、すぐに男達はデイドへと視線を戻し、口を開いた。


 「失礼した、なにぶん人間と接触したのは初めてだったので。我らは日本国自衛隊です。そして私がこの偵察隊の隊長 日向大地ひゅうがだいち一等陸尉です」


 「二ホンコクジエイタイ? 聞いたことも無いが、どこにある国……」


 「一尉! 敵、こちらに攻撃を開始する模様です!」


 「ちっ、まずはあいつらを倒さないとゆっくり話も出来ないか。お前達、攻撃用意! 敵を排除しろ!!」


 「ま、待て! いくら何でもこの数では小鬼ゴブリン達に……」


 「放て!!」


 ババババババッ!!!

 デイドは現れた5人の男達を止めようと声を発すが、その声は男達が構えた杖からの閃光と爆音でかき消される。

 しかも、杖から放たれた目に見えない閃光は次々と小鬼ゴブリンを倒していき、奥の牛人族ミノタウロスにも命中。

 その身体からは血が流れだすのだった。


 「ぐっ……、貴様ら一体何をした!! このような魔法があるとは……!」


 だが攻撃を受けた牛人族ミノタウロスはすぐに立ち上がり、何事もなかったように先ほど見せた突進攻撃をしようとしている。


 「やはり牛人族ミノタウロスはあれぐらいでは倒れない! すぐに逃げるんだ!!」


 「牛人族ミノタウロスか……。こんな化け物を相手にするようになるとはな。……よし、カールグスタフ用意!」


 少し驚いたような表情を浮かべた日向は、部下に新たな命令を出す。

 その言葉で、後ろの自衛隊員は背中から筒状の金属棒を取り出し、その先端を牛人族ミノタウロスへと向けた。


 一体今度は何をしようと言うのだ……


 デイドは近くにいた自衛隊に促されるまま、棒を構える自衛隊員から離れる。

 そして次の瞬間、その棒から炎が噴き出すと先端から何かが発射され、牛人族ミノタウロスに衝突すると大爆発を巻き起こしたのだった。


 「ぐ、ぐあ……」


 「あれでもすぐには死なないのか……。何て生き物だ」


 「お、のれ人間。この借りは、いず、れ……」


 爆炎が晴れ、上半身だけになった牛人族ミノタウロスは、そう言うとその意識を永遠に失う。

 

 命を助けられたデイドではあったが、目の前の男達の力に恐怖すら覚える。

 この力が魔族では無く、王国に向けられていたら、と。


 しかし日向は辺りの警戒と生存者の捜索を部下に命じると、デイドへと向き直った。

 そして彼へと笑みを浮かべるのだった。


 「敵は排除しました。もう心配はいりません」


 「そ、そうか……。しかし其方らの力はすさまじい……、一体どこでその様な物を?」


 「……ハハハッ、詳しい話はこれから致しましょうか!」


 日向はそう言うと、空に留まっていた鉄の籠、CH-47に連絡を送り、地上へと降下させると、その中へとデイドを招き入れるのだった。

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