ロイとマリア 91
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ロイとマリアは、その日はひたすらに図書館に籠もっていた。
朝から、夕刻まで、ずっとである。
「もうこんな時間か。マリア送っていこう。」
「一日は早いものですね。」
そして、二人は寮へと帰る。
色気もなきもない二人である。
そんなある日、図書館に行く途中に、マリアは可愛らしい子猫を見つけ、足を止めた。
「ロイ様。子猫です。」
ロイは、仔猫を見つめた。
「マリアは猫が好きなのか?」
その言葉に、マリアは笑顔を浮かべた。
「はい!私、昔から猫が大好きなのです!」
そう言うと、マリアは人が周りにいないことを確かめるとロイに言った。
「触ってもよろしいですか?」
ロイが頷くと、マリアはしゃがみ、仔猫に手を伸ばすと優しく撫で始めた。
仔猫もマリアに撫でられるのは気持ちがいいのか、可愛らしく懐いている。
ロイは、マリアの横にしゃがんだ。
「猫がそんなに好きか?」
「えぇ!大好きです。」
すると、ロイの顔が少し歪み、マリアの耳元に顔を近づけると囁いた。
「私の事は?」
その瞬間、マリアは小さく「ひっ!」と悲鳴を上げ、顔を真っ赤にした。
仔猫もびくりとして、ロイを見つめている。
ロイはそんな仔猫の頭を撫でると言った。
「お前だけ大好きと言われるのは、少し腹立たしいな。」
今度は、マリアの顔を覗き込んでロイは言った。
「私は仔猫よりも、マリアの事が好きだし、愛おしく思っているが、、マリアは?」
「ろ、、、ロイ様。」
顔を真っ赤にしたマリアがそう名を呼ぶと、ロイは首をこてんと傾げ、優しい笑みを浮かべる。
「マリア好きだ。マリアは?」
「お、、、お慕いしております。」
「駄目。はっきり言ってくれ。」
「ろ、、、、ロイ様が、好きです。」
「仔猫よりも?」
「ひゃ、、、はい。」
それを聞いたロイは満足そうに笑い、仔猫の頭をぐりぐりと撫でた。
「ふふ。お前に勝った。」
無邪気にそう言って笑うロイに、マリアは苦笑を浮かべた。
「もしかして、ヤキモチですか?」
何気なくそう聞いたのだが、ロイはその言葉に予想以上に考え込み、マリアは焦った。
「すみません。変なことを言いましたね。さぁ、図書館に参りましょう。」
変な雰囲気を消そうと立ち上がったマリアの腕を、ロイは掴んだ。
「え?っきゃっ!」
腕を引かれ、立ち上がったロイの胸の中に抱き込まれたマリアは緊張から体を強張らせた。
「ロイ、、、様、、、?」
「マリア。」
「は、、、はい。」
「私はこんなにも、自分が穏やかな気持ちになり、愛おしさを感じる相手に出会えると思っていなかった。」
「は、、、はい。」
「マリアといると、心が暖かくもなるが、マリアが他のものに目を向ければ嫉妬もしてしまう。」
「え?!」
「嫉妬深い私を、嫌いにならないでほしいのだ。」
それはつまり、猫にも嫉妬したと言うことであろうか。
マリアは心臓がどくどくとなるのを感じつつも、ゆっくりとロイの背中に腕を回して、ぎゅっと抱き締め返した。
「私はそんな、、ロイ様も、、好きです。」
「マリア。愛してる。」
マリアは幸せそうに笑った。
そんな姿を見て、フィリアは鼻で笑った。
「ロイ様に、いつかの自分の台詞を聞かせてさしあげたいわ!」
隣には小細工として仔猫を連れてきた猫のケースがあり、戻ってきた子猫をグリードは抱き上げると微笑みながら撫でた。
フィリアはそれを見ると、自分の頭をぐりぐりとグリードの胸に押し付ける。
「私も撫でて。」
上目遣いでそう云うフィリアの頭を、グリードは顔を赤らめながら無でる。
「フィリアが可愛くて辛い。」
「はい。離れて。近いですよー。」
「ニフエル邪魔しないで!」
「はい、グリードハウス!」
ニフエルはいつまでこの二人の子守をすればたあいのだとため息をついた。
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