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第52話 お酒の買い出し

 翌日、俺は電車を乗り継いで新宿は西口へとやってきていた。

 なぜ新宿に来たのか?

 それは、冒険者たちに振舞うお酒を求めての結果だった。


 新宿駅西口にあるメジャーな家電量販店。

 その2階では、フロア丸ごと使ってお酒が販売されているのだ。


「噂には聞いていたけど……こりゃ凄いな」


 そんじょそこらの酒屋やスーパーのお酒コーナーとは違い、品揃えがガチだった。

 素人目でもわかるほどガチな品揃えだったのだ。

 それこそ、世界中のお酒がこの一角で買えると言っても過言ではないレベルで。


「まるでお酒のテーマパークだな」


 ビールは当然として、日本酒にチューハイに焼酎。

 リキュールにウィスキーにブランデー。

 ワインに至ってはフロアの一角にウォークインワインセラーまで設置され、温度管理された状態で販売している。


 興味本位で店員に訊いたところ、このフロアだけで7000種類のお酒が売られているとのことだった。


「おつまみのコーナーに試飲用のバーカウンターまで……。うっかり飲みはじめたら閉店まで出られなくなっちゃうやつじゃんか」


 カウンターの向こうから、素敵な笑顔を向けてくるバーテンダーのオジサン。

 俺は喉の渇きを鋼の意志で抑え込み、買い物カゴを片手に売り場へと向かう。


「まずはビールで……あ、念のため瓶ビールにしておくか。缶だとめんどくさいことになるかもしれないもんな。となると各国のビールを揃えておいた方がいいな。もち地ビールも忘れちゃいけない」


 目についた瓶ビールを、端から順にカゴへと入れていく。

 大人買いってやつだ。


「ウィスキーもいくつか用意して。女性向けに甘いリキュールも忘れちゃいけないよね。俺も甘いカクテル好きだし……いかん。早くもカゴが重い。腕が限界を訴えているぞ」


 カゴにお酒をポイポイ入れていき、いっぱいになったところでお会計。

 袋に入ったお酒をガチャガチャ鳴らしながら人目のない場所へ行き、収納スキルでしまう。


「ふぅ……危うく腕がもげるところだったぜ」


 腕を振って筋肉をほぐす。

 昨日、酒場には冒険者たちが50~60人はいた。


「カゴ一つ分じゃ、ぜんぜん足りないよなぁ」


 お酒は、飲み過ぎると体に良くないけれど、適量ならばストレス発散の効果が高いと言われている。

 ニノリッチの町は、辺境にあるため娯楽と呼べるものが少ない。というかぶっちゃけないに等しい。

 現状では、それこそお酒ぐらいだろう。


 命懸けでおカネを稼いでいる冒険者たちが、ひと時でも楽しんでくれるのなら、腕の一本や二本……明日筋肉痛になったって構わない!


「しゃーない。これも冒険者たちのストレス発散と、あとは主におカネのためだ。頑張っちゃいますかっ」


 こうしてして俺は、腕が限界突破するまで買い物を続けることに。


「日本酒は俺の好みでチョイスして」


「ありがとうございましたー」


「ネスカさん用にチョコのリキュールも買わないとだったな。キキさんにもフルーツ系のリキュールとジュースを用意しておこう」


「ありがとうございましたー!」


「やっとワインだ。ステラさんがワインに反応してたよな? なら――赤、白、ロゼ、オレンジ、どんとこいっ!」


「ありがとうございましたー!!」


「ハッ!? カルーアを用意すれば抱き合わせでミルクも売れるんじゃないか? これに気づく俺って天才?」


「ありがとうございましたー!!!」


「次はドワーフ向けのキッツイお酒を! いっそ度数が96度のスピリタスいっちゃいますか! クックック、酔いつぶれるドワーフの姿が目に浮かぶぜ」


「ありがとうございましたーッ!!!!」


 この日、買った本数は600本を超えた。

 お会計の総額は170万円だった。

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― 新着の感想 ―
店員のテンションがうなぎのぼりw きっと再入店を見るたびに熱い視線を向けているんだろうなw
[一言] 頼むから主人公よ、こちらとあちらの基準・標準・規格の違いをよく吟味して、異世界での金額を設定してくれよ。それらを十分考えての、そして必ず起るであろう今後のその世界での影響力をよく考えてくれ。…
[一言] おめでとうございます!!
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