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君と僕の契約  作者: 大典太アスラ
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cafe,スぺラーレ

 怜はほかの男性従業員が来る前に急いで着替えて店の掃除を始める。純喫茶なので店内は品のあるインテリアで構成されており木のぬくもりを感じることができながらもテーブルクロスの赤をポイントとした落ち着いた空間だ。マスターから豆を無駄にするなときつく言われているのでルイも仕方なく仕込みを始めていた。


「ルイさん現役大学生モデルなのによくこんなところで働いてる暇ありますよね。なんでなんですか?」


「授業数も多くない大学だしスケジュール管理はマネージャーがきっちりやってくれてるからね」


「いいなぁルイさんは。僕なんて常連さんにかわいいねって言われるんですよ! 普通男ならかっこいいねって言われたくありませんよ! どうしたらルイさんみたいな顔面になれるんですか? 僕に顔面人権下さいよー」


 はっ、と我に返って冷や汗をかく。だいたい男同士でこんな会話しないし……。ルイさんの出ている雑誌を見てメイクの練習をしているけどなかなかイケメンになれない。どうしてなの。とルイをみるといつもそう思う。


「この店には怜君目当ての客もできたし。いいんじゃないかな? 俺は怜にないものを持っているかもしれないけどそれは怜も同じだろう?」


 ああ、なんてイケメンな答えなんだろうか。和美たちが聞いたら即死案件だ。さすがイケメンは心までイケメンなのか……。


「それに、かわいいとおばさま方からかわいがってもらえるからいいよね。『れいちゃん今日もかわいいわねー』って。あはは」


 前言撤回。いつもおばちゃまがたに囲まれてちやほやされて困っている私をからかってる。どうせ私なんてイケメンじゃないからかわいい女の子にちやほやされませんよーっだ! 私はかわいい女の子にちやほやされたいだけなんだから。


「れーいちゃん」


「からかわないでください!」


「かーわいっ」


「語尾にハートつけないでください。気持ちわるい」


 わざと身震いして冷たいまなざしを送るつける。


「つれないのー」


 ぶう、と頬を膨らませているルイの手は止まっているかと思いきや仕込みを終わらせてルービックキューブに頭をひねらせていた。なんとも憎めない先輩だ。それに比べて自分は……。床をはきおわったばっかり。神様は不公平だ。開店準備をしながら言い争いをするのが日課となっている。


「ごほん」


 マスターの咳払いで場は凍り付き真面目に仕事を始める。いつの間にかマスターが顔を出していることがしばしばあり怖い。だが肩まで伸びた灰色の髪にきりりとした顔はイケメンでこの店の顔面偏差値は70を超えているだろうと思っていた。

 すべての仕事が終わったころには開店時間になっていた。マスターが開店前のあいさつをする。


「今日も一日頑張るように。例の件だがそのお客様が現れた時には別席に案内するように。以上」


 マスターはそれだけ言うと戻っていった。


「例の件ってなんですか?」


「怜君は初めてだっけ? あやかし関連で相談に来た客は招待状を持っているんだ」


「わざわざどうして招待状なんて持っているんですか?」


「他の客に知られてはまずいこともあるから」


「まずいこと?」

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